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ANA 国際線ファーストクラス ザ・スイート

ANA First Class The Suite (June 2023) 

今回は、ANAのファーストクラスについて記そうと思います。2019年8月からANAは新しい機材の導入を開始しました。2023年6月、コロナ後のANAファーストクラスに乗ってニューヨークを往復しましたので、詳細をお伝えしようと思います。

ニューヨーク・JFK空港のファーストクラス・ラウンジ

ラウンジ
羽田空港では、ANAのファーストクラス・ラウンジを使用します。コロナ後ということで空港はとても混んでいましたがラウンジは比較的空いていて快適でした。成田と比べるとちょっと面積が小さいような感じがしましたが、特に不満もなく快適な時間を過ごすことができました。

JFKでは、ターミナルにあるラウンジを使用します。
こちらかつてはBritish Airwaysのファーストクラス・ラウンジを使用していましたが、現在はターミナルからBAが撤退してしまい、とても寂しいファーストクラス・ラウンジとなっています。ビジネスクラス・ラウンジの方がむしろ明るく、人もいて楽しいくらいでした。JFKラウンジは改善の必要があると思います。置いてある食事は少なく美味しくないです。ドリンク類は普通にあります。ただビジネスクラス・ラウンジと同じもので特別感はなく、とりあえず出発まで座っている場所と思ってください。羽田の素晴らしいラウンジとは天と地の差があります。

シート
ファーストクラスの目玉であるThe Suiteのシートは、素晴らしいです。詳しく見ていきましょう。
シート配列は1-2-1です。真ん中の2席はパーテーションをおろすと二人でスペースを共有できます。夫婦や恋人同士などだと到着まで一緒に旅ができます。パーテーションを上げると1人用の座席となります。
シートの形状は扉付きで個室状態となります。ただ上部は空いているので完全に密室になるわけではありません。それでも座るとほぼ個室気分です。JALのファーストクラスは扉がないので、その分ANAの方が落ち着きます。扉は2枚あり、それぞれ独立して開けたり閉めたりできます。
シート幅は約84cm 。シングルベッドくらいの大きさです。シートは電動で座席からフルフラットまで簡単に動かせます。ベッドにして扉を閉めるとプライベート感が増します。
ビジネスクラスのThe Roomと似ているので、もはやファーストクラスはいらないという方が多いですが、実際に乗ってみると疲労度が違います。13時間のフライトでも、全く疲れることなく気持ち良い旅が保証されるのです。これにはThe Roomでいいと思っていた私自身が驚きました。
足元が広いこと、ベッドにした時の長さが違うことでビジネスクラスとは段違いのゆとりを作り出していて疲れないのだと思います。

ファーストクラスのシート

機内エンターテイメント
巨大なスクリーンがシート前方に装着されています。前方の壁が全てスクリーンです。ビジネスクラスのモニターも大きい(24インチ)ですが、ファーストはさらに大きくとても見やすいです。
コンテンツはビジネスクラスもエコノミークラスも同じです。見やすい地図、豊富な映画やドラマなど不満は全くありません。
私は映画は映画館で見るタイプなので、機内ではモニターがどんなに大きくてもノイズ・キャンセリング・ヘッドホンがどんなに素晴らしくても映画を見ることはしないのですが、長時間フライトには映画を数本見て時間を過ごすのも楽しいのではないでしょうか。

前面全てがモニター

機内WiFi
座席に着くとWiFiの無料券をいただきましたが、結局機内では何度トライしてもつながりませんでした。おそらく機材トラブルだと思いますが、私は機内ではどうしても仕事をしたりメールをしたりすることはないので、気になりませんでした。WiFiがないと困るという方は、気をつけたほうがいいですね。

ハード
トイレはウォシレットがついていますが狭いです。広さはJALの方が優っています。ファーストクラス用は2つあるので待つことはありませんし、使用後はすぐにCAの方がお掃除してくれていますので、いつでも気持ちよく使えます。
ちょっとだけ軽食を置いてあるようなスペースはありません。ファーストクラスなので、CAさんに頼めば何でも持ってきてくださるので、問題ないのですが、ストレッチしたり談笑できるスペースはないです。テロ対策、コロナ対策などもあり、このような余計なスペースはなくなる傾向ですが、リラックスできるスペースがなくなってしまい残念です。
アメニティは、ビジネスクラスとあまり変わりないのではないでしょうか。ファーストクラスで追加されるのは持ち帰りOKのジャージくらいでしょうか。昔はファーストクラスに乗るといろいろと戴けましたが、この辺りは簡素化されているようです。

機内サービス
ファーストクラスですのでサービスに不満はありません。特にANAのファーストクラスのCAさんは皆さんベテランですのでとても気持ちの良いサービスに徹してくれます。The Suiteは扉も閉まるので、それほど濃いコミュニケーションを取ることはなかったのですが、食事の際などは適度な会話が素晴らしいです。過剰なサービスということはなく「適度」さが気持ちよかったです。

機内食

機内食
ANAファーストクラスの機内食はいつも素晴らしいのですが、コロナ後になって急に残念な感じになっています。かつての美味しさはなくなりメニューの数も減り、かつてのワクワク感は消滅しています。
まずはメニュー例を紹介します。
<アミューズ>
・アミューズは以下の料理が一口程度提供されます。
 アプリコットとゴートチーズ
 スモークサーモンの薔薇仕立て
 マッシュルームデュクセル
 チーズペッパーバー
<洋食>
アペタイザー
・かつては1人の乗客にキャビアが1瓶供されていましたが、今は以下のような感じです。
 キャビアを添えたカリフラワーのムース
 ズッキーニで巻いたブッラータチーズ 
 海老と帆立貝のガトースタイル
メインディッシュ
 (肉料理)牛フィレのステーキ
 (魚料理)シーバスのソテー
ブレッドセレクション
チーズプレート
デザート
・洋食は全体的にファミレスレベルまで味が低下しています。コロナ前のANAは素晴らしい洋食を提供していたのですが、おそらくコストダウンしたのでしょう。
<和食>
先付
 ホタルイカと筍の生姜醤油あんかけ
前菜
 鮑ときゅうりの土佐酢ジュレかけ
 帆立貝磯辺揚げ
 サーモンとクリームチーズのキャベツ巻き
 飯蛸
 さつま芋レモン
 合鴨トマト煮 
 ブロッコリーニ昆布締
温物
 牛赤味噌煮込み
小鉢
 うすい豆腐
主菜
 魚塩焼 蟹あんかけ
ご飯
甘味
・見た目は華やかですが素材のクオリティが悪くなりました。

メニューの文字だけ見ると魅力的ですが、味はかなりがっかりです。スターシェフの起用は宣伝的には華々しいのですが、美味しくないです。これはビジネスクラスも同様です。かつてのように機内食を本気で企画して機内食工場のシェフたちが開発していた頃の方が美味しいし楽しかったです。これは早急に改善が必要です。ANAに乗りたいと思う重要な要素であった機内食が他社と同等がそれよりも劣るのはとても残念です。

いつでも戴ける軽食もメニューの数が減り残念です。2000年代にあったうどんは是非復活させて欲しいです。そしてビーガンメニューはあってもいいですが、ラーメンは美味しくないですね。

総じて
ANAのThe Suite。まだ限られた路線でしか投入されていませんが、世界の航空会社のファーストと比べてみてもトップクラスの素晴らしさです。エミレーツやSQのスイートも素晴らしいですが、ハードとサービスのバランスを考えると、私はANAが一番好きです。
今後の改善点は、食事をコロナ前のレベルに戻すこと、そしてThe Suiteの機材を増やすことだと思います。価格もそれなりにしますが、満足できるものです。

最後に注意点
The Suite にかかる問題ではなりませんが、ANAについて記します。
チケット購入サイトのデザインが変わり、使いにくくなりました。コロナで本業以外の収益を上げたいという気持ちはわかりますが、航空券を購入するやり方がよくわからなくなってしまいました。本業を忘れて迷走している経営陣がよく見えてしまっています。
そして宣伝、広報も迷走しまくっています。ANAの機材の素晴らしさ、サービスの素晴らしさ、各ディスティネーションの魅力などを普通に発信すればいいのに、身内である社員のダンスやアニメやアイドルを使った意味のない宣伝、動画配信など、混乱の極みです。
まずはブランディングのプロを入れて、素人社員が作るYoutube番組や、わかりにくい副収入目当てのサイトデザインはやめて、本業である航空会社に戻っていただきたいです。
ついでにANA Payも使いずらいですね。サービスが始まった当初から言われていますが残高が見えないとか、マイルがいつたまるのか不明など、会社にとっての都合よさをお客さんに押し付けている感が強いです。
かつての顧客フレンドリーなANAはどこに行ってしまったのでしょうか。
早急の改善をお願いしたいです。



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