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【アート記録】写実よりもリアルなデフォルメ - 本質を捉えた彫刻家 ブランクーシ

先日、アーティゾン美術館で開催されている「ブランクーシ 本質を象る」に行ってきました。20世紀彫刻の先駆者と評されるコンスタンティン・ブランクーシの展覧会です。 彫刻というと、ミケランジェロの「ミロのヴィーナス」や、ロダンの「考える人」のようなリアルな人物像などが浮かぶ方が多いのではないでしょうか。 しかし、ブランクーシの彫刻はちょっと違います。例えばこんなもの。 卵、卵、なんか挿さってる卵… ぱっと見ただけでは何がモチーフになっているのか分かりづらいですが、 これは全て

    • 【回顧録】魔法の料理 - BUMP OF CHICKEN

      私の姉は、子どもの頃からBUMP OF CHICKENが大好きだった。 家族でドライブする時にはいつも、姉のウォークマンからBUMP OF CHICKENの曲が流れていたので、私もサビを聞けば曲名がわかる程度には詳しくなっていた。 でも当時の私はあまり歌詞の意味を深く考えることはなくて、頭に入ってきた音をそのまま真似してみたり、伴奏を楽譜におこしたらどんな音符になるかなあとか(中学の私は吹奏楽部だった)、そんなことを考えて聞いていた。 姉と離れて暮らすようになってからは

      • 【読書記録】コンビニ人間 個人的ハイライト

        多様性の現代の中にある均質な世界 組織の人間に求められることは 「使える」かどうか。 それは、多様性が求められる現代においても変わらない。 変わらないために変化する 人間が体の恒常性を保つために代謝を行うように、 組織も変わらぬ営みを続けるために絶えず変化している。 「普通」に溶け込んでいく「異物」たち 郷に入っては郷に従い、朱に交われば赤くなる。 その社会での「普通」に溶け込むために、人は絶えず変化する。

        • Her lip to の新ブランド ”ROSIER”のConceptが秀逸すぎる

          本日Her lip toからローンチされた新しいランジェリーブランドROSIER。 コンセプトがとっても素晴らしかった♡✨ 先日私が書いたフェミニズムについての記事のなかにも登場した、ラディカルなフェミニズム(ジェンダー解放やジェンダーレス)。 それが時にすこし行きすぎて、「女性らしさ」を前面に出しにくくなることもあるこの頃。 それに対する小嶋陽菜さんの 「自分の好きなもの、そして自分自身を愛そう。」 というメッセージが伝わってきました。 美しい世界観のなかに、

        【アート記録】写実よりもリアルなデフォルメ - 本質を捉えた彫刻家 ブランクーシ

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        • 短歌
          5本

        記事

          【短歌】愁恋歌

          遥か遠くに見える空は どこまでも高く青いはずなのに 彼女の踏みしめる土は 水を含んでしっとりと柔らかい。 しとしとと降り止まぬ霧雨は 艶やかな黒髪をさらに深く濃く沈めてゆく。 漆黒の髪に包まれた、雪のように白い肌。 紅色のもみじや山吹色の銀杏が鮮やかな木々の中に 彩を失った世界がひとつ。 頬を伝う雫は 鮮やかな風景を反射するばかりで 決して彼女を同じ色に染めてはくれない。 彼女の頬を紅く染めることができるのは 遥か彼方の高く青い空だけなのだ。

          【短歌】愁恋歌

          フェミニズムにもいろいろ種類があると知った話

          以前「女性活躍」についてのライティングをする機会があった。 これまでフェミニズムに縁もゆかりもなかった私は、手当たり次第にGoogleでフェミニズムについての論文やウェブサイトを調べてみた。 調べた中で、以下の論文が、特に歴史を理解するのに役に立った。 フェミニズムの歴史は大きく2つに分けられるというのが有名な話だそうだ。 1つ目が、19世紀後半から20世紀はじめに主に欧米で展開した女性の参政権を求める運動で、2つ目が、1970年前後のウィメンズリブに始まる現代の女性

          フェミニズムにもいろいろ種類があると知った話

          【短歌】ハレトケ

          デパートの地下一階には、所狭しと華やかなお菓子たちが立ち並ぶ。 クリームたっぷりのケーキにカラフルなマカロン、キラキラのゼリーに様々な形のチョコレート。 どのお菓子も極彩色の包みを身にまとい、私を選んでちょうだいとばかりにショーケースに肩を並べる。 ハレの日にぴったりの、甘くて可愛い贈り物。 そんなお菓子たちに目移りしながらフロアをぐるぐると周り、三周目に差し掛かろうとしたその時。 レジの向こうに、白い紙に印刷された「○○芋店」の文字。 折りたたみの長テーブルに赤

          【短歌】ハレトケ

          【ショートストーリー】とりあえずコーヒー

          大学4年の冬。卒業論文の提出を1ヶ月後に控えた千春は、今日も図書館の一角でパソコンに向かっていた。 2階のパソコンルームには大きな円卓が5つ、島のように並んでおり、それぞれの円卓に4つずつパソコンが設置されている。 千春はいつも一番奥の円卓で、部屋全体を見渡せる向きに座っていた。 パソコンの脇には参考文献やプリントアウトした先行研究、そしてタンブラーに入れられたホワイトモカ。 一息つきたい時や、ここぞという頑張り時には、大学にあるスターバックスで買ったホワイトモカを飲

          【ショートストーリー】とりあえずコーヒー

          【読書記録】最近読んだ本

          グレート・ギャツビー最近自分の中で考えていることにフィットする表現があったのでpick upしてみました。 「自分らしさ」が重視される今日この頃ですが、 そもそも自分らしさとは何でしょうか。 ダメなところも認めてありのままの自分でいること? 無理しない・背伸びしないこと? ・・・確かにその考えも一理ありますが、私はそれよりも 『「自分が理想とする人物像」を思い描いて、 日々の言動や選択をその理想に寄せていくこと』 これが「自分らしく」生きるということなのでは、 と

          【読書記録】最近読んだ本

          子どもの頃の思い出の本

          ふと思いついて、子どもの頃に読んだ小説の中で特に記憶に残っているものを集めてみました。 同じ本が好きだった方、いらっしゃるかしら...。 シェーラひめのぼうけん 昔からアラビアンナイトの世界観が好きだったので、この本も大好きでした。 空飛ぶ絨毯、虹色の指輪、煌びやかなショールなどなど、幼い少女たちを魅了する小道具がたくさん。 そして何と言っても、佐竹美保さんの挿絵が繊細で美しい✨ 何度も映し絵や模写をして楽しんでいました。 強くて活発なシェーラとルビーが好きです。あん

          子どもの頃の思い出の本

          【テーマエッセイ】アイスクリーム

          とある夏の日、私はアイスクリーム屋さんでアルバイトを始めた。 家の近くのショッピングモールのフードコートにあるアイスクリームショップ。 接客業をやってみたいけれど、不器用な私がレストランなんかで働いたら、きっとお皿やグラスを割ってしまう。だから、ワレモノを扱わないところが良いな。 そんななんとなくの理由で選んだ。 一通り研修を終えて、いよいよアイスをすくう練習。 まずは先輩がお手本を見せてくれた。 大きな四角い容器に詰め込まれたアイスクリームに、スクープという大

          【テーマエッセイ】アイスクリーム

          道引く者になるということ

          「私、隣の県にある〇〇高校に行きたいです。今までこの高校を受験したことのある先輩って、多分いないと思うんですけど。」 急にそんなことを言い出して、中学校の職員室を震撼させたのが中学三年の夏の私である。 *** 季節は少し戻って中学三年の春。 成績は優秀で、このまま頑張って勉強していれば県内のどの高校へも行けるだろうと、学校の先生からも塾の先生からも期待されていた私は、進路希望用紙といつまでもにらめっこしていた。 県で一番の進学校で、東大合格者も毎年輩出している△△高

          道引く者になるということ

          【短歌】月の短歌 / セーラームーンのダンス 〜ダンスにおけるフォーメーションの重要性〜

          十五夜の夜をイメージした短歌です。 月の真ん中(十五夜)には、月に住むうさぎたちが、皆が食べるお餅を懸命についている姿を見ることができます。 ただ新月や三日月、半月など月が欠けている時というのは、うさぎの姿が完全には見えていません。 そういったときには、実は皆が見ていないところで、こっそり隠れて自分がついたお餅を食べているのかしら?なんて考えてみたり。 *** 月と聞いてふと思い出したのが、我らが美少女戦士セーラームーン。 私が幼い時から大人気のアニメで、皆それぞ

          【短歌】月の短歌 / セーラームーンのダンス 〜ダンスにおけるフォーメーションの重要性〜

          【ブルーピリオド展】に行ってきました

          先日、天王洲アイルにて開催されているブルーピリオド展に行ってきました。 漫画「ブルーピリオド」は、美術の世界にのめり込んだ男子高校生、矢口八虎とその仲間たちの物語。 この展覧会では、実際に漫画に出てきた絵の展示や物語を追体験できる展示、名画解説など様々なコーナーがありました。 森先輩の天使の絵主人公矢口八虎が美術の道に進むきっかけとなった、森先輩の天使の絵。 肌色を塗る前の緑の天使と、肌色が塗られた天使が並ぶ様は、ミュージカル「ウィキッド」のエルファバとグリンダを彷彿

          【ブルーピリオド展】に行ってきました

          【短歌】えんとつ町のプペル

          七夕の 見上げる空に 厚い雲 無煙火薬が 欲しくなる夜 今月7日は七夕でしたね。 七夕といえば天の川ですが、毎年七夕の夜は空が曇っていて、天の川を見ることができないような気がします。 今年も案の定曇り空を見上げるばかりの夜でしたが、 そのときふと、ミュージカル「えんとつ町のプペル」に登場していた無煙火薬を思い出し、それで厚い雲を吹き飛ばして、美しい天の川が見られたら良いのになあ、と思ったのでした。 *** ミュージカル「えんとつ町のプペル」は、キングコングの西野亮廣さ

          【短歌】えんとつ町のプペル

          【短歌】夏の想ひ出

          灯火か 儚い夜に 散る蛍 火照る頬にも 夏はありけり 先日友人たちと箱根温泉へ訪れた時に、詠んだものです。 ちょうど前日から蛍の鑑賞会が開催されているとのことだったので、温泉を楽しんだ後、鑑賞会に参加することに。 会場の門をくぐると明かりは殆どなく、 蛍の光だけが闇夜を照らす。 暗闇の中で、たくさんの蛍がぼうっと光っている様は とても美しく、また灯火のように儚いものでした。 そして美しい光景を無心に見つめる者の横顔もまた、 とても美しいものです。 蛍鑑賞や花火大会

          【短歌】夏の想ひ出