見出し画像

J-HOPE,JIMINのダンスを深掘る

"BTS"と"ダンス"
この2つのキーワードが揃った時、語るのに欠かせない人物が2人います。

J-HOPE

画像1

そして、JIMIN

画像2

この2人です。

彼らには"BTS"の道を歩み始める前から真剣にダンスに向き合い、今も尚進化していると言う共通点があります。

今回は、J-HOPEとJIMINにスポットを当て、彼らのダンスにおける、語りきれないほどの個性、スキル、ヒストリー、そして2人の違いについて掘り下げていこうという企画です。

私はダンスに触れている経験者ですが、個人的にはダンスに正解はないと思っているので、答え合わせとして書く訳ではありません。
"それ分かる!"だとか"そういう観点があるのか!"だとか、このnoteを読んだ誰かが、BTSのダンスにより一層深く興味を持てる様になれば幸いです。
また、他の方のダンス解説は見たことがなく、インタビューの読み落としなどもあるかと思います。
既に伝えられている内容もあるかもしれませんが、ご了承ください。
ダンスと防弾少年団が好きな人の、個人的見解として楽しんで頂ければと思います。

J-HOPE & JIMIN のダンスにおけるヒストリー

画像3

先ほども言いましたが、彼らはBigHit(現HYBE)に入社する前から熱心にダンスに向き合っていたそうです。
J-HOPEはJIMINが入社する際、バスの停留所まで迎えに行き「ダンスが好きらしいけど僕もダンスが好きだから今後たくさん交流できたら嬉しい」と声をかけたそうです。(しかし半年間交流はしなかったとか.....笑)

そんな2人のダンスのヒストリーを、少しだけ見てみましょう。

J-HOPE

画像4

J-HOPEは、中学生の頃から「スマイルホヤ」と言う名前でストリートダンサーとして活動していたそうです。
オーディションで、カメラが置いてある部屋で2,3時間踊り続けたと言う有名なエピソードがあります。
体力、忍耐力だけでなく、パフォーマンス力やダンスに対する気持ちが当時から人並みはずれていたことが分かりますね。

J-HOPEは当時ダンススクールに通っていたので、様々なダンスジャンルに取り組んでいたそうです。実際にR&Bに分類されるスタイルHIPHOPを踊っているデビュー前の映像を目にしました。

その中でも、主に熱心に取り組んでいたジャンルがPOPダンスの"Boogaloo"と呼ばれるスタイルです。
こちらの映像はPOPダンスのパイオニア、マイケルジャクソンの師でもある"Boogaloo Sam"が踊っている映像です。Boogalooがどのようなスタイルなのか気になる方ぜひ見てみてください。

こちらのダンススタイルも、J-HOPEが実際にフリースタイルで踊っているデビュー前の映像を見ました。
私が初めてその映像を見た時こう呟きました。
『渋い...』と(笑)

スキルフルでかつ予想外の動きをたまに見せ、個性的遊び心がある
そして、音の取り方が異常に上手いという印象を受けました。

POPダンスはHIPHOPなどと比べ激しい派手な動きは少ないジャンルです。
BTSの激しく動くスタイルの中で光る、彼ならではのシルエットや強くも繊細な踊りはPOPダンスを熱心に練習していた結晶だとも考えられ大変興味深いですしシビれます...

ダンススクールに通い様々なジャンルに触れていながら、派手ではないものの極めていけばいくほど味が出るPOPダンスを主ジャンルにしていたJ-HOPEは生粋のストリートダンスマニアと言えます。


JIMIN

画像5

JIMINは、高校生の時現代舞踊科に入学し現代舞踊やモダンダンスをメインに取り組んでいたと言うのは語り継がれるヒストリーです。
「最初はHIPHOPのスタイルに慣れるのに苦労した」と語っていることから、熱心に現代舞踊に取り組んできた過去がうかがえます。

しかし、実は彼のダンスのルーツはPOPダンスだったそうです。

JIMINが過去にPOPのダンスバトルに出ていた時の動画を見ましたが、当時から踊りに柔軟性があり、綺麗な動きで出来る事のバリエーションが豊富という印象を受けました。
正直、現代舞踊出身のイメージが強かったのであまり期待せずに再生しましたが、JIMINのPOPダンスのレベルにびっくりしました...
スッキリしたシルエットも印象的で、今のJIMINの綺麗なシルエットに通ずるものがあると感じました。

JIMINはとてつもない努力家だというのも有名な話です。POPダンスは、筋肉を弾くというスキルが必要なダンススタイルなので、かなり練習しないとなかなか形にならないジャンルだと個人的に思います。
当時のJIMINのダンスを見ても、当時から相当な努力家だったのではないかと感じます。

のちに、全く違うスタイルである現代舞踊を極め、ソウルに上京した事を考えるとどれだけの時間をダンスに費やしてきたのか、想像も出来ません。

そして............既にお気付きだとは思いますが、声を大にして言いたいこと

J-HOPEとJIMINは過去に同じジャンルを通過している

これはARMYとしてはとてつもなくテンションが上がる事実です...
と言うのも、J-HOPEは【ストリートダンス】JIMINは【現代舞踊】
このイメージはとても強いですし、実際にそれぞれがそのスタイルを極め、情熱を持って触れてきたと言う事実があります。
しかし過去、彼らにPOPダンスという共通点があり、それぞれ違う道を極め、のちに同じステージで世界中を魅了している
オタクの血が騒ぎます...

2015年に放送された番組のコンテンツで2人がPOPダンスをしているシーンがありました。
こちらの(0:29〜)

(サムネイルびっくりするくらい面白いな)
20秒ほどですが、2人がデビュー前に別々で通過していたジャンルという事実を知ると、より彼らの良さや共通点も見えてくるのではないでしょうか。


デビュー前については不透明な部分が多いので内容を詳しく掘り下げることが出来ませんが、実際に残っている映像を見る限りは、彼らにPOPダンスと言う共通点があることは事実で、それぞれがそれぞれのジャンルに情熱を持って向き合ってきたことは現在の姿を見てもよくわかります。

ここからは、2人の魅力を1人ずつ掘り下げていきます。

※彼らはかなりのステージ量をこなしていますので、全てのステージに置いて本記事の内容が当てはまるとは限りません。
コンディションや気分によって、踊りも変わります。
その都度添付している映像に沿ってお話をしていきます。

J-HOPE:ダンスマニア

J-HOPEのダンスの魅力を、あえて言語化するとしたら
ダイナミックでかつ繊細

画像7

表現方法の幅が広く、遊び心に溢れている

画像7

圧倒的なスキルを持ち、"どんなスタイルもうまく踊る"と言うよりは"どんなスタイルも我が物にする"
そんな人物と言えます。

『ダイナミックでかつ繊細』
J-HOPEのダンスをよく知っているファンの方なら、なんとなくお分かり頂けるかなと思う言葉ですが、よく考えると少し矛盾っぽくも感じませんか?
しかしJ-HOPEは、細かい振り付けから伸びのある振り付けまで、どんなスタイルを踊っていてもこの言葉が当てはまると私は思います。
本記事では、そこにスポットを当てて掘り下げていこうと思います。

MIC Drop

手を上げてビートの音を取る振り付け(1:15~)

画像9

この時J-HOPEは、強くヒットを打つのではなく肘から上を動かし音を取っています。
そして、手のひらを開き、払う様に動かしているのが分かります。

センターにいるVの様にヒットを使うと少し固い表現になりますが、肘から上を動かすことでビートの見え方がヒットより若干ソフトに見えます。
しかし、手のひらを広げることで大きく見えます動きに深みが増していると感じます。

ここだけではなく、J-HOPEは指先やつま先、肘や腰など直接意識が行きにくいところを大袈裟に動かす事が多々ある印象です。

例えば、移動シーンなどでも
【Spring Day】

後ろを向き、下がるシーン(1:18)
見えにくいですが、振り返る時に伸ばした右手は前に残す振り付けになっています。

画像10

前に伸ばした右手があまり動かずに振り返り、しっかりと正面に手が残っています。
そして振り返る時、かなり大きく頭を振っているのが分かりますでしょうか
こちらも、"直接意識が行きにくいところを大袈裟に動かす"という彼の特徴に当てはまります。
しかし、その大袈裟な動きとバランスを取るように違う所もハッキリと主張(ここでいう前に伸ばした手)することで、彼の踊りのダイナミックさはわざとらしく見えず、むしろ深みが増したパフォーマンスが完成しているのだと私は考えています。

それが私の思う"ダイナミックでかつ繊細"の意味です。

その観点でもう1つ見ていただきたいのが【Best Of Me】

こちらの動画の(0:32~)

画像11

横に腰を打ちながらリズムを取る振り付けですが、その動きに合わせて右手を上げて音を取っています
取っている音はあまりハッキリとした大きい音ではないですが、音に合わせて手を動かす事で音がかなり明確に見えます
しかし、元々おしゃれに繊細に腰で音を取る振り付けだと思いますが、動くと目立つ"手"が動いていますよね。
にも関わらず、わざとらしくないですし、むしろおしゃれに融合しています

この時彼は、全体的に小さくヒットを打っていて、左肩を少しだけ上げています。小さくヒットを打つことで、全体的にしまった印象になり、左肩が上がることでシルエットがキマっています
全体的にバランスが良く、手が動いていてもそこだけが目立つ事がありません。

"バランスを取る事でわざとらしく見えない"
言語化をすると、なんだか簡単そうに聞こえますがもちろん簡単な事ではないです。

私の主観ですが、彼はとてつもない練習量による日々からの癖付けにより、感覚的にシルエットや動きのバランスを取る事ができているのではないかと私は思っています。
振り付けを貰った上で、意識してフレーバーを足している時ももちろんあるとは思いますが、同じ振り付けの中でLIVEや放送のパフォーマンスで少しずつニュアンスが変わっているのを見ていると、自身の個性である繊細な動きは身に染み付いているのだと私は感じます。

一言で言うと、めちゃくちゃスキルがある(ここにきてめちゃくちゃ当たり前)

例えば、先ほどピックアップしたSpringDayのシーン

画像12

こちらも、ただ大きく頭を振って手を前に残せば、それっぽくなるのかと言えばそうではありません。

手は前に残したまま、顎を引きながら顔を回すように動かす
頭が動いている分、体は左右に振らないようにまっすぐ後ろに方向転換しなければいけない。

この1秒の間にこれだけの条件があると考えた時、改めて彼のスキルの高さが浮き彫りになります。

では、その"スキル"について
ここのこの動きえぐい!すごい!やばい!と改めて私が"上手い"と感じるところを2つピックアップします!

【INTRO Perf. + Airplane pt.2】 2018 MAMA

このパフォーマンスの(0:50~)

画像13

ここーーーーーー!!!ひぃえ〜〜〜
ちなみにこの動きはゲッダンというロックダンスでよく使われる動きなのですがロックを踊られるダンサーさん達もかなり練習を重ねている印象があります。
床に落ちた時に上半身が床に着きそうになっているのにスムーズにアップできているのがすごいです......

そして、冒頭でお伝えした
彼がファンの心を鷲掴みにする"遊び心"
LIVEなどでのってる時、半端ない遊び心を発揮します...フリースタイルで踊っているJ-HOPEは本当に超かっこいいです。

【MIC Drop】

こちらの(0:15~)

画像14

フリースタイルのシーンです。
動きやステップがかっこいいのは一目瞭然なのですが音の取り方が変速的です。
最初は重く音を取っているのですが、振り返ってから裏の音を足で取っています。そして、絶対に音あり確認して欲しい所なのですが
バックトラックの『ブブ』を小さく取っています。ココ↓

画像15

こういう音の取り方や体の使い方を見ていると、本当に多くの時間を音楽とダンスと共にしてきたのだと感じ、ドキドキしてしまいます(泣)
とても音と親密。
Mic Dropのフリースタイルは毎回違うので、見比べて見ても面白いと思います!


前セクションでもお伝えしましたが、彼は主ジャンルとして取り組んでいたジャンルはあったものの、様々なスタイルに適合できるダンスマニアです。
"ジャンルという枠に囚われない"
"全てをJ-HOPEスタイルにしている"
これらはスキル表現力、多方面でのインスピレーションダンスが好きという気持ち
これらが合わさっている彼だからこそ表現できることです。

JIMIN:ジャンルFilter

美しいシルエット繊細な世界観も表現しきる

画像15

しかし、メリハリがあり強さも兼ね備えている

画像16

難しい振り付けもしなやかにこなす

そんな魅力に溢れたJIMINですが、私が思う最大の魅力についてお話しします。

主観ですが
J-HOPEを"どんなスタイルでも我が物にする"と表現するのであれば
JIMINは"どんなスタイルも我が色に染める"と言えます。
まさにFilterの様な存在です。

JIMINは自分の個性やこだわりをしっかりと持ち、自身の強みの活かし方をよく理解しているのだと思います。
遅どりや、たまに見せる微動なヒットも彼のこだわりなのかもしれません。
HIPHOPを踊っていても、R&Bを踊っていても、JAZZの要素が入っているスタイルを踊っていても、JIMINというフィルターを通して世界観を見せてくれる。私はいつもそんな感覚に包まれます。

本記事では、BTSのコレオを通して様々なスタイルを踊ってきたJIMINの、スタイルごとにどのような表現をしているのか、その違いにスポットを当てていきたいと思います。


HIPHOPを踊っている時のJIMINは、グルーヴをさりげなく入れ独特な雰囲気を醸し出していることが多い印象です。
以前に出した3JのButterの記事でもその点に触れました。

【Not Today】(6:26~Not Today)

手を広げて前にアクションする振り付け(7:43~)

画像17

前にアクションする時、まるで声の余韻を取っているかの様な音どりで抜いて動いているのが分かります。
この緩さにより、ノンストップで激しいイメージの中でも独特な雰囲気になっていますし、音が激しいだけにグッと引き込まれます
他の練習動画ではまた少し違うニュアンスで踊っていましたが、この場面でいつも若干力を抜いている動きが見受けられます。
HIPHOPのコレオの途中にこのグルーヴ...さすがです。

力の抜き方グルーヴの入れ方、そしてタイミングが非常にハイセンスです。
これらの要素が合わさり、JIMINにしか出せない雰囲気が完成していると私は思います。

K-POPらしいコレオを踊るときはどうでしょうか。

【DNA】

まずは冒頭の口笛の音とギターの様な音に合わせた振り付け

画像18

右から2番目にいるJIMINに注目してください。
このシーンのJIMINは全体的にヒットを使いハッキリと音が見える様に踊ってます。
最初、ヒットを入れながら動き始め
最後、音を取って余韻で前のめりになる所は体の向きを他のメンバーより前に向けています

DNAの様に、全体的に取っている音が明確で細かいコレオで、音をあえてハッキリ表現すると、より分かりやすくはなりますが、やり過ぎると大袈裟になってしまいますし、グループ内で目立ちすぎてしまうことがあります。
しかし、彼は繊細な踊りである現代舞踊の経験により、自身が綺麗に見えるラインシルエット感覚的に分かる様になったのではないでしょうか。
その為、体の向きを大きく変えていてもそれがアンバランスにならず、個性になっているのだと思います。

また、このシーン以外でもJIMINは、動き始めにヒットを入れたり次の動きにうつる前に少し長い時間ストップする場面が多いです。
非常に微妙な違いですが、動きがクリアな分それがメリハリにつながっています。

そして、この曲はまさにJIMINの得意分野と言えるでしょう。

【Black Swan】

独特なシルエット伸びのある振り付け、そして強いアクセントも盛り込まれています。
コレオ単体で考えた時、非常に難しいスタイルですがJIMINにはぴったりです。
以前、こちらの記事でもBlack SwanのJIMINに触れました。

Brack SwanのMVにはJIMINだけが踊っているシーンがあります。
そして、そのビハインドが公開されているのですが、これを見た時は衝撃を受けました。

踊っている所は(0:07~0:53)(2:37~3:12)
本領発揮、、、という感じですね。
というのもBTSのコレオの様な、HIPHOPなどのストリートダンス色が強いコレオにおいてJAZZや現代舞踊で必須な、美しいシルエットやつま先や手先の伸びはアンマッチになります。
ストリートダンスのコレオにはダイナミックさ、激しさゆえの荒さがあってこそだと思います。
しかしBrack SwanのJIMINの踊りは、JAZZ寄りになっており、つま先や手先にまで神経を張り巡らせています。

このシーンでは左足はしっかりとを向いており、右足がインになっています↓

画像19

このシーンの指先は真っ直ぐではなく、指を立てています。↓

画像20

綺麗なシルエットですね...

足を回すときは足の滞空時間が長いです。
(0:30)

画像21

そして、ターン。
ダンサーが使う言葉としては"首を切る"というのですが、ターンをする際に顔は前を向いたまま体は回り一周回ったタイミングで一気に顔を回します
それがJAZZやバレエの基本です。
そうしないと綺麗なターンになりません。

(2:43~)

画像22

JIMINはしっかり首を切って余裕を持って回っています

現代舞踊に真剣に取り組んでいた過去があるので当然と言ってしまえば当然です。
しかし、驚くのは普段はグループでストリートダンスの要素が入っているスタイルを踊っているという点です。
基本的にはBTSのコレオを踊り続けたデビュー6年目にここまでのレベルの物が踊れてしまう事にも驚きますが、やはり体に馴染むスタイルなのかもしれないとも思います。

アイドル本人が決してメジャーではないこのスタイルの踊りをこのレベルで見せているのは、私たちファンにとって贅沢な事だと感じます。

JIMINらしいスタイルで言うと、2019年MAMAで見せたI NEED Uのソロパフォーマンスも圧巻です。
(1:56~)


2016年にリリースされた피땀눈물 (Blood Sweat & Tears)辺りから
BTSの楽曲において色っぽい雰囲気があるコレオが増えていきました。
多様なスタイルの楽曲の雰囲気に合っていつつ、大衆性を大切にしているBTSのコレオの中で、JIMINの様に個性的でかつグループの調和を乱さないスキルを持った人物は、今やBTSのパフォーマンスに必要不可欠だと思います。

それぞれのコレオに合ったアプローチ方法をおそらく感覚的にキャッチできる。
それを表現できるスキルを持ち合わせている。

後者の"スキル"の部分に関しては、努力家と名高いJIMINの努力の賜物だと思います。
そして、前者の"感覚"の部分も練習を重ねる上で培ってきた感覚と言えますが、これだけ多様な表現方法を兼ね備えているという面では、天才的だと私は思います。

比較して浮き彫りになる個々の個性

画像1

ここまで2人の個性について私なりの視点で掘り下げてきました。
もうよくお分かりかと思いますが、彼らは踊り方の特徴や得意とする分野に違いがあります。

ジャンルの壁を超えて自分を表現するJ-HOPE
スタイルによってアプローチ方法が変わるJIMIN

このセクションでは、対極とも言える2人の個性を同じ振り付け内で比較し、それぞれの良さを綴っていきます。

まず見ていくのは【IDOL】

右に肘を曲げるサビの特徴的な振り付け(1:16~)

画像24

◎J-HOPE

画像25

(分かりやすいように特徴を箇条書きで書きます)

・姿勢が良い
→姿勢が良いと、肘を動かす前に左肩が上がるのが良く見えます
右手の基本位置が足の真横
→手が低い所で固定されている為、肘が動いているのが見えやすく、リズムが見えやすいです。
動かしていない方の腕の位置が高め
→シルエットがクリア
になっています。

これらの要素が合わさり、そこまで強く肘を打っているわけではないのに音が明確に見えます。
強く肘を打つのではなく、シルエットにより動きをハッキリさせているのはさすがです。

手を上げるときも、「ヘイ!」の音に合わせて、手と同じ方向に顔を上げています。
動きにメリハリが出てインパクトがありますね。

◎JIMIN

画像26

・姿勢が前のめり
→前のめりなので、肘の動きに合わせて上半身全体が右に動いている様に見えます。
これにより、肘の動きより上半身の動きの方がはっきり見えます。
特に胸の動きが大きく見えるので独特なグルーヴを放っており、全体的に柔らかい印象になっています。
動いていない方の手は少し後ろ
→手が後ろにあると相乗効果でさらに前に意識が向き、サビの勢いが踊りに反映されているかの様です。

手を上げるときは、前のめりだった体を一気に上に引っ張り高低差を表現しています。
顔の角度が左側の首筋が見える角度なので、JIMINならではの色っぽい雰囲気が出ています。

そして、手を上げた後の肩の回し方ですが、JIMINは前から後ろへ
J-HOPEは後ろから前へ回しているのが分かりますでしょうか。

画像27

2人とも肩が前に来るときにリズムを取っているのには変わりありませんが、J-HOPEは後ろから前に回すことで"前に打っている"イメージになり強い印象になります。
JIMINは前から後ろに回すことで、少し抜けた柔らかい感覚ですが、その分大きく動いているのでしっかりと前にアクションできており、取っている音は他のメンバーと変わりません。

"強さ"と"柔らかさ"をそれぞれ表現していますが、取っている音や全体的な勢いに大きな違いがありません。
長年一緒に踊っているからこそ、調和しているのではないでしょうか。

【Black Swan】

手を上げてから下に落ちる振り付け(2:32)

画像28

◎J-HOPE

画像29

・ゆっくり溜めるように手を上げている
落ちる時は手首から手を払う様に動かしている
手をバラバラっと動かしていますが、体はストンと下すことで、ごちゃついて見えないのに全体的には複雑に見えます。
このバランス。さすがです。

◎JIMIN

画像30

・一気に、そして手と顔も同時に上げている
落ちる時も一気に、しかし首を1番最後に落としている
一気に意識が上にいくので緩急につながっている印象です。
そして下がる時、首を1番最後に落とすことで、ちょっとした浮遊感があります。
その影響で、他のメンバーと比べて遅どりです。
この遅どり、曲の独特な雰囲気とJIMINの動きがあっていますよね。

J-HOPEは手先など大きく使わない部分を繊細に使い分けているのが細かくみるとよく分かります。
JIMINは持ち前の柔らかさで"首を残したまま体を下げる"といった、音の雰囲気を表現するスキルを多く持ち合わせています。
2人とも表現方法は違えど、メリハリがあるのは同じで、音の雰囲気をそれぞれの方法で表現しています。

【DNA】

センターに向かってステップを踏む振り付け(0:40~)

画像31

◎J-HOPE
・比較的重心がダウン
あまり跳ねるような動きはせず、全体的に重めに見えます。
◎JIMIN
・重心がアップ
ステップを軽く踏みステップ重視の動きをしているように見えます。

微妙な違いですし、位置が少し違うのでセンターへの体の向きが違うという見方も出来ますがこの場面だけでなく
J-HOPEはストリートダンスのフレーバーとセンスを感じる、ズッシリと重心を落とす、重めな踊り方
JIMINは柔軟性があり芯がしっかりとしている為、難しい動きも軽やかに見える踊り方
という違いがあると私は思います。
J-HOPEの重たい踊り方は彼の絶対的な個性に繋がっていますし、JIMINは軽やかに動いていても芯が通っているので見やすく、くどくないです。

同じ振り付けなのに2人とも体の使い方が対極的なのが分かりますでしょうか。
しかし、孤立することなくうまく交わっているのを見ていると、改めて個々のスキルの高さを感じます。


2人の踊りを各コレオに沿って見ていきました。

たまに、"どちらの方が上手いのか"と言った話を目にしますが、彼らは全く違うスタイル出身で、踊り方も全然違います。
"好み"はあるかもしれませんが、私個人の意見としては、これだけ違うのにダンススキルに大きな差を感じないという時点でとてもレベルが高いと思います。

そして、これだけ違う彼らが同じチームで踊っていると言う観点で、他のメンバーのスタイルのバランスの良さを改めて感じます。

メンバーのバランスについては、こちらの記事の【1人でもかけてはいけない理由 ~それぞれの役割~】セクションに記しましたので興味がありましたら覗いてみてください。

最後に

画像9

J-HOPEとJIMINのダンスの魅力について掘り下げてきました。
ダンサー出身でハイスキルな2人が、同じコレオを踊っていてもこれだけの違いがあり、それぞれの個性がしっかりと立っているという点に今一度脱帽です。

2016年MAMAでは、彼らが2人でパフォーマンスをしていました。

J-HOPEの強く重たい踊りからJIMINのしなやか独特な雰囲気のある踊り
このビデオから彼らの良さ、そして同じチーム内でこの振り幅の作品を見せてもらえる贅沢さがよく分かります。

高め合いながらも、しっかりと自身の個性を理解しておりそれが各作品に反映されているのは彼らほどのスキルがあってこそです。

今後のパフォーマンスはどんなスタイルで、どんな魅せ方で表現してくれるのか楽しみです。

ここまで読んでくださりありがとうございました。
書ききれなかった事もたくさんありますが、ここに記した内容は私自身の
個人的見解、個人的な考察となります。

誰かの楽しみが、膨らんでいます様に...



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?