理想的な熱

体がほてって眠れない。眠れないと不安になる。不安になると眠れない。寝るためには気を紛らわせる必要がある。私の場合、考え事を文字に起こすことがリフレッシュになる。

「理想の自分」を考えたい。
もし自分の能力や性格をクリエイトできるなら、どういう人にするか。絵空事だけど、漠然と指標になると思う。指標はある方が考えやすい。
もちろん、あるべき姿を設定すると自分はどうしてもそれから劣るため、ありのままの今を認めるべきだと言う考えも頷ける。しかし、それがいかに難しいことかも知っているつもりだ。だから、とりあえず指標を言語化してみて、それを追うほうが自分の生き方として合っているか試してみたい。そういう実験だ。

とはいえ、理想の自分といっても難しい。
今の私にはさまざまな特徴がある。例を挙げてみよう。漢字が得意。芸術が好き。他人に寄り添おうと心がけている。正直。平均的な生真面目さ。要領が良い。よく褒められる。尊敬できる人に囲まれている。
もう十分な気がしてきた。それもそのはず、私はここ2年、今の自分に満足する練習をしてきた。満足しているところから、理想の自分を考えるのは難しそうだ。

では、内面ではなく外に目を向ける。外の疎ましいところ、すなわち他人の苦手なところをいくつか考えてみる。
例えば、私は不平不満を垂れることしか面白いことを知らない人は苦手かもしれない。他人や権威への陰口ばかりを楽しいと考えている人は、私には合わないようだ。
次に、理性や常識のない人は対処できない。例えば子どもは、理性で予期できない動作ばかりする。その結果、相手を傷つけてしまうかもしれない。それが怖い。
最後に、人を大切にできない人は心底合わない。それこそ独りよがりな人間は、良い関係を築くのが難しい。一方通行に自分の話ばかりで、相手の好きな物の一つも知らないような人。相手の言葉を無下にする人。そんな人は私にとって度し難い。
主にこの3点が私の許せないポイントだと思う。では、それをひっくり返すと理想の自分が得られそうだ。すなわち「面白いことをたくさん知っていて」「教養や知性を備えていて」「人を大切にし、自分をひけらかさない」人が私の理想のようだ。

実際、そうだと思う。そんな人がいたら俺は飽くなき尊敬を注ぐだろうし、実際にそんな人が何人か思い当たる。
ただ、そんな人間はかえって人間らしくない。正直言って、苦手だ。気後れする。まともに話せる自信がない。空回りして変なこと口走るはずだ。
そもそも、許せない特徴があったとしても自分は許せる。先ほどのポイントは強いて挙げただけである。たとえ友達がそういう片鱗を見せたとて、声を荒げたり縁を切ったりしない。私が人間を許すことくらい造作もない。
さらに、上記の特徴を備えるためには膨大な努力が必要だろう。もちろん、近しいところを目指すが、それほど努力はしたくない。もっと楽なところで良い。

ということで私としては一つ結論が出た。
理想の自分になるのは面倒だから、理想っぽい人を探した方が簡単そうだ。だから、できるだけそういう人がいそうなコミュニティを探し、勝手知ったるふりをして、"本物"を見つけよう。
そっちの方が楽だ。そうします。

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