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10月7日ムスメシ戦に向けて 5 「負けたくない」から、未だ達観や諦観とは距離がある

30歳になるかならないかの頃、「試合前の追い込み練習ができなくなったら現役を退く」と自らを鼓舞する意味合いと格好付けを合わせて、特に考えもせずに言っていました。

プロ格闘技選手であるならば、ケガをするかしないかの境界線の上を歩くような練習をしてこそ、人前に立つ資格を得られると本気で思っていました。周りからすると熱量が異常に高くて、押し付ける迷惑な人だったと思いますし、それによって壊れた人間関係はいくつかあったように思います。まあそれはそれとして。

40歳になった今、30歳前後の頃と同じ練習ができているかといえば、できていません。やっていないのではなく、できていないのであって、身体がついてこないのが正直なところです。1日だけだったら出来るのですが、回復に3−4日要するので、効率を考えて練習の質と量をコントロールしています。身体だけでなく神経も含めた完全回復とすると1−2週間かかるのが僕の体感なので、練習の質と量の配分には神経質になります。

30歳の頃の練習をできていないので、退いているかと言えば退くどころか、一応の世界の最先端の場の末席にはいて、世間で言われる青木真也の言行不一致を自で行っています。人の考えや発言は表面では変わるものであって、軸の部分が変わっていないのが大事です。

組み技の試合なので、当然のように組み技のスパーリングが増えるのですが、組み合う練習が週に5回入ると身体が保たないので、激しくコンタクトする練習は週4回で組み立てているようにしています。

回復が落ちているとか、週4回の練習で組み立てているとかは僕の都合であって、試合は変わらずにあります。負けていい試合などあるわけもなく、試合は常に対戦相手がいて、絶対評価ではなく相対評価です。いくら過去最高の自分を作ろうとも負けたら負けであるから、勝ちたいと思って練習量を増そうとするも気持ちでなんとかなるのは若さであって、気持ちと身体の関係性が如実に出るのが年齢なので、無茶はできずにできる練習を丁寧にやっています。

今の青木真也のベストを作るべく日々最善を尽くしていることに嘘偽りはないのですが、勝負では「だから何」であって、僕がどんなに最善を尽くそうともマイキームスメシは僕を極めにくるだろうし、マイキームスメシ自らセットした踏み台で最大限飛べるようにと最善を尽くして、あの手この手でくるのは覚悟の上です。

どうポジティブに考えようとしても試合をするのはめちゃくちゃ嫌ですね。

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