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社内報ラジオのパーソナリティになってみた話#1

こんばんは。@omomomyです。突然ですが、ラジオが好きです。
毎朝のルーティンは、私的イケボ代表格の別所哲也さんの「J-WAVE TOKYO MORING RADIO」→ TOKYO FM 住吉美紀さんの「Blue Ocean」で通勤・始業。無音で勉強できなくていつもFM FUKUOKAやCROSS FMを聴いていた中高生時代とおなじで、仕事も家事も無音より有音が捗るタイプ。もはや生活の一部です。

そんな自分が、社内向けラジオ番組のパーソナリティになるとは。今回は企画に至った背景やこれから企画する方に向けたtipsをまとめてみたいと思います。


番組名は『アイケア二スト』

社内のデザイナーに作ってもらいました!(詳細は後述)

まずはどんな企画をやっているか?の紹介から。音声メディアによるインタビューコンテンツを社内限で配信しています。いわゆる“社内報ラジオ”です。
その名も『アイケアニスト(iCAREnist)』です!
おそらく15個くらいの候補を出して、チームで決定しました!(社内アンケートも参考にしました!)

「〜ist」は「〜する人」の意味で使いますよね。iCAREで働くひとの呼称として、また番組のテーマでもあるiCAREの象徴的なイメージ(クレドバリューを体現する人物像)につながる名称として設定しました。GoogleのGoogler、AmazonのAmazonianのような感じです。

番組のテーマは、iCAREで働くプロ(=iCAREのクレドバリューの楽しむプロ・満足しないプロ)の素顔を紹介すること。ターゲットリスナーや期待するアクションは以下のように定義しています。

<ターゲット>
・iCAREのカルチャーが好き、楽しいことが好きな従業員
・iCAREで「プロ」として楽しみ、チャレンジをしている従業員
・ゲストに関心がある従業員

<番組を聞いてどんな行動を期待するか>
・「プロ」について考える機会が増え、働き方や働くことへの動機付けに繋げる
・コミュニケーションが生まれる 
to ゲスト、to リスナー、to ノンリスナー

※収録時の台本に毎回記載して運用しています

2023年の4月に初回収録を開始してから早1年が経ちました。最初のQは月2本、その後は月1回の頻度で放送し、今月で15回目。1年以上も放送している甲斐あって、社内認知率が高い企画になっています。100%と言いたいのですが、そこは自信がなく。伸び代として90%と言っておきます。(笑)

企画背景

インターナルコミュニケーションの強化

広報チームとしてインターナルコミュニケーションに本腰入れ始めたのが昨年2月。"人"を起点にした情報を社内外に流通させ、自社の価値の理解につなげる役割として、広報チームごとMarketing部→People Experience部(当社の人事部門)に異動したタイミングです。

インターナルコミュニケーションの目的や期待は様々な本に書かれている通りなので割愛。
当社としても従業員体験の向上であったり、組織のパフォーマンスの向上であったり、ひょっとすると誰かの離職予防になったり、様々な好循環をうみ始めている感覚はあります。

「強化」と言っているわけですが、iCAREはこれまでも比較的インターナルコミュニケーションに力を入れてやってきた会社だと思います。姿勢や想いはそのままに、広報チームとしては今の組織規模や事業成長フェーズ、経営・人事の戦略に合わせて施策をブラッシュアップしながらコミュニケーションを推進しています。

*iCAREのインターナルコミュニケーション全体の取り組み詳細は以下に紹介されているのでご参考まで。(自分はただ代表して喋っただけなので恐縮感)

見えてきた2つの課題

で、何するの?ってところなんですが、何をするかを決めるために社内の課題を洗い出し、まずは小さくても1つ新しい施策を開始することを目標におきました。定性・定量情報を参考にしながら、それは何故おきる?それはまた何故?とトヨタ式に何故を繰り返し、経営陣とディスカッション。そこで洗い出された課題が2つあります。

1.互いの"プロフェッショナル"な部分を知らない

当社は140人超社員のほとんどがリモート勤務を取り入れた働き方をしています。そして、基本は各部署単位での仕事がほとんど。部署内でもサービスや役割ごとにチームが細分化され、自チーム以外の方とのコミュニケーション頻度が多くない場合もあります。

140名超の社員同士が一同顔を合わせる機会は年に2回あり、オンライン上でも週1回あります。なるべく多くの社員にスポットがあたるような工夫もあります。それでも全員の仕事やバックグラウンドを取り上げることは難しく、ごく限られた情報しか紹介することはできません。

誰がどんな専門性や経験をもち、どんな志で仕事をしているのかを知る機会があれば、もっと互いに良いトスやパスを出し合える、より高いパフォーマンスのためにヘルプし合えるのではないか。新しい課題に対してチームを編成し、よりイノベーティブなプロジェクトを推進することにも繋がるのではないかと考えました。

出身地や好きな食べ物など、共通の趣味嗜好を探ることから生まれる心理的安全性もあると思いますが、互いの専門性を知ることで表現できるリスペクトがある。それは我々のようなスタートアップ組織に不可欠な要素だと考えています。

2.クレド・バリューを浸透させる情報が不足

「浸透」と聞くと、上から下ろしていくような表現に聞こえますが、広がり行き渡る意味で使いたいと思います。クレド・バリューである"楽しまなければプロじゃない""満足したらプロじゃない"は共に働きたい人を言語化することを目的に創業当初から導入されているのですが、人員が100名超えるあたりから、それが十分に行き渡っていないことが経営課題の一つになっていました。(と、共有を受けていました)

なぜ行き渡っていない状況が生まれるのか。チームでは、「自分ごと化」というキーワードが出ました。情報の届け方・コミュニケーションの面から、「自分ごと化」できない理由を考えてみました。主に2つあります。

一つ目は、言葉を読むだけで本当の理解はできないという理由。
二つ目は、自分の体験・価値観と結びつけられないという理由。

一つ目については、何事もそうだと思います。理解するためには、実際に体験したり誰かと共有したり、そういうプロセスが必要です。採用面接や入社オリエンなどでも説明されますが、言葉だけ読んで理解している人は少ないと思います。この理解をすっ飛ばして自分ごと化することはできません。以前は、社歴の長い社員がフォローしたり、オフィスで行動する社員を実際に目で見ることができていたと思います。現在オンラインコミュニケーション上で見聞きできる機会はあるものの、どうしても薄く・浅くなり、直接的に見ることより劣ります。

二つ目については、社員の価値観が多様化しているとも言い換えられます。多様化しているゆえに、一つ目に挙げたような見聞きする機会があったとしても、一つのモデルケースがその人にマッチするとは限りません。
例えば、購買活動における口コミと同じで、どの口コミで共感し影響されるかは人それぞれであることと同じです。自分のケース・価値観に結びつけることができてこそ行動に落とし込まれるものです。
A,B,C・・・より多様なケースがあれば、その分だけ自分の状況にマッチする確率が上がり、自分ごと化できる可能性も高まります。

音声メディアの魅力とツール選び

上記の2つの課題の議論から、多様なプロの、仕事を楽しむ・満足せずに仕事に向き合っている様子を知ること、その機会となるコミュニケーション施策を考えることが決まりました。その機会を通して、これまで以上に共感やリスペクトがうまれ、自分ごと化して各自の仕事にポジティブな影響をもたらす状態に繋げていこう、ということです。

肝心のHOWが、音声メディア=ラジオ配信です。メリデメを含めていくつかの案をテーブルにのせ、人事部門内でも意見をもらいました。スラックチャンネルでの情報発信、インタビューコンテンツをnoteで発信、PDF版の社内報作成など。実際にそのいくつかは既に取り組んできており、それなりに評価してくれる人もいたのですが、

  • 気軽さと親しみやすさ
    作業しながら、食べながら、移動しながら聴ける。声が聴こえることで誰かと一緒にいるような、安心感をもたらしたい。

  • 出演時のハードル
    写真や動画だと人によっては出演交渉が難航する可能性がある。気軽に応諾してもらえるようになるべくハードルを下げたい。

  • 運営の工数
    動画編集となるとよりクリエイティビティが求められ、編集の負担が増大。他の広報業務やタスクもあるので、ガソリンを消耗しない企画・方法が望ましい。

こんな条件から、音声による配信方法が選ばれました。
実は社内向けの情報発信チャンネル名が#Carely広報局なんです。役割の認知を高めたい・親しみやすさをもってほしいとの思いからラジオ局に扮していました。放送局はとうの昔に開局していたという!笑

Voicyからこんなニュースも出ていて、この施策の期待感が高まりました。

上記の流れでVoicy使ってますって言えれば良きPRなんですが、残念ながら違います。お話を聞いて営業の方もサービス内容もとても良かったのですが、社内コミュニケーションに予算はない現実。まだ始まってもないところにいきなりサブスク型でコストを発生させられないよって話に。したがって、要件は以下のように。

<要件>
1.費用がかからない
2.操作や編集が簡単
3.社内限定配信ができる

3つ目まで含めると、Podcastは候補から外れてしまいました。公開している企業もたくさんあるのは知ってましたし、広報的には下心もあるので、あわよくば外部の方に聴いてほしい!って思っちゃうところなんですが、そこはグッと堪えて【誰に何を届けたいか】というポイントを優先させました。

今回の企画は、社員に広く聴いてほしいし、普段オモテに出ない&自ら発信しないような方にも出演してほしいと思っていました。外には出さないような裏の話、ぶっちゃけた話も社内限ならより安心して話してくれますからね。

SmartHRさんのオープン社内報についてのnoteも考えをまとめる機会になりましたのでご参考まで。

いろいろ調べた結果、stand.fmというツールを使うことに決めました!手軽に編集可能で簡単な分析もできておすすめです。

ただし、リスナー視点で考えると、アプリをダウンロードして聴かない場合は倍速できません。倍速するなら各自の端末にアプリをインストールしてもらう手間は発生させてしまいます。100%条件に適合するものは少ないものなので、折り合いつけて自他を納得させていくしかないですね。負担を気にしないくらいに企画に魅力があれば良いわけですし。

放送開始に向けた準備

ロゴデザイン

まだ始めてもないのにグッズを買うタイプではないですが、仕事では違います。企画においてロゴは大事だと思っている派です。ありがたいことに社内にコミュニケーションデザインチームがいて、壁打ちしながらデザイン案を作ってくれました。(Mさんありがとうございました!)

確定版 #楽しさ #親しみやすさ #POPさ
その他の案 #手書き #プロフェッショナル #成長
その他の案 #ひらめき #ベクトル #パッション
ファン向けのロゴもついでに依頼(笑)
オタ活の団扇をイメージ。

収録準備・台本作成

私自身が新米パーソナリティなこともあり、台本を準備しました。ただし、自分やゲストとなる社員の負担を最小限にしたいので、台本の読み合わせ&打ち合わせと収録までをセットで最大1時間を設定するのみです。打ち合わせしながら話す内容を確定させていく流れです。ただし、土台がないと心配です。話す・出演に慣れていない社員の方にもより安心して臨んでもらいたいですしね。
ということで、ゲストには事前に5-7分程度の質問フォームに回答してもらい、それをベースに台本(ドラフト)を作成して収録当日に備えています。

質問フォームキャプチャー

ゲストの選定・オファーや台本作成にあたっては、社内に常にアンテナを貼っておくことが大事です。この辺りの工夫は次回のnoteで。

ステッカー印刷

ゲストとファン向けに2種類のステッカーを用意しました。まだ放送も開始していないのにやってしまいました。出演してもらったからには何か記念品を。ファンにも限定感のあるグッズを。前職で読者向けの企画をやっていたので久々の感覚でワクワクしました。とはいいつつ、お金はかけられないのでミニマムロットで20枚程度だったと思いますが、ステッカーを用意しました。
(今は社内認知もとれ、上司にも合意を取れていたので第二弾のステッカー印刷に至っています!)

コミュニケーションデザインチームのみなさん、本当にありがとう!

社内の反応

記念すべき初回放送

これまで#15を放送するところまでやってきました。チームレベルまで落とすとまだ取材できていないチームもありますが、部単位で見ると1部署1〜2名はゲスト出演いただいている状況です。

所要時間は15分前後-25分前後で試してきましたが、現在は15-20分前後に落ち着いています。移動時間・隙間時間にちょうど良い尺なようです。

広報チームとして半期に1度社内からの広報活動満足度アンケートを行なっており、その中でアイケアニストの放送についてFBをもらい、企画の参考にしています。

アンケートは、アイケアニストも含む社内コミュニケーション全体の評価、アイケアニスト単体での視聴回数・目的の理解度・評価(自由記述)をそれぞれ10段階で聞いています。

「目的の理解度」について 2024年1月実施(2回目)

最初の半年は、視聴回数の回答の中で「知らない・一度も聴いたことがない」が20%以上。直近のアンケートでは13%なので減少傾向。一方で、2-3回以上聴いた人が50.9%→70.3%と大幅UPしています。ファンがついている!!!目的の説明は最初から力を入れていたこともありますが、7.07→7.55/10段階へと微増しています。

感想を一部ご紹介。

・ラジオ感覚で聞けるのがよいのと、社内のメンバーのお話なのでとってもイメージがしやすく、どんな業務をしているのかもわかりやすい!
・仕事について誰かがピックアップされている、ということ自体が良い影響がありますね。
・パーソナリティを深く知ることが出来るので良いコンテンツだと思っています。
・前職のキャリアからiCAREに入社した背景・その後iCAREでの活躍までストーリーを知れるので、話した事のない方でも価値観を知る事ができ、コミュニケーションの取りやすさにつながると感じました
・シンプルに聴くまでの時間的なハードルが高いが、それを乗り越えてしまえば試聴していて発見が散らばっているので有意義だと思います。 参加者側としては「聞いたよ!」と実際にコミュニケーションがちらほらあったので実体験として効果は期待できると思います
・100名規模の組織で業務も細分化される中で他部署の人がどんな人物でどんな業務を担当しているかを詳しく知る機会が少ないため、とても助かっています。

広報の業務って成果を普段感じることのない業務(あったとしても何年越しとか)なので、こうやってフィードバックを得られるのは本当に貴重で有り難いことです。中には今後に向けたアドバイスも多くいただきます。それらも有り難く、企画の改善の参考にさせてもらっています。

思いもよらなかったのが、経営陣からのフィードバック。経営陣も100名超えてから社員一人ひとりと向き合う時間がなかなか取れないし、社員のことを知れて嬉しいという意見があるようです。

https://twitter.com/yotayamada/status/1730163126052810942

これは嬉しかった。代表のXより。まじ泣けるわイン京王井の頭線。

まとめ

こんな感じで私のパーソナリティとしての1年間が終わり、社内報ラジオの企画背景〜推進のプロセスと結果までをまとめてみました。

今わかってきたことは、社員間・会社と社員間のコミュニケーション機会を通して、一人ひとりが自分の仕事と会社との結びつきを理解し、働く動機づけに繋げることができること。より誇りをもって働ける組織のプラットフォームのような働きかけだと捉えています。

記事中で紹介したような社内の課題を感じているコーポレート部門や広報パーソンや、社内向けの企画をやっているがマンネリ化している・イマイチ効果がわからない方がいれば、何かの参考になれば嬉しいです。

インタビューする立場は面白いけど、ラジオのパーソナリティとなるとまた別で難しさが倍増します。自分で思っている以上に音声で聴くとテンションは低く聞こえるし、噛んでいるし、ゲストとの間の取り方が酷い時もあり・・・プロってすごい!と思わされます。日々反省と改善の繰り返しですが、自由にのびのびと?やらせてもらえる環境はありがたいですね。
アイケアニストを通して一番楽しんでいるのは自分かも知れないです。(笑)

次回はまた違うtipsを書こうと思います。



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