煙
優しくかったかぜが
冷たい北風にかわり
温かった太陽が沈み
寒空に月と星が輝きだす
寒くなった空気に
手が悴んで
ふーっと息をかける
息は白い煙となった
煙の向こうに
ぎこちなく手を繋ぐ二人
楽しげな私
イルミネーションで煌めく街
賑やかな音楽
通りすがりの車のクラクションが
煙を消し去った
月と星が静かに煌めいていた
早く帰ろう
あの暖かい場所に
早く帰らなきゃ
あの暖かい手を握るために
私は小走りで帰路を急いだ
後を見送る
あの二人が静かに手を振った
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