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【天皇賞・秋予想】シャフリヤールのこと、軽く扱いすぎてはいませんか?

先週の菊花賞はアスクビクターモアが強いパフォーマンスを見せてくれたため、結果的に良かったなぁと思える競馬ではあった……のだけど、レース前は正直に申し上げますと、春のクラシック上位馬が軒並みいない菊花賞というのはやっぱり残念だし寂しいよなぁ、と思っていたわけです。

ただ、その分、今週の天皇賞・秋には菊花賞をスキップした皐月賞、ダービーの上位馬3頭、ジオグリフ、イクイノックス、ダノンベルーガが参戦してきた。

一方で古馬勢の顔ぶれを見ると、昨年のダービー馬シャフリヤール、同オークス馬ユーバーレーベンらGI馬4頭はじめ、能力GI級のジャックドールがいるとはいえ、例年と比べてやや物足りないという印象(あくまで僕個人の主観)。なので、3歳牡馬トップ勢の参戦は今年の秋の盾をメチャクチャもりあげる要素になっているし、その意味でも主役は3歳馬になるのだろう。

では、人気・話題通りに競馬でも3歳馬が秋の盾を席巻するのかどうか――なにせ初対決、この判断が難しい。

距離と重賞の格の違いはあるけれど、参考として挙げてみたいのが先週の富士ステークス。1着セリフォス、3着ダノンスコーピオン、4着ピースオブエイトと、3歳馬が上位を占めた。このうちセリフォス、ダノンスコーピオンは朝日杯FSでジオグリフに先着したものの、後のダービー馬ドウデュースに敗戦。そして、そのドウデュースと皐月賞、ダービーで勝ち負けの勝負をしてきたのが天皇賞・秋出走の3歳馬トリオだ。

セリフォス、ダノンスコーピオンを物差しに考えれば、天皇賞・秋出走の3頭も古馬相手の重賞で即勝ち負けになるレベルと判断していい。

また、過去の天皇賞・秋で複勝圏の3着以内に好走した3歳馬はというと、ジェニュイン(95年2着)、シンボリクリスエス(02年1着)、ディープスカイ(08年3着)、フェノーメノ(12年2着)、イスラボニータ(14年3着)、エフフォーリア(21年1着)と、軒並み春のクラシックで連対した馬たち。つまり、皐月賞、ダービーで連対するほどの3歳馬ならば、天皇賞・秋でも勝負になるということ。

また、06年3着のアドマイヤムーンは皐月賞4着で共同通信杯の勝ち馬なので、共通する戦績を挙げているダノンベルーガにもチャンスは十分にある。

過去のデータに倣えば、天皇賞・秋で勝ち負け可能なクラシック実績のある3歳馬が3頭も出走しているのだ。ならば、この3頭が軒並み複勝圏内を外すということは考えにくいのかもしれない。

シャフリヤールという馬の強さを改めて知ろう

ただし、この3歳馬好走データを裏返してみると、何もこれは3歳馬がよく走るということだけを表しているわけではない、とも見て取れる。

どういうことかと言いますと、確かに春二冠好走馬は天皇賞・秋でも勝負になっているが、勝つまでには至っていないということ。昨年のエフフォーリアは実に19年ぶりの3歳馬Vだったし、戦後、3歳馬が出走可能となった1987年以降で天皇賞・秋を勝った3歳馬は3頭しかいない。

要するに、3歳馬が天皇賞・秋で好走することはままあっても、勝つともなればかなり難しいことを示しているデータでもあるというわけだ。こんなふうにデータをマイナス面で見ようとするなんて、我ながら自分の性格の悪さが物悲しい……

でも、事実は事実として受け止めなければいけない。3連複とかワイド、馬連ならば3歳馬の誰かを軸でもいいと思うが、やはり競馬は勝ち馬を予想してこそ。僕は古馬から行く。ということはもう、あの馬しかない。

そう、あの馬とはもちろんダービー馬のシャフリヤールだ。

劇的ハナ差の戴冠だったダービー以降、神戸新聞杯が不良馬場だったとはいえ4着、ジャパンカップも差のある3着と、やや拍子抜けの結果。また、今年2戦はいずれも海外だった分、シャフリヤールという馬の現在の印象がことさら薄くなってしまい、実績と比較して現在は不当に低評価なのではないかと思う。

それが、GI未勝利馬に後れを取る3番人気という前売りオッズによく表れているのではないだろうか。またこのオッズは、ここは叩き台で本番はJC、と受け止められているのかもしれない。

確かに、僕も基本的には海外帰りはあまり信用していないし、2つのGI勝ちの距離がいずれも2400mだから本当の勝負は次というのもうなずける。

だとしても、シャフリヤールの扱いが軽すぎやしないか、というのが個人的に思うところ。忘れてはいけないのが、昨年強い競馬で19年ぶりに3歳で天皇賞・秋を勝つ快挙を達成した”普通ではない馬”エフフォーリアを、ダービーで真っ向勝負の末に負かしているのがシャフリヤール。そして、その一発屋ではないことは今年3月のドバイシーマクラシックで証明済みだ。

なにせ下した相手が米ブリーダーズCターフ勝ち馬のユビアー、後のキングジョージ勝ち馬パイルドライヴァー、同じくタタソールズGC勝ち馬のアレンカー、同じくコロネーションC勝ち馬のフクムなど、そうそうたる顔ぶれ。これはつまり、シャフリヤールもまたワールドクラスの1頭だという証でもある。

そんな世界レベルの馬が今回、単勝3番人気というのは美味しすぎやしませんか?

そして、一番の懸念である海外帰りの4カ月ぶり実戦という点だけど、坂路での最終追い切りは馬なりのまま53秒0-11秒9。素軽さ十分のフットワークからは仕上がりの良さが感じられたし、各スポーツ紙によれば藤原英調教師も共同インタビューで「馬の状態を見て、これならいけると判断した」と太鼓判。また、「シャフリヤールに関しては能力の限界値がどこなのかが分からない」とも……。

藤原英調教師が無責任にこんなことを言う人ではないと思っているので、ここはこの言葉を全面信用するしかないでしょう。

■天皇賞・秋
◎⑧シャフリヤール
○③パンサラッサ
▲⑤ダノンベルーガ
△⑨ジャックドール
△⑦イクイノックス
△①マリアエレーナ
穴⑩ノースブリッジ

実は、より高配当を求めて馬券はパンサラッサの逃げに賭けてみるか……なんて木曜くらいまでグラグラ揺れ動いていたけど、この前売りオッズを見て馬券もシャフリヤールからと心は固まった!

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