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小さな小さな庭の草と木1

夢と蕗

庭の蕗の薹


十数年前のこと。
娘が叶えたひとつの夢が夢のようでうれしくて(実現可能性が低いと思えて、でもそんなこと伝えられず、ただ応援するしかなかったので)帰り道、少し遠回りして道草をしながら歩き、道端の蕗を摘んで庭に植えました。うれしくて道端の花を摘む、というのは私にとってごく普通のことですが、この日はうれしさ極まって根っこごと持ち帰ったのでした。

喜んで摘み、うきうき持ち帰り、小さな庭に植え付ける私を、きょとんとして見守り、付き合ってくれた娘。

以来毎年のびのび、にょきにょき生えて、春を告げ、たのしませてくれる。手入れもせず放ったらかしのうえ、蔓延りすぎたら刈り取られ、食べられたり、染めの材料になっり、お土産になったり。

夢が叶った記念の蕗。
強くありたいと願ったあの日、そのままの強さの蕗。
今年ますます満開です。
雨にもめげず、啓蟄です。

庭の蕗と蕗で染めた糸

フキ
Petasites japonicus

出雲国風土記や延喜式にも登場するというフキ。
学名のjaponicusのとおり、日本古来の植物のひとつで、暮らしに根付き、古くから栽培もされ、煮物、漬物として食用のほか、咳止め痰切り、消化薬など薬用としても暮らしに取り入れられてきたという。
キク科の雌雄異株で、雄株の花は薄っすら黄みのある白で、雌株の花は白く、花後に花茎が高く伸び、ふわふわの綿毛となるのもかわいい。
アイヌ語で「フキの下の人」は「コロポックル」。

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