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手を繋いで

数十年前のある日

私は猛烈な頭痛をおこし
眠れぬ夜を過ごしていました

下の子は
まだ、小学1年生
放っておける年齢ではありません

夫も私も
実家は遠いので親には頼れません

やむなく
夫に電話して帰ってきてもらいました

夫が早めに帰ってきてくれた頃には
幻覚ぽいものまで見えていました。

夫が心配して
昼間かかった病院にもう一度連れて行ってくれましたが、診療時間が過ぎているからと
総合病院の脳外科に連絡してくれました。

総合病院ではレントゲン、MRIを取りましたが異常なし。
「明日、脳神経外科を」
と言われ、そのまま帰宅。
その日は痛みと幻覚に苦しみました。

翌日の診察でも異常なしで
「精神科を」と紹介され

その足で精神科へ

脳波検査
てんかんの検査

全て異常なし

結果「鬱病」と診断され
寝れないのは良くないと
睡眠薬を処方されました。

ここから3ヶ月
私は寝たきりになってしまいました

食事も取れず
トイレもはっていく状態

入浴はシャワーだけ

空な目で
フラフラな私を
目が離せないと

仕事も長期休暇をとって
看病してくれました。

その間の子供達の面倒も
全て見てくれました。

会社からは
「病院に入院させてしまえ」

と言われてたようですが、
「病院にいれたら帰って来れなくなる」
と思ったとか。

少しずつ回復していく中で
ちょこっとだけ仕事に行く日もありましたが、すぐ帰ってきてくれました。

夜中に突然、叫ぶ私の手を握り、
「大丈夫大丈夫」と、声かけてくれたり
変なものが見えると言えば、
「なんか嫌な事言ってる?言ってなければ大丈夫だよ。」と、安心させてくれました。

そして、
「その体験は、貴重な体験だから、よく覚えておくといいよ、後で何かの役に立つ」と。

その時はわからなかったのですが、
今になって、脳が疲れると見せる幻覚や、
弱ってる人が一生懸命に説明する世界が
これ、なんだろうな、とちょっとだけ理解できました。

とはいえ、その世界の大変さは
その人、その人で違うので、完璧に理解するのは無理ですが。

夫がそばで
「今日は何が食べたい?」と声をかけてくれて食べれない、というと、じゃあ、せめて、
ヨーグルトくらいは食べて。と用意してくれたり、シャワーを浴びてると
浴室のそばで様子を伺っていてくれたり。

この時は辛い時期で
周りが全く見えてなくて、
夫も子供達も
きっと、大変だと思います。

私が一人で動けるようになっても
しばらく心配そうに見ていて
「大丈夫だよ」と笑ってみせると
笑い返してくれて、
なんだか、幸せだなぁと。

「一人で頑張らせてしまったんだね、ごめんね。これからは二人で分け合っていこう」

夫の言葉を聞いて泣いてしまいました。

確かにこの時、いろんな出来事がありました。
夫は外で一生懸命働いている。
家庭での問題は主婦である私の役目と
一人で抱えてしまっていたのかもしれません。
それからは夫にも話をするようにして
自分の範囲を超えるものは夫に手伝ってもらっています。

病気になって
迷惑をかけてしまったけど
病気になった事で
夫の優しさに、気づけたこと
この人と、結婚できてよかったと
強く思いました。

精神的な病気を看病するのは
精神的にも肉体的辛い事です。

それなのに
嫌な顔せずに優しく労り、看病してくれた夫に感謝しかないです。

たまには
お互いに腹を割って
話をする

喧嘩もガス抜きのために
たまにはいいかな

なんて思っています

今年12月で28年目
長いようであっという間でした。

これからも
他人からみても
羨ましがられるような夫婦でいたいと
思います。

長々と最後まで
読んでいただきありがとうございました。

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