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みどりの日

またまたまたまた横浜に行った。今年4度目の横浜。どういうペース?別荘構えてる??
しかも4回中3回がtacicaのライブ。これはもう行くシカないのだ。シカたのないことなのだよ。

今回はひとりじゃなくて大学の同級生のみどりちゃんといっしょに観にいく。おんなじ軽音サークルで、在学中もよくライブを観に行った。
卒業してからもよくいっしょにライブを観に行っている。突然連絡して誘っても嫌な顔しないでついてきてくれる。とても優しいんです。

ぼくは好きなバンドの物販は先行販売があれば可能な限り先に購入しておきたい性分なので、今回も余念がない。
なんなら今回はこのライブから発売される音源があるってんだからなおさら余念がない。一途ってやつ。たぶん。

みどりちゃんも今回はライブ前に時間があるということで、先行販売が終わってから中華街をテキトーにぶらつくことになった。

ほんとうにちょっと病気な気がするけど、こういう時、予定されている時間よりかなり余裕を持って行動してしまう。
今回も昼前には中華街に着いていた。物販が始まるのは14時予定。自分でもちょっとうろたえる。シカたないのだ。

時間がある、腹がすいている、ここは中華街。
となれば探すしかない、おれの空腹を満たす昼食(ワンピース)を。なんで急にワンピースが出てきたのかわからない。ちなみにぼくの中のワンピースは60巻で止まっている。

中華街を練り歩くけど、これと言っておれの腹の虫の手綱を掴んで離さないような、ガツンと訴えかけてくる店がなかなかない。なんなら店よりも、ビルに反射していろんな方向に伸びている光に目が向いてしまう。

あれ?もしかして、あんまりお腹すいてない?
いや、そんなことはない。ずっと腹の虫は鳴き続けているのだ。ちょっと胃が痛いまである。

店先に並んでいる胡麻団子たちを眺めていて気づいた、中華街って食べ歩きするのがメインなのかもしれない。
きっとそうだ、だってさっきからすれ違う人たちみんななんか持って食ってるもん。
でもすまない、違うんだ。今日の俺はそういうサクッとって感じじゃないんだ。もっとこう、ガツンと、ドロっと、ジュルリとって感じなんだよ、わかってくれ。

優柔不断すぎて昼飯の店が決まる前にライブが終わってしまう雰囲気が世の中に漂い始めた頃、30年前のMacレベルの処理能力のぼくの脳みそが一つの提案をしてきた。"の"が多いな。

ぼくの脳内に突然降り注いだ"揚州商人"というワード。この4文字がぼくのX(旧Twitter)のタイムラインに時折舞い降りる。その度にスカした顔で、"へえ、なかなかうまそうじゃん?"なんて、内心よだれをだらだら垂らしながらいいねボタンを押している。

この瞬間(とき)しかない。運命というものがあるのなら、まさに今、これを運命と呼ばずしてなにを運命と呼ぶのか、といった勢いで足を伸ばした。

メニューがたくさんあって死ぬほど迷った。迷っている間にライブが終わってしまうのでは?という雰囲気が店内を席捲し始めた頃、たしか酸辣湯麺が美味しいという情報があったはず、と思い出して、それに決めた。
カタコトめな店員さんがアプリを入れると餃子が無料というのでまんまと乗っかった。

酸辣湯麺、めちゃくちゃ美味しいんだけど、気管支がかろうじて管を保ってるくらいの激弱なので、すするたびにむせる。しかもちょっと辛いので、汗腺の栓という栓が緩み切ってるぼくは、持ち前の謎代謝のおかげもあって数秒で汗だくになる。ハウルの魔女が階段をのぼってるシーンを想像していただければ相違ない。

いやしかし箸が止まらない。唇がヒリヒリしながらもすすることをやめられない。こぼれ落ちるのが汗なのか涙なのかももうわからない。

びしょびしょになりながら一口ごとにむせる悲しいモンスターがそこにいた。ちなみに麺が3種類のなかから選べて、ぼくは店員さんにすすめられるがまま普通の麺を選んでしまったけど、どうやら細麺が美味しいらしい。これほんと、世間を揺るがすレベルの情報なのでここだけの話にしておいてほしい。揚州商人フリーカーには常識なのかもしれないけれど。

また行きたいな。酸辣湯麺にもリベンジしたいけど、他のメニューも試してみたい。

汗だくのままライブ会場へ向かい、無事にグッズとCDを購入。直後にみどりちゃんと合流してあてもない散歩を始める。
なんとなく海の近くに行こうという話になって、海をめざして歩き出した。

その日はマラソン大会が催されていて、主要めな道路が通行止めになっていた。
大会自体は終わって、片付けをしている最中だったけど、消えてる信号機と車道を自由に歩き回る人たちに、なにか特別な感じがしてワクワクした。

海に近くなればなるほど、風がとても強くなった。
帽子なんかかぶっていようものなら絶対に巻き上げられてしまうだろうくらいの風。気持ちよさと煩わしさのちょうど中間くらいの。
遠くの方で風車が気持ち良さそうに回っていた。

おおさん橋のほんとうに手前まで来たけど、その先には進まなかった。
茶をしばきたくなったので、ライブ会場の方向へ戻りつつ、どこかゆっくりできそうな場所をさがす。

マラソン大会のせいなのか、通常でもこうなのか、全然わからないけど、どのお店も基本的に混み合っていた。
かろうじて座ることができた某珈琲屋さんで軽く茶をしばく。
スケーターボーイが警察に注意されてた。それでも滑ろうとするあたりなかなかである。

山下公園に行ったことがないというので、行ってみることにした。もちろんぼくも行った記憶がない。
銀杏の絶望的な香りにむせかえりそうになりながら道を渡って山下公園へ。
この頃には日もかなり傾いていて、高い建物以外は日が当たらない。

たくさんの人が思い思いの楽しみ方をしている。隅から隅まで見て回るのに1日かかってしまいそうな広さ。この規模の公園を堪能するためだけの休みが欲しい。
みどりちゃんは公園内のいろんな花にテンションが上がっていた。

公園を歩いていると否が応でも目に飛び込んでくる存在、マリンタワー。時間もあるしのぼってみようかという話になった。
もちろんぼくものぼったことはないけど、心が疼いてしまったからシカたない。

銀杏ストリートをふたたび横切り、マリンタワーのふもとへ。銀杏のせいかなんだか靴底がペタペタいう。
タワーを下から見上げるのが好きだ。なぜだかわからないけど。その先に見える空も好き。

エレベーターで一気に29階へ。このエレベーターがガラス張りで1番怖い。

ランドマークタワーとは比べ物にならないくらい低いけど、この眺めはこの眺めで良いなと思った。他のビルが近くて、現実味があるというか、なんというかリアルな感じ(語彙ゼロ)。
結婚式をやっていて、30階にはのぼれなかった。ひとつのぼっただけで、どれくらい見え方が変わるのだろうか。

とはいえ29階でもかなり高い。時々揺れるし、足元がガラスになっていて下を見れる場所があって震えた。震えたけど、そこにはなぜかリアルを感じない。ややこしい感性してやがるぜ。

ちょうど日が沈む時間で、かなり良いタイミングでのぼったもんだな、と思った。
みどりちゃんが一生懸命夕陽を撮っている。「うまく撮れない〜」みたいなことを言っていたので、「難しいよね。こういうのは自分の目で見とけばいいんだと思うよ」と、それとなくそれっぽいことをそれっぽく言った。何様なんだおれは。

幡野さんの"夕陽そのものじゃなくて、夕陽で照らされたものを撮ったほうがいい"って言葉を思い出していた。

タワーを降りてライブ会場へ。
ライブは言わずもがな最高。何回みたって何回だってみたい。そういうもんです。
ぼくの意味を全部飲み干したい。

ライブの後に夕飯を食べて帰った。
中華料理屋では豆苗を炒めたものがすごく美味しいと、ぼく調べの統計上でわかっている。

ただ値段設定が絶妙で、ぼくは毎回「この店レベルの火力を自宅で用意できない料」だと割り切っている。
とはいえやはり中華街、と言った値段設定ではあったけれど、この店の豆苗も例に漏れず美味しかった。

最近はライブの感想を言い合う時間もあまりなかったから、やっぱり誰かとライブを観にいくのは楽しいな、と思った。
友人の「ここでアガった」を聞くのも楽しい。
こんなふうに大学時代から続いている行事ってなかなかないから、やっぱり貴重な機会だなと思う。

大学時代の延長みたいな部分と、社会人になってからの生活の部分とか、ここまで共有している友だちもなかなか多くないし、めちゃくちゃありがたいです。ありがとう。

これからもできるだけ一緒に行けたらいいね。
ライブじゃなくてもたまに遊びましょう。

では、また。

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