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捨てる/修理する/なんとかする

科学が反科学-混沌-を生み出したのである。

禅とオートバイ修理技術 上 第二部

無職無収入なので、ものが壊れると簡単に絶望する。

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トースターが壊れた。自分で買ったものではなくフラットにもともと備わっていたものなので、仕方ないかと思う反面、毎日使うので困る。壊れたのはレバー。下げても止まらなくなった。温める機能は壊れていなかったのだが、これではずっと押さえていないとパンが焼けない。

ドイツのebay(直接会ってもらうタイプ)で中古のトースターを探してみる。10ユーロくらいから、高いものは100ユーロまで、いろいろある。でもなあ、安いの買ってまたすぐ壊れたら泣いちゃうなあ、取りに行くのめんどくさいしなあ。

修理してみようか、と考えるが、トースターはつるつるしたおしゃれなもので、どこからどう分解すればいいのかがわからない。分解しても直せる自信がない。メーカーが修理をやっていても、結局10ユーロの中古品を買う方が安そうである。

いろいろ考えた後、とにかくレバーを下げた状態で固定さえできれば良い、とふと立ち戻る。それならば、と編み出した方法がこちらである。

それよりパンくずすごい

針金をひっかけて、ナイフで固定する。タイマーは使えないけど、とりあえずパンを焼きながら卵も焼ける状態にはなった。まあいいやこれで。
なんというか、動物が巣を作るときみたいな方法だ。でもちゃんと機能している、嬉しい!!となる。

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2回くらいしか使っていない折り畳み傘が壊れた。日本で買ったもので領収書もないので、返品もできない。めちゃくちゃ萎えた。折り畳み傘は意外と高い。三千円くらいする。買いたくない。

壊れたのは傘を開いた状態で固定する金具。傘として致命的である。

とりあえず傘の修理方法を調べてみる。いろいろ出てくるのだが、しっかりした傘の直し方しか出てこない。修理されることを前提とされているような、古めの、太めの、しっかりした傘。細くて軽くて、やっぱりつるつるな今時の折り畳み傘には見当たらない部位の説明ばかりが出てくるので、修理方法は全然参考にならない。

とにかく開いた状態で固定できればよいのだと、トースターの件を思い出して立ち戻る。試しにクリップをつけてみる。

いけた。いけるのかよ、と思う。畳むときは、持ち手についている謎の紐にクリップをつけておけば、次回も忘れないしすぐ使える。まあこれでいいや。

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ドライヤーは買って1ヶ月で壊れたし、つい先日は炊飯器が壊れた。ドイツに来てから電化製品があまりにも簡単に壊れるので、修理の仕方を調べていると、このサイトを見つけた。いろんなものの修理の仕方が載っていて、見ていて面白い。

ここに載っているのは大体ちゃんとした修理の方法である。例えばパソコンとかスマホとかデジカメとか、ちゃんと修理しないと使えないものを自分で直してみるのには良いかもしれない。

フランスでは2021年からサーキュラーエコノミーのための取り組みとして、電化製品に修理可能性指数つまり「どれくらい修理しやすいか?」の指標を10段階で表示することが義務付けられている。これはとても良いと思うので、日本でもぜひやって欲しい。電化製品だけじゃなくて、いろんなものにつけて欲しい。傘とか。

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修理しようとするとなぜか、ちゃんと修理しなくてもなんとかやれる方法に気づくことができて、面白い。イタリアの車はよく壊れる、そしてみんな適当に直して使っている、って藤原辰史さんが分解の哲学で書いていたが、そういうことなんじゃないか。


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