見出し画像

大人が夜に缶けりしたら缶コーヒーのCMっぽくなった

社会人3年目になった私たちは、毎日満員電車にゆられ、上司のご機嫌をとり、目の前の業務に追われてる。

だが自販機でコーヒーを買うたび思うのである。

「缶を蹴りたい。蹴り飛ばしたい。」

ストレスフルな日々を断ち切り、無邪気な心を取り戻すため、

私たちは全力で缶けりをした。


( ※ 1年前の思い出です)


缶けり準備

まずは、しっかりとした公園リサーチから始まる。大人なので失敗はしたくない。

どうやら皆が集まれる時間帯は、仕事が終わった後の夜になってしまうみたいだ。わざわざ土日に集まってするほどの熱意はない。

夜間でも開いていて程よく距離のある、高田馬場の戸山公園をチョイスした。下見レポートもかかさない。緊急事態でイベントを中止することは許されないのだ。

画像5

画像1

メンバーの誰かが缶けりを知らないというまさかの事態がないよう、缶けりのルールも共有しておく。準備万端である。

画像2


缶けり当日

今回、参加してもらう友達2人とは高田馬場駅で待ち合わせした。3人だと缶けりできそうもないため、会社の同期2人にも来てもらうことにした。友達と同期は面識がない。にも関わらず、まさかの私が遅刻している。やばい。4人とも初めてのマッチングアプリ状態だ、そわそわしているに違いない。

急いで写真を送ろうとするが一切手元にない。ここぞという時に写真を撮ってこなかった弊害だ。仕方ないので、「色白!短髪!くりっとした目!」など特徴だけ伝える。

やっと到着した頃には、私の伝えた特徴に似た人を探して疑心暗鬼になっている4人がいた。

時間が押しているため、公園に向かう道中でお互いの自己紹介を終わらせる。大人には効率の良い時間の使い方が求められる。

途中で、友達の友達が合流した。どうやらカメラ撮影をしてくれるらしい。ありがたや。

公園に到着し拠点を探す。明るくて分かりやすい、滑り台の近くの丘を拠点にすることにした。公園には、健康のためにランニングをしているおじさんや、いい感じの雰囲気を醸し出している若いカップルがいた。今からこの人たちの前で、無邪気に大人の缶けりをするのだ。

画像6

早速、公平なじゃんけんで鬼を決め、缶けりを開始する。鬼は一人、20秒目をつむって数える。その間、そのほかの人たちは物陰に隠れ身をひそめる。私は滑り台の裏に隠れることにした。自ずと、先ほどのカップルを覗き見している人みたいになってしまったが、缶けりに集中する。

スクリーンショット 2020-05-27 2.37.33

スクリーンショット 2020-05-27 2.38.02

1試合目は、鬼の裏に隠れていたファインプレーによって、すぐに決着がついてしまった。またじゃんけんで負けた人が鬼になり、再スタートする。

何度も試合をするにつれて、私たちは感じ始めていた。

「どうやっても鬼が弱い」

大人になると身体能力が顕著なため、足の速さがモロ影響してしまうのだ。一試合終わるたび皆で話し合い、何度もルールの改正を行う。

【鬼側】
・鬼は缶を踏むのではなく、缶を中心とした直径15cmの円に入ったらOKとする。
・タッチをしてもOK。
・隠れている人を見つける基準は、身体が10%ほど見えたら。足先だけ見えるなどはだめ。

【隠れる側】
・隠れる範囲は缶から10m以内。
・捕まったら捕虜となり、鬼側の味方となる。だが捕虜は缶の周りにしかおれず、また缶の周りの直径15cmの円には入れない。居場所のヒントもだめ。缶付近でのタッチはOK。

少々複雑なルールになってしまった。それでも議論は続く。

「もっと公平にすべきだ!」

「もうルールなんて決めないで、純粋に楽しもうよ!」

「というか荷物大丈夫?盗られてない?」

いろんな意見が対立する。少しでも邪念があると、皆が全力で臨むことはできないのだ。

皆の合意を得られるルールが決まらぬまま、体力が底をついてしまった。

不本意な顔を浮かべつつ、今回は解散となった。


それから数日後

友達の友達に撮影してもらったデータを見返した。あまりに青春っぽい素敵な動画になっていた。どうした。カメラマンの腕が良すぎる。


そんなこんなで、なんだかんだあったが、
大人のいざこざを一切感じさせないCMが出来上がった。


楽しかったが、私たちはもう大人だった。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?