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不味いラーメンを食べた話

生まれて初めて不味いラーメンを食べた。
美味しくないラーメンなら食べたことはあるけど、スープがザラザラしとったり麺がはりがねレベルで固かったりで要は好みの問題やけん美味しくないラーメンには罪はない。

大体お店自体が臭かったんよ。
豚骨ラーメンは臭いもんやろって思うやろうけど、そんなんじゃない。
なんか獣みたいな生臭い匂い。
お水運ばれてきた時点で連れが「なんかコップが臭い」ってニヤニヤしとったもん。
結局ラーメンが運ばれてくるまでの間、ずーっとニヤニヤしながらヒソヒソ話しよった。
「ねえ、ばり臭いっちゃけど」
「やばいね。夜ご飯時なのにお客さんおらんし」
「食べログ★3.6やったのにね」
「どうする?ばり不味かったら」
「その可能性あるやん」

肝心のラーメン。
具は海苔と紅しょうがとチャーシュー。
スープの色は濃い茶色。
先に手をつけた連れが「あやちゃん、これ、味うっすい」って耳打ちしてきた。
震える声から笑いを堪えとるのが分かった。
ちょっと怯んだけど、気合を入れてうちも麺をすする。
たしかに薄い。ほのかに豚骨醤油の味。
いや、味が薄いだけなら良かったっちゃん。
やっぱ臭いんよ。
あと麺がやわいしスープがやたらベタベタしとる。
今も思い出すだけで吐きそうやん。

それでも我慢して食べ進めるうちに気付いた。
「これ犬の匂いや!!!」
こうなったらもう終わり。
脳内に昔飼ってたトイプードルがチラついて、笑いが込み上げてくる。
連れも笑いを堪えきれんのか臭いけんなのか知らんけど終始むせながら食べよるし。
笑ったらいかんと思うと笑いが止まらんくなるのって何でやろうね。
最終的に連れはむせながらも完食しとったけん「なんだこいつ...キモ..」と思った。
うちはごめんなさいしました。
本当にごめんなさい。
でも、マジであの不味いラーメンは犬の骨でも使っとらんとできんと思う。
お店を出てから「ばり犬の匂いしたやん」と言ったら、猫派の連れは全然ピンと来てなかった。

後日談
連れのママとおじいちゃんによると、あのラーメンは地元民の懐かしの味で臭いには臭いけどそれがおいしいらしい。
「昔のラーメンはまずかった」という結論に至った。

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