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読書記録

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グレーな人間は美しい〜正欲を読んで〜

あなたは白の人間ですか。それとも黒の人間ですか。 そう問われた時に、間違いなく自分は白の人間だ、黒の人間だ、と言える人間なんているのだろうか。 スターウォーズのダースベイダーにもジェダイの戦士だったときがあるし、ロード・オブ・ザ・リングのフロドだって指輪の誘惑に負けたことがある。 どんな人間だろうと内側に白と黒の両方を持ち合わせているはずだ。 だが、社会はそのグレーな人間を白と黒に線引きしようとする。 そうすると、自分の中にある黒の部分を社会が否定しにかかるということが発

推し、燃ゆを読んで

ページをめくるたびに流れていくどこか冷静な言葉に、「ああ、私はこの感覚を、この感情を知っている。」、そう思った。既視感と嫌悪感がじりじりと胸を焼いた。 2021年に生きる人間の姿を、時代を、とても簡潔に表していて美しい文章だった。 ・現代の推しとファンの関係のひとつの終着点の物語燃えたことで、浮き彫りになっていく推しという「人間」の姿と、見て見ぬ振りをしてきた自分という「人間」の山積みの問題たち。 肉体の重さや、静脈を流れる酸素が欠乏した黒い血を感じさせる文章が、美しく軽や

CLAMP作品における目の役割について

『CLAMP作品を読むと性癖を狂わされる。』 まことしやかに囁かれているこの言葉。 Twitterで「CLAMP 性癖」で検索すると、悩ましいながらも本当は特段別に困ってもないときにつくため息のようなつぶやきが日々生み出されているので、なるほど真実なのかもしれない。 そういう私もCLAMP作品を通ってきているので、何かしらの性癖を狂わされているのかなと頭を巡らしてみたところ、ひとつ思い当たるものがあった。 目である。 高校時代、生物の授業で最も好きだった分野は目の仕組み

本が私に読ませてくる感覚

学生のころ、よく訪れる大好きな本屋さんがあった。 小さくてせまいお店だったが、そこに行くと必ず私は何冊か本を買ってしまうのだ。本の数が桁違いに多いであろう大きな本屋さんではぐるっと見て回っても結局何も買わずに出ていくこの私が。 その本屋さんではそこの書店員さんチョイスの本の紹介文がそこかしこに貼られていたり、その本屋さん独自の特設コーナーがあったり(湖沿いのお店だったのでそこにちなんで鉄道沿線事件ものを集めたマニアックなものなど)と、なんというか温かみと手作り感が満載だった

「BANANA FISH」という劇薬の効果と副作用の記録

まさにその日は 「BANANA FISHにうってつけの日」 だったのかもしれない。 8月12日は奇しくもアッシュ・リンクスの誕生日だった。 そうとは知らずいつものように仕事のおともにたまたま選んで見始めた映像に、こんなにも頭の中をかき乱されることになるとは思いもしなかった。 自分の中で決着を付けたい問いが2つある。 おそらくほとんどの人が抱くであろう、見終わってからずっと頭の中を駆け巡るその問いは、「しんどい」だけで終わらせるにはあまりにも簡単すぎるし、「尊い」で片付ける

私を構成する5つのマンガ

ここ数日家にこもってぼーっとしては寝るという猫のような生活が続き、「人間として頭を働かせたい…」と思っていたところにとても素敵なお題があったので嬉々として書いてみました。 ①価値観の根幹:カードキャプターさくらいまの私の価値観に確実に根付いている漫画です。 私の中の「かわいい」は全てここに凝縮されています。魔法、魔法陣、魔法の杖、マスコットキャラクター、手作りのお洋服、お菓子作り、テディベア作りなど。(ジャニーズのライブでペンライトを振ってテンション上がるのは絶対魔法