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制服に青い爪

窓際の一番後ろの席というのは、幸せの象徴だ。
しかしながら、たくさんの背中を見ながら正気でいられるはずもないのである。

ブレザーが覆っているのは血だらけの背中かもしれない。短いスカートで傷だらけの腿を覆っている女の群れ。行間休みに彼女らが連れ立ってトイレに行くのは、その血を拭うためかもしれない。もしくは新たに血を流すためかもしれない。

体操服が似合わなくなってきた彼女たちにむかって、何も知らない可愛い少女がいやだいやだと泣くのだ。懸命に走るスニーカーに人工芝はまとわりつく。

普通のふりをしなければ自由が与えられない社会だから、彼女らは必死に風呂に入り丁寧に髪を乾かすのである。

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