見出し画像

かつてない緊張感

最近シドニーに来てから芸術鑑賞をする時間がすごく好きになって。頭の中を空にして、作品から純粋な潤いを補給するような気持ちになるし、博物館でもその展示物がどんなふうに歴史を語るのか興味深いなあ、と。
だから今回のNZの旅でも必ず行きたかったAuckland Museumに。

特に生まれて初めての体験をしたのは、WWⅡの展示でのこと。ニュージーランドが経験してきた戦争の歴史の中に、もちろん第二次世界大戦はあって。
わたしは単なる観光客である以前に、日本人として、かつて大日本帝国だった国の国民として、数々の国を傷つけた国の者として、
何処からか感じる視線、圧、重たくなる空気…わたしを取り巻く全てにじっと見つめられているような、経験したことのない感覚に襲われた。とても怖かった。心臓が大きく跳ねて痛かった。

また戦争という過酷かつ劣悪な環境下で、人としての娯楽や営みを極力止めぬよう生きていた人たちの痕跡もいくつか見てきた。薄汚れたトランプ。煙草。家族への手紙。
きっと計り知れない恐怖の中、自分を見失わぬように、少しでも解放できるようにとやっていたんじゃないかなって、。
このような姿を見ても、それぞれが孤独や不安と闘っていると分かっていても、戦争をやめられなかったのは何故なんだろう。誰が始めたことなんだろう。悪いのは誰なんだろう。国同士の戦いである前に、その戦線に立っているのは紛れもなく同じ人間だというのに。

終わった後どっと疲れが来て、他の展示も半ば諦めてしまった。
でも、これを見て正解だったと思ってる。
ありきたりで薄っぺらく聞こえるけど、今こうして移民として海外に来て、学べて、楽しめることは当たり前じゃないんだなと強く感じた。

日本に生まれた人として、
もっと自分の国のことを知らなきゃいけない、いい面も悪い面も自なりに咀嚼・解釈して、言語を通じて文化も歴史も今も伝えていきたいな、って思った日だった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?