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まさか、自分が…

9年程前のこと

市の検診でひっっかった

婦人科検診
大した内容ではなかったが
要診察になっていたので
いやいや婦人科を受診する事に

田舎だから
産婦人科が少なくて
子供を産んだ総合病院の婦人科を受診

子供を産んだ時の主治医は
もう引退していて別の医師だったが
男性医師でやはり年配

しかもちょっと強面

ビクビクしながら
検診で引っかかった事を伝えると

見てみましょうと診察

「あのね、検診で引っかかった内容よりも
もっと重大な事が見つかったよ」

私がびっくりする横で医師は続けた

「子宮がね、腫れて大きくなってるんだよ。」

えっ?どういう事?

「筋腫が大きくなってるんだ。今まで、何も症状なかったの?」

そういえば、生理の3日間はかなり痛くて寝たり起きたりだったかも

でも、三日も過ぎれば楽になるから、
全然、気にもならなかった。
いや、痛かったけども

生理周期と関係があるかもしれないから
定期的に検診しましょう。

それから
毎月、検診を受けた
だが、一向に小さくならない

閉経がくれば
小さくなるけれど
まだ若いから
…とはいえ40代
まだまだ痛みに堪えなけれいけないのは
辛いでしょ

何回目かの検診の時
「手術は嫌だよね…」

あー、やっぱりしないとダメか…

でも、手術したら楽になるかな

夫と医師、医師の助手さんの
スケジュールを調整して
手術を決めた

息子は小6
ちょっと、ゴタゴタしていている時期で
不安だったけど仕方なかった

手術の日は夫が付き添ってくれた

手術室に入り、冷たい感触の麻酔が入り、
すぐに意識失った

名前を呼ばれて目を覚ます

意識が戻ったのを確認後
病室に移動

ストレッチャーが気持ち悪かった。

段々と痛みだし、
痛くて眠れなかった

同室の人達の話し声や
食事の音が気になった

トイレに行くたびに
看護師さんを呼んだ(呼ぶように言われてた)
「私、このまま、歩けないままなんですかね」
痛みに堪えながら、車椅子で移動中
ふと、漏らした言葉に
「そんな事ないよ、みんなちゃん10日間で
退院してるから」
看護師さんは言った。

痛くて眠れなかったのは
2日くらいだった

看護師さんがいう通り、
ちゃんと歩けるようになった

病室の人達と話す余裕はなく
痛みに堪えて

退院する2日前に
やっと、話ができた
同室の方は高齢の方で
がんの治療(放射線)をされてる方だった。
あまり食欲はなく、それでも、頑張って食べようとしていた。
大好きだというカレー。
食事で出たカレーを
「こんなん、カレーじゃない!」と言っていた。
確かに、味がしないカレーだった。

退院の日
ぐったりベットに横になっていた
その方になんと挨拶しょうか…悩んだ。

早く帰りたい

そう言ってた方に…

「今日退院かい?」
ベッドから少し体を起こして…

「はい」
ちょっと、トーンを落として返事をすると

「よかったね。体大切にするんだよ」と
にっこり笑って、また横になった

迎えがきて
お別れの時

「お世話になりました。おだいじになさってくださいね」

私の声にうっすらと目を開けて
手を出してきた
私はその手を軽く握った
痩せ細った手は強く握ったら折れてしまうんじゃないか…

そう思ったから

すると
強い力で握り返してきて

「頑張るからね!私!」と言ってきた

私も強く握り返して
「頑張ってください」と言った

泣きそうだった。

その方は、苦労の絶えない方で
お子さんも亡くなっていた。

「私はね、あの子の分まで生きなきゃ行けないの!頑張らなきゃいけないの」

退院後、おばあさんが気になったが、
お名前を聞くのを忘れてしまったし、
私の事など覚えていないだろう…
そんな想いがあり、病室にお見舞いには行かなかった。

ぎゅっと握られた手
涙ぐんでた瞳
今でも時々思い出す

手術前の説明では、子宮全摘だったのだが
いざ開腹してみると、筋腫と内膜症の合併がひどく癒着していて全摘できず、子宮底だけを残す事に。

付き添いの夫に医師が
摘出された子宮を血を滴らせながらもっていったらしく、ちょっと怖かったそうだ。

その後、生理痛はおさまった
だが、残した卵巣に嚢腫が見つかった。

術後の生理的現象でできる場合もあるので
要観察で定期的に検診を受ける事に。

通院していた病院が併合して
国立系になることが決まった。
だが、そこに産婦人科は入らないという事で
片道30分だった通院が片道1時間半になった。

完全に完治するまでに約10年かかった

大したことないだろうと行った病院
まさかの大病

なんかおかしい、と感じたら
絶対、病院に行って!

なんでもなければそれでいいのだし

早めに病気が見つかれば
早期治療ができる

助かる命を無駄にしないで

検診は必ず受けてください!

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