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雨の日と東京とマクドナルドのチキンナゲット。

幼児期(赤ちゃん)の頃の話。
リトルな私は、当時、股関節に異常があったそうで、「このままでは一生歩けない」とまで言われていたそうだ。結構な規模の手術をして、お陰様で今は普通に生活を送れている。

「20歳になるまでは、毎年、定期健診を受けにきてください」と言われていたそうだが、順調に回復し、私の記憶では小学校1~2年生が最後だったと思う。稀に関節がキューンと痛んで動けなくなってしまうような事もあったが、少し休めば治るし、ここ数年はそのようなことも一切ない。

定期健診は東京のどこかの病院。
病院での事は全く覚えていないが、病院の帰りにマクドナルドに寄ったことは覚えている。当時、私の住む田舎にはマクドナルドがなかっため、「マクドナルド=東京でしか食べられないもの」という、ド級のブランド価値を持っていた。

大好きだったチキンナゲットを買ってもらい、4ピース目を食べ終えたところでお手洗いへ。「最後の一個、ぜーーーーったいに食べないでよ!!」と両親に力強く言い、席を立つ。


急いで手を洗って席へ戻ると、ない。
チキンマックナゲットの最後の一個がない。

「食べないでって言ったじゃん!!!誰が食べたの?」と両親に問い詰めると、「あの人だよ」と、マクドナルドの入り口付近にいた若い男性を父は指差した。男性は薄い緑のビニール傘を手にしていた。鮮明に覚えている。

私もバカではない。
赤の他人が、私のチキンマックナゲットを勝手に食べる訳がない。

「そんな訳ないでしょ!」

「ここのテーブル(私たちが座っていた)の脇を通るときに、ひゅっと手を出して、パクって食べちゃったんだよ。大学生かな?お金ないんじゃない?まぁ学生だし、仕方ないよ。」

「え?!なんで止めなかったの?!怒らなかったの?」

「だって、パクって食べて、そのままお店の外に出ちゃったんだもん」

バカではなかったが無垢だった私はこの話を信じ、「東京には怖い人がいる」と思った。怖い人から取り返すのもイヤだったので、「買って買って!1年に一回しか食べられないんだよ!」とせがんだが、「もう電車の時間だからダメ」とたしなめられた。

雨が降ってマクドナルドの前を通るとたまに思い出すのが、
これ、絶対にウソじゃん!

多分だけど、父が私の話を聞いていなくて、悪気なくパクっと食べてしまったのだと思う。父に会ったら本当のことをきこう、きこう、と思って忘れている。いつか絶対に問い詰めてやる。

書いていて、思わず思いだした2曲。

│空耳アワー「ナゲット割って父ちゃん!」

☝原曲は本当にカッコイイです!!(Rage Against The Machinです)

│Theピーズ カラーゲ

「うっかり便所に行っている間にみんな食われちゃった。
 カラあげ食いたかったんだぜー」

☝まさに、この状況!

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