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過去の自分に救われてる。

昨日、自宅に小包が届いた。

差出人は、しばらく会っていない友人だった。

小包の中にはレモネードの瓶が2本入っており、付属の便箋には、こう書かれていた。

「会っていない間に仕事が変わり、このたび遠方に引っ越すことにしました。

これからは、今までのように頻繁には会えなくなります。

お別れの代わりに、このレモネード受け取ってください。

私が無自覚にメンタルをやられていた時、亜希子が助けてくれたお礼です」

その手紙を見た瞬間、私は寂しさと優しさで胸がギュッとなった。

彼女は私が知る限り、とても素敵な人だった。

誰といても常にどこか俯瞰して物事を見ており、自分自身の孤独と対峙していた。

美しい彼女のもとには、多くの男性が言い寄って来た。

そのたびに彼女は笑顔で「ありがとう」とお礼を言っていた。

しかし、本当のところ彼女は他者の本質を見抜くので、心の奥底では人を寄せ付けていなかった。

一時的に物理的に、男の人と愛し合っても、本当の意味で他人に身を委ねることはしなかった。

その気高さと誇りが、私は好きだった。

ひとりの人間が生きていく上で抱える寂しさは、どれだけ他者といても絶対に埋まらない。

孤独は、紛れない。

そのことを、とっくの昔に彼女は知っていた。

だから、どれだけ男性が「君は素敵な人だよ」と言い寄って来ても、微笑みを返しつつ、次の瞬間には、ひたむきに自分の人生を貫いていた。

あの子は、そういう人だった。

レモネードの贈り物が嬉しかったのは、私自身が覚えていないほどの小さな親切を彼女は覚えており、そのことについて感謝をしてくれていたからである。

いつか人生を終える時に思い返すのは、こういう日の小さな喜びなのではないかと思う。

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