見出し画像

A_021 ステートメント 『あの時のソフトクリーム コーンかカップか どうでもいいことだった?』

ステートメント

『あの時のソフトクリーム コーンかカップかどうでもいいことだった?』
この物語にはちょっとした続きがあって、その続編を何となく3月初旬に沖縄で演じてきました。おそらく、また次に会うときもコーンかカップかを選ぶことになる。それは彼女なりに意味がある。多分、僕にも同じことが言える。
どうでもいいなんて綴っているものの、その大半はそれでなければならない瞬間だったりするのだ。
今回の展示は、過去に行った展示とは全く違ったコンセプトで臨んだ。
過去を振り返る中で、「人の存在」「時間軸」をテーマに道具や被写体の縛りを設けずにセレクトを行った。結果的に、M型Leicaで撮ったもの、Nikon Z6 CONTAX T2、IXY、写ルンです等、多種多様なカメラ・レンズ・フィルムで撮ったものが並ぶことになった。もっとも得意とする「人の視界」ではなく、きっとその道具でした捉えられない瞬間を残したものもたくさんある。
何かを残そうとしたとき、「何でもいいや」と言って残すことはゼロではない。しかし、そこに選択はあるのだ。替えが利かない選択だ。
あの時、あの瞬間、どうでもいいことだった?なんて思えることはきっともう来ない。重なるように、彼女の選択を聞いた。
「どうでもいい?」
「いや、きっと、これがいい」

どうでもいいことなんて 僕らの生活にはたくさんあるけれど
そのどれにも意味があることを 僕らは知らないふりをして 実はわかっている

展示のこと

『あの時のソフトクリーム コーンかカップか どうでもいいことだった』の冒頭の1枚 / 2023年3月撮影

今回で4回目となる個展。展示の初心者だった3年前を思い起こすと信じられないこと。関係記事を連載しようと思ってそのまま何度か展示機会を経たこと。ある意味展示に慣れた側面はあるのかも知れません。

展示を行うときは、気合を入れてコンセプトを決めて取り組むわけですが、上述の通り、今回は長いタイトルに加え、人よりもスナップを中心に「作品」と「時間軸」を意識した展示にしました。
ここでいう「作品」は、手にとってみたいであるとか、足を止めて眺めてみたいものを指します。もう一つの「時間軸」は、2023年という1年を通じて、写真との接点を僕なりに感じるものを選び、景色・色・時間で並べています。
2024年を目前とした最後の写真がこちら

A2サイズでプリントした今回のもう一つのメインビジュアル / 2023年12月撮影

この写真の後、時間軸は展示冒頭の2023年春に戻る。組み立ては、展示会場をループする僕自身の記憶をイメージしています。

「作品と時間軸」

スタンダードなポートレートを選択しなかったのは、「人」を撮る作品の1枚1枚の強さが展示空間を構成する上で限界があるからです。ポートレートの否定ではなく、今の僕自身の延長に限界を感じてしまったから。食卓に並ぶ料理が全て唐揚げだったらどうでしょう。初めはいいかも知れませんが、きっと胸焼けします。
選ぶ段階から胸焼けしそうだったので、完全にそれを回避しに掛かった結果そうなりました。唯一、顔の写った写真もこの一枚だけ。


敢えて視線を感じるものを選ばなかった / 2023年3月撮影

人であることがわかればそれでよかったし、写りすぎることは今回の展示で望まなかったこと。そして、展示を見た人に1枚の写真から感じる時間的余白を想像して欲しいという思いもあります。
2023年に撮った数万枚の写真から選ばれたのは29枚の写真でした。あまりにも圧縮された時間を僕自身がどう感じるかも含めて意味のある展示にできました。

本当はこだわりたかった道具

2024年1月から、社内の人事異動により同部署の別業務を担当していた社員がいなくなり、その業務のほぼ100%が僕の元にやってきました。時間的な余裕がなく、展示のディスプレイをもっとこだわりたかったのですが、そこまでできなかったこと。それが最大の後悔。
写真の展示と聞くと「プリントして額縁に入れて並べる」ことだと思う人もいるはずです。実際に合同展示などではプリントの品質管理もままならないまま展示している人が多くいます。この話はまた別の機会にしましょう。どうしても長くなるので。
僕自身、白壁のアトリエで展示をしたいと考えているものの、やはり時間的制約から在廊はもちろん、会場の開錠・施錠が難しいこともあり選択肢が限られてしまいます。結果、いつもお世話になっている近藤カメラさんの店頭で展示をさせていただくことにしました。


限られた展示空間だからこそ、工夫し、こだわって道具を作り込みたかった。その点では、時間も考える余裕も不足していたことが現時点での後悔です。もっと早くから取り掛かれているはずなのですが、締め切りギリギリになるのは悪い癖。
限られた時間だったのですが、タイトルに沿った工夫を行なっています。ぜひ展示ではそれを見て楽しんでいただけると嬉しいです。

展示が終わる頃には、展示後記を記そうと思っています。
noteの右上を見ると現在の入力文字数が表示されるのですが、大体原稿用紙5枚分くらいを書いたので、今回はこの辺りで・・・。

展示の詳細

Akito Iwanaga 4th photo exhibition
会期 3月13日〜25日
会場 近藤カメラ 〒812-0011 福岡県福岡市博多区博多駅前2丁目1−1 B2F
メインビジュアル 成瀬みく

オンラインでも展示写真をご覧いただけます(有料)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?