「フリーエージェント社会」

 上手く制度設計と価値観をつくることができればイノベーションの担い手として活躍できる雇用形態ですが、"非正規"という呼び方からなんとか脱却させることができないだろうかと思います。あわせて、正社員の新しい呼び方も社会をアップデートしていくためには必要だと思います。

 過去の記事でインディペンデントコントラクターという呼称を引用しましたが、多くの人にとっては馴染みのない言葉ですよね。スポーツでいうフリーエージェントの方がイメージのわきやすい雇用契約かもしれません。スキルを持つプロフェッショナルはよりワクワクできる挑戦、魅力的なチーム、評価される場を求めてフリーエージェント宣言を行います。人材を手放したくなければ、より好条件を提示して人材との再契約をしますよね。

 このフリーエージェント制度の形に近い非正規雇用の流れをもっと太くしていくことが非正規雇用に対する社会の偏見を払拭していく流れをつくっていくと考えます。2020年4月から働き方改革関連法により「同一労働同一賃金」の適用開始が始まったことは、非正規という働き方を捉え直す大きなあと押しなるのではないでしょうか。会社の都合に縛られる正社員よりもポジティブに働き方・生き方を選択できる非正規雇用を洗濯する若い人材も増えてくると思われます。実際、人材派遣会社との議論の中で、新卒でいきなり派遣社員を進路に選ぶ若者がでてきたという話も伺っています。

 経団連会長やトヨタ自動車社長が相次いで「終身雇用の維持は難しい」と言及したように、企業にとっても人材を抱え込むことはリスクになっています。人口減少下で限られた人材の力で持続可能な社会をつくっていくためには、人材の流動性を高めていくことが非正規人材の力を活かすためには不可欠な取り組みになるでしょう。そもそも、正社員という概念がなくなっていく方向に世の中はシフトしていくことになります。今現在の企業の営業自粛により多くの人材が解雇される現実に直面しています。人材の流動性の高い社会であれば、刻々と変わっていく社会の情勢に対応するために人手が必要とされる仕事が可視化されて、それに必要なスキルセットが可視化され、次の仕事に切れ目なく移り替えていくことで生計を維持することを選択肢に数えられるようになります。そこでは、今持っているスキルセットと追加すると生き方の選択肢を広げられるスキルセットとの関係がキャリア形成において意識するポイントになります。

 経産省のニュースリリースに、20代~30代の産学官の若手による提言が取りまとめられました。未来に向けた5つの価値変化のトップに、「フォルダ型(所属組織の肩書)からハッシュタグ型(プロジェクトベース)の帰属意識」への移行が取り上げられました。正に若い世代はインディペンデントコントラクターとしての働き方を意識し始めています。移行期となるこれからは、モノをつくる経済から生き方の選択肢をつくる経済へと目を移す、その変化と発展に注目です!

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