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パンダのいない動物園

暑い。
お盆を過ぎてもまったく涼しくなる気配がなく暑い。
お盆が過ぎれば涼しくなるよ、みたいなことわざがあったはずと思って調べてみたらお盆じゃなくてお彼岸だった。
あと1ヶ月ある。白目を剥きそうになる。

とはいえ1ヶ月後には「なんか涼しくなってきて夏が終わる気がしてせつない」とかたぶん言っている。
自分勝手もはなはだしい。

暑くてやってらんないっすわ、って思うのは人間だけじゃなくて、動物たちも例外ではない。
ある時、真夏の動物園に行って、動物たちがもうこれっぽっちもやる気がない状態を見てから、その状態の動物たちを眺めるのが好きになった。向こうからしたらたまったもんじゃないと思うけど。

久しぶりにそんな状態になっている動物たちを眺めたいと思って、とっても暑くなりそうな日に動物園に行った。

甲府市に市営の動物園があって、規模とか雰囲気とかかなり好き。前述の夏バテ動物園もこの動物園。今はリニューアル中で行けないので、そこそこ近くの多摩動物公園に行くことにした。

多摩動物公園は公園などと優しい名称をしているけど、多摩動物山と名乗ってほしいくらい高低差がある動物園なのでそこそこの心づもりが必要。まるでハイキング。という感じの情報を見て確かにそうだなと思った。
しかも猛暑なので熱中症対策も欠かせない。
ほんとうにちょっとした登山みたい。
子連れの家族はうまく園内バスを利用した方がいいと思う。

ぶっとい柱が体を貫いている象の像が出迎えてくれる入場ゲート。
凄い勢いで券売機から吐き出された入場券をたずさえて入場。鳥インフルエンザ対策がいまだに続いているようだ。

おおまかに山ゾーンとサバンナゾーンで分かれているイメージで、山ゾーンは園内バスがあるけどサバンナの方はバスがない。
今回体力があるうちに山ゾーンを攻めて、後半サバンナに行くことにしたんだけど、絶対逆の方がいいと思った。サバンナもそこそこ歩く。体力があるうちにサバンナを練り歩いて、後半はバスをうまく活用しながら山に向かうのが得策な気がする。

かなり暑かったけど、雲で日差しが隠れる瞬間もあってか、思っていたより動物たちは元気だった。暑さに強いだけかもしれないけど。
と思ったけどやっぱり半分くらいは日陰や小屋から出ていない。

みんなが暑さでやられているなか、レッサーパンダだけはすごく元気に外を走り回って遊んでいた。じゃれあってる姿がまじでかわいい。マヨネーズかけて食べちゃいたいくらいかわいい。優勝。
あんなに毛むくじゃらなのに暑さに強いのかな?と思っていたら隣の小屋の中では丸太にぐでーんとなっているやつもいたので真相がわからない。
ただこの子は、暑くても暑くなくてもこの調子でぐでーんとしているような気がする。
レッサーパンダはパンダに入りますか?

オオカミのケージの前に「Get Wild」と書いてあったので某曲のイントロが脳内でウォーミングアップを始めたけど、その目の前の檻の中に野生とはかけ離れた姿のオオカミがいて笑っちゃった。見たかったのはまさにこれ、この姿。ワイルドをゲットどころか手放しちゃったやつ。
立派な馬がいるな〜と思って紹介をみたらウマ(家畜)と書いてあってちょっと狼狽えた。
ワラビーも尻もちをついちゃうレベルで暑い。跳ね回ってる子なんていなくてみんな寝そべっていた。

ちょくちょく姿を現してくれない動物たちがいた。
特に見たかったトラもそのうちのひとつ。オオカミのやる気のなさを目の当たりにして、トラにはかなり期待はしていたのだけど、寝そべっている姿さえ見せなかったのはがっかりを通り越して、もはやあっぱれという具合だ。また会いにくるね。
オランウータンも1匹も出会えなかった。

シマウマが一歩も動かずに小屋の扉の方を向いていてぜったいに中に入りたいんだろうな、と思った。
鳥たちも静かに様子をうかがっている。

サルたちも暑さにうんざりという具合だった。
マンホールの蓋をさながらDJのようにこねくり回している子がいたのが面白かった。あれは一体なんだったんだろう。手のひらが痒かったようにも見えたけど。
子ザルたちのじゃれあいがかなりヒートアップしているのを眺めていたら急に他のサルたちが大慌てで駆け寄ってきてちょっと怖かった。あれも一体なんだったんだろう。仲裁にしては誰も2匹の間に割って入ったりはしなかったけど。

サル山を降りたらいよいよサバンナゾーン。
この頃にはもうかなり足取りが重い。全身汗でびしょびしょである。入り口で園内マップをもらい忘れて、目的の動物やトイレを探して何度か行ったり来たりを繰り返したのがここで響いてきている。ちゃんと地図はもらいましょう。
さっきトラは見れなかったけど、チーターは元気そうだった。動物園の動物とはいえど、目が合うとやっぱりちょっとドキッとする。

ライオンバスにも乗った。スタッフの人たちが出発の時に手を振ってくれるんだけど、ちょっとだけ深読みしてしまう。
ライオンたちも、もう限界といった様子で普段はバスについてる肉を食べに登る台の下の日陰でぐったりしていた。うちの猫と姿がダブって見えた。
バスは何周かしてくれたけど、ライオンたちはついに一度も動くことはなかった。

サバンナを抜けて最後に昆虫館に行った。
みんなギャーギャーいいながらもちゃんと見ている。
ここで働いてる人たちは昆虫食のこと、どう思ってるんだろう。

最後にチョウチョドームでチョウチョと戯れてきた。
チョウチョがマジで無理な人にはマジで地獄でしかないと思うけど、いろんな蝶を間近でみれておもしろい。
いろんなところにチョウチョがいるので、チョウチョを踏んだりふれたりしてしまわないようにめちゃくちゃ気を遣った。ここが1番疲れたかもしれない。すごく楽しかったけど。
ドーム出口にある「体に蝶がとまっていませんか?」の問いかけが人によっては致命的な一撃になりかねないと思う。

ドームを出たところにホタルの展示があった。展示が暗すぎて写真では写っている左側のパネルが、肉眼ではほんとうに何も見えない。写真を現像していて初めて気づいた。それくらい暗い。

真夏の動物園はかなり体力的にきつい部分もあるし、その割に動物たちもかなりぐったりなので活動的な動物たちを見たいひとたちにはあんまりおすすめはしないけど、そういった動物たちの一面を見るのもそれはそれでかわいいので楽しいなと思う。

今回は会いたかったトラに会えなかったので、また遊びに来よう。涼しくなった時にも来てみようと思います。ほかの動物園にも行ってみよう。
甲府の動物園のリニューアルもすごく楽しみ(4年後)。

では、また。

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