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草木と手織り ・ 織ったり染めたり績んだり紡いだり裂いたり 野と畑からはじまる 草の糸…

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草木と手織り ・ 織ったり染めたり績んだり紡いだり裂いたり 野と畑からはじまる 草の糸と布づくり ときどき、森 ・ https://saecoori.stores.jp

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  • 旅するように織る

最近の記事

旅して糸日誌17

東吉野村の染織工房空蝉さんに滞在2日目。 桜染めスタート。 吉野の山桜。 新たに煮出したものは、 山の手入れをされている方から分けていただいているもの、 工房の近くの少し倒れかけたもの、 の2種類。 また、少し前に煮出してタンクで熟成させた染液も。 何から何まで用意万端で、感謝するばかり。そして、学ぶところも大きい。 染液をブレンドして3種つくり、 染める素材もいくつかバリエーションがあり、 パズルのように、染液と媒染液とを行ったり来たり。 途中、村のおいしいパン屋さんへ

    • 旅して糸日誌16

      昨日、東吉野に入りました。 桜を染めたくて、蕾の時期に訪れたいという願いが今年叶いました。 朝一番のバスで最寄駅へ向かって東京へ、で、ちょうど良い新幹線を予約しておき、京都から大和八木へ向かってちょうどよい時間に大和八木で待ち合わせというスケジュールだったので、朝一のバスに乗ることがこの日唯一のミッション。なのに、調べていた時間は最寄りのひとつ隣のバス停の時間だったことに気づいたのがギリギリになってからで、準備しながら靴を磨きたくなったりして、バス停まで荷物を引いて猛ダッシュ

      • 小さな小さな庭の草と木1

        夢と蕗 十数年前のこと。 娘が叶えたひとつの夢が夢のようでうれしくて(実現可能性が低いと思えて、でもそんなこと伝えられず、ただ応援するしかなかったので)帰り道、少し遠回りして道草をしながら歩き、道端の蕗を摘んで庭に植えました。うれしくて道端の花を摘む、というのは私にとってごく普通のことですが、この日はうれしさ極まって根っこごと持ち帰ったのでした。 喜んで摘み、うきうき持ち帰り、小さな庭に植え付ける私を、きょとんとして見守り、付き合ってくれた娘。 以来毎年のびのび、にょき

        • 旅して糸日誌15

          2023年8月7日 最後の朝、工房は雨雲の中でした。 ずっと晴天に恵まれて、とても幸運でした。 いつかの葛まみれの私を撮ってくれていました。 森の成分を浴び続けました。 山の水にずっと触れていました。 ありがとうございました。 古代より人々の手仕事を育んできた森への旅で見えたこと、感じたことをひとつひとつ形にしていこうと思います。 旅がものづくりの一部となるように、暮らすように旅をして、帰ってきて、日常への愛おしさが増しました。 絶えずさまざまな境界を行き来しな

        旅して糸日誌17

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        • 旅するように織る
          16本

        記事

          旅して糸日誌14

          2023年8月6日 明け方、流れ星が見えた。 朝一番で川へ。2ラウンドで流し終え、日向に干す。 昨日合流した方と今日合流した方と弘子さんと再び川へ。私はサポートにまわり、皆さんのお手伝いをしながら、流された葛苧を探して少し下流を歩く。かなり見つかる。石拾いもたのしむ。お昼前に流し終える。  鮎づくしの定食を皆でいただく。 午後からは苧麻。残り時間を考えながら、苧引きするものと、皮つきのまま干すものとに分ける。かなりの量。 夕方、全て終える。 東吉野村にあるビール醸造

          旅して糸日誌14

          旅して糸日誌13

          2023年8月5日 朝から川へ、と思っていだけれど、発酵が進んでいない。仕方ない。皆さんの染め作業に参加させていただく。コチニール。自分だけならきっとチャレンジできないもののひとつ。空が映る染液が心地よい。 染めている間に、今日は庭師さんが来ていたのだけれど、庭の苧麻を山ほど刈ってきてくれる。 弘子さんが知らぬ間に庭師さんに頼んでおいてくれたとのこと。ありがたや。自分で刈り尽くしたと思っていたら、斜面のあたりにまだまだあったようで、とたんに大忙しになる 昼ごはんはよしの

          旅して糸日誌13

          旅して糸日誌12

          2023年8月4日 朝一番で室へ。今日、川で流せる発酵具合であることを確認し、コーヒーをいただいて、出かけようとすると、何か食べて行った方がいいんちゃうと、トーストをいただく。 落ち着いて。まずは1輪持って川へ。今日はまず、よい作業場を確立することから。いつもの場所から少し歩いて浅瀬で流れが真っ直ぐで底が平なあたりにする。竹棒を固定する大きな石を設置したり、流れてしまったものが引っかかるように、少し下流に棒を設置したり。快適な青空と森に囲まれた本日の作業場完成。一輪流して

          旅して糸日誌12

          旅して糸日誌11

          2023年8月3日 朝一番で室の見回り。いい感じだと思う。庭を散策していると鹿がしきりに呼び交わすのが聞こえる。苧麻を刈る。とにかく数を引かないと上達しないと思い、細めのものも含めてたくさん刈る。 コーヒーをいただいてから、藍建てをご一緒させてもらう。作っておいた灰汁を色々混ぜてphを調整。とてもよい蒅。灰汁を混ぜて捏ねる作業も楽しくできる。山の中は午前中は涼しいので、熱いお湯を使った作業も楽ちん。 染め場から見上げた空にオオタカかな、気持ちよさそうに飛ぶのが見える。

          旅して糸日誌11

          旅して糸日誌10

          2023年8月2日 朝から葛を煮る。時間に頼らず、匂いや色をしっかり確認。室もススキを刈ってこんもり作る。 昨日の苧麻を引く。少し手が早くなったのか、思ったより早く引き終わったので、新たに刈って湧き水に浸ける。午後も苧麻を引く。気づいたら夕方。毎日夕立があるので、廊下並べて干す。 #東吉野村 #葛 #染織工房空蝉 #濱口さえこ

          旅して糸日誌10

          旅して糸日誌9

          2023年8月1日 午前中は昨日綺麗にならなかったので湧水に浸しておいたものを再度綺麗にする。思ったより、しっかり繊維がとれる。 昼頃出て、桜井の辺りで買い物を済ませ、庭師さんの葛情報を元に富雄川を目指す道の途中、とてもよい刈り場を見つける。そうだった、こんな手触りで節が長い葛。灼熱の中、夢中で刈る。もう今年は終わりかと諦めかけていたので、舞い上がってしまう。庭師さん情報の場所でも少し採り、2日分確保。もう少し採れたかも、と思うけれど、流す作業を考えると、このくらい。

          旅して糸日誌9

          旅して糸日誌8

          2023年7月31日 早起きして、菟田野方面へ。葛刈り。思ったより伸びているものが少ないけれど、歩いて探しだす。 刈る時に長さを揃える。蔓から伸びる葉や横枝の落とし方にも注意を払う。ここでしっかり揃えることが、川に運んでからの作業がうまくいくコツだと分かる。 なるべく本数も同じに括り、揃った輪が連なるのは気持ち良い。 弘子さんの役所や郵便局の用事を済ませ、一旦湧水に浸けに戻ってから、朝ヨガへ。よしの庵というお蕎麦屋さんが会場。古民家の心地よい広間。扇風機を回し、エアコン

          旅して糸日誌8

          旅して糸日誌7

          2023年7月30日 午前中は、昨日のクソカワ落としで、流されて絡まった葛の繊維を水に浸けておいたので、染め場でたらいに水を張り、綺麗にする。苧麻や赤麻も、水に浸けていたので、いろいろ苧引き。 11時頃暑くなってきたので、川へ。朝は寒くて冷えてしまいそうだったので、陽が高くなるのを待った。 ひとまず、I輪。 発酵具合は良さそうだけれど、水分が少ないカサカサの印象。大丈夫かな。 バリバリに避けてしまい絡まりがち。 午後も川へ。今度は残りの2輪。やっぱり裂けてしまうし、岩に

          旅して糸日誌7

          旅して糸日誌6

          2023年7月29日 朝は涼しい。赤麻の染め続き。生機のリネンガーゼ地を染める。落ち着いた色になりました。 藍の手入れ。青が見えてくる。近場や庭の赤麻、苧麻をとらせてもらい、湧き水に浸ける。庭の半夏生が綺麗なので、他の庭の草と合わせて活ける。ちゃんと花を活けると背筋がピンとするから不思議。 朝一番と昼間と、室の見回り。昼間に見たら、ぐっと発酵が進んだ気がして、午後の予定までの時間で一輪だけ、クソカワ落としをしてみようと急いで支度をして川へ向かう。 ウォーターシューズを

          旅して糸日誌6

          旅して糸日誌5

          2023年7月28日 室(葛を発酵させるため、稲科植物たちで作ったベッド)に水分が足りない気がして心配になる。白いものは着いているけれど、カサカサな気がして心配。枯草菌頼みなのです。よろしくお願いします。 今日も歩く日。 この辺りの葛を探してみる。 全く違う姿をしている。 木々が重なっていて森になっている。立ちすくして見入ってしまう。険しい斜面で人が入ることは出来なさそうに思えるけれど、林業の跡がそこここに残る。 染めと糸づくり。 灰汁の準備。 藍甕のひとつが復活しそ

          旅して糸日誌5

          旅して糸日誌4

          2023年7月27日 森を歩く日。 まずは去年、赤麻が茂っていたところを目指す。しかし、草刈りされたのか、水嵩が増えてなぎ倒されたのか、ほとんどいない。 歩く道々に顔を出す赤麻や苧麻は小さくてかわいすぎる。仕方ないので糸でなく、色をいただくことに切り替えて、赤麻を摘む。 緑が柔らかな道。 煮出しながら、苧麻の苧引き。真っ白を目指すより、色が残るくらいがいいや、の感覚で引く。ステンレスの板を削って自作した刃を研いできたものが使えそうでよかった。 赤麻は一晩は置いて明日染め

          旅して糸日誌4

          旅して糸日誌3

          2023年7月26日 5:00起床。 朝一番の川は深呼吸をたっぷりしたくなるほど美しい。木々や草、岩と石と流れ、空気が美味しい。しかし、ここに葛は茂っていてもいい葛はいない。 いい葛を求めて、下流の方へ。地形や陽あたりなどいい葛の環境にについてあーだこーだとおしゃべりしながら進む。染めの材料になりそうなものも見つけると止まるので、危ない😁クサギ地帯をたくさん見つけました。 朝日が厳しくなってきた頃、いい場所に辿り着き、昨日よりたくさんの収穫。そこにはカラムシもススキもたく

          旅して糸日誌3