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UBIDAY2019に行ってきた

 10月6日。ベルサール秋葉原で行われた『UBIDAY2019』に行ってきた。
 世界中にスタジオを持ち、E3で単独カンファレンスを開催するなど、業界の一角を形成するゲームメーカー『UBISOFT』の日本法人が主催するイベント。
 ゲームの試遊を並べるのみならず、グッズ販売やステージイベント、コスプレにキッチンカーまで出し、学園祭のような趣で行われている。
 今年のテーマとして掲げられたのは『LET’S PRETEND!』
 ふりをする、真似るという意味で、つまりは『コスプレ推し』にしてしまおうというもの。毎年多くのコスプレイヤーが「え本職?」というくらい気合いの入ったコスを披露することでも有名なイベントだが、今年は簡易コスプレが楽しめるマスクの配布や、フォトスポットの拡充など、なりきって楽しむことを斡旋するという。

 と、ここでUBIDAY歴8年。すべての会に参加してきた私は考える。毎年毎年あついコスプレを見せつけられ、自分も興味をそそられなかったわけではないものの、トムクランシーシリーズの地に足着きすぎちゃってる小道具の数々や、アサシンシリーズの芸術的衣装を前に、流石に気安く足を踏み入れる気にはなれなかった。
 が、今年発表された『WATCHDOGS LEGION』が、いわゆる固定主人公ではなく、登場する人物全てを操作でき、しかも変装も顔を隠すくらいと聞いて、ぐぐっと近くなった気がした。つまりゲームの設定を擬える必要がなく、独自の解釈を組み込め、しかもアイテムも少なく済むということだ。しかもPVに出てきた、王冠被ったスカルマスクがかっこいいこと!
 正直41になって初コスプレってのもどーなの?という最後のバイアスもかかっていたが、御歳五十にしてジバニャンのコスプレに挑まれた偉大な先輩に敬意を表し、エイヤとAmazonでグッズを買い揃えた。
 バラクラバ、スカルマスク、そして王冠。武器はでかい顔と身体でも目立つデザートイーグルをセレクト。スーツはあり物でいけるが、シャツとネクタイを目立つ色にしたかったので購入。しめて10,000円でおさまった。
 余談だが、Amazonはコンビニで荷物の受け取りができるのだが、バラクラバやDEが受け取り不可になっていたのは面白かった。その場で使っちゃ困るもんなァ。

 素人らしく衣装合わせの時間を取れずに、当日その場で調整することとなった。ハサミと両面テープを携えていざ秋葉原!
 会場につき、クロークに入ると早速歴戦の猛者たちが着々と準備中。ひとのこと言えた義理はないが揃いも揃って物騒なアイテムを引っ提げていらっしゃる。職質かからなくてよかったねぇみんな。
 そんな周囲とは打って変わって、ありものスーツにスカルマスクという軽めの独自解釈DedSecに扮する私。着慣れなさすぎる衣装にこれが正解なのか?と何度も鏡を見直し、隣で着替えるピンク色のタチャンカという突き抜けた独自解釈に気後れを感じながら、クロークにて荷物を預けて屋外へ踏み出した。
 余談が続くが、後で知ったことなのだが、この手のイベントで更衣室や姿見やクロークが無料で用意されていることは極めてまれなことらしい。UBIの器量と本気に改めて敬服する。

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 前日まで30度に迫る陽気が続き、スーツにコートという冬の出立をするつもりだった私は、予定変更を本気で考えていたが、表に出ると、日が適度に隠れた、霧雨程度の空模様だった。うん、天は味方している。おそらく。
 とはいえ初コスプレで連れもおらず、なにをしていいやらわからない私。とりあえず我らがらんこさまにあいさつをして一驚してもらったものの、することがない。ぷらぷらDEをふりまわしていると、通りがかった女の子が「わ!びっくりしたあ」と驚きつつはしゃいでくれた。お、なんかたのしいぞこれ。
 そんなこんなしているうちに「写真撮らせてもらっていいですか?」と、おずおず話しかけてくる人がちらほら。あえて声を出さずうなずいてポーズ。「あざまーす」と嬉しそうに去っていくのを見ると、うん、やっぱりたのしいぞこれ。
 カール・ユングの提唱した『ペルソナ』という有名な心理学概念があるが、人は仮面を被るものであり、さらに物理的仮面をかぶるとかなり変化するらしい。それが証拠に、普段は絶対やらない、女の子の肩に手を回して2ショットを撮る、なんていう離れ業も難なくこなしている始末。恐るべしスカルキング。

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 会場には試遊台はもとより、ゲームをモチーフにした背景で写真が撮れるフォトスポットが3箇所設置され、うち1箇所は好きなゲームの画像と合成できるという手のこんだもの。3フロアを有した会場の2階フロアの約半分を更衣室に割いたレイアウトといい、毎年「参加して遊ぶ」ことへの配慮が手厚いのが、UBIDAYの大きな特色ではないだろうか。
 そしてその3フロアのうち1フロアを占有して作られたのが、物販エリアだ。毎年その完成度とセンスの高さから人気が高く、大行列の末に完売も頻発し、争奪戦の様相を呈するUBIグッズであるが、今年は「死ぬ思いで発注した」(辻マーケティングディレクター談)品数と15台のレジでUBIファンを迎え撃った。
 結果、閉会間際まで続くこともあった行列は早々捌け、売り切れも例年より少なく、ファンには大満足な物販になったのではなかろうか。

 なかろうか、というのも、私自身今年は物販に行かなかったのだ。それどころか試遊もしなかった。
 ゲームのイベントに行きながら何をしていたのだ。とお叱りを受けそうな話だが、スカルキングの格好で終始会場を彷徨いていただけだった。8時間もそんなことして退屈しなかったかと思われるだろうが、これが全く飽きなかったのだ。
 参加者の方から写真を求められたり、海外の方に生まれて初めて「オーマイガー」と言っていただいたり、小さいお子さんに泣かれちゃったり(いやほんとごめんなさい)しながら過ごしているうちに、時間の方があっという間に過ぎていたのだ。慣れない格好で過ごしたせいか、テンションが上がっていたらしい。
 唯一、コスプレイヤーを一堂に集めたランウェイに参加しそびれたことで少々悔いを残したが、充実した1日を過ごせたことは明記したい。

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 そしてこのことについても書かねばならない。私は参加できなかったが、今年UBIDAYは初の地方開催を行ったのである。
 かねてから……というより、この類のイベントには常に上がる声なのだが、UBIDAYの地方開催を求める声はずっと強かったのだが、今年ついに大阪市は堂島での開催が決定したのである。しかも東京開催の翌週という詰め込みぶりに、UBIファンは驚嘆した。
 しかし好事魔多し。数日後に発生した台風19号が西日本に上陸すると予報され、ファンは予報円と睨めっこすることとなる。
 結果として開催日の直撃は免れたものの、大事な準備期間を直撃され、運営プログラムは大幅に縮小されることとなった。
 しかしそれでも、イベントの盛り上がりは確かだったようで、多くの来場者が訪れ、荒天の中なんとか現地入りしたスティーブ社長と福井PRマネージャーが、急遽プチステージイベントを行って盛り上げるなど、満足の結果だったらしい。
 だからこそ、参加者の多くは悪天候を疎んだのだろう。リベンジを望む声も比例して大きく聞こえるイベントとなった。

 以前週刊ファミ通誌で行われたインタビューで、スティーブ社長が自社を評して「育て甲斐のある海外ゲームメーカー」と語ったのを思い出す。
 育てるユーザーの声と手を受け取るメーカーの気風が見てとれる言葉だと感心したが、今年はその骨頂を見た思いがした。
 参加者、スタッフの安全を第一に、それでいながら最大限の楽しみを提供しようとする姿勢。あたりまえのようで容易ではないそれを、UBIは見事やってみせたのである。
 長文になったが、最後に全スタッフの皆様に対し、改めて最大限の敬意と感謝を表し、来年への期待を多分に乗せて稿を閉じる。

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