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サイバーファイトフェスとさいたまスーパーアリーナと『頑張れ』

2015年以来のさいたまスーパーアリーナの花道を「バカサバイバー」で入場してきました。プロ格闘技選手、プロ格闘家への志望動機に「花道を自分の入場曲で歩きたい」があって、僕も例に漏れず「一度でいいから入場をしたい」とプロ格闘技の道に入ったので何度経験しても特別な緊張感があります。

さいたまスーパーアリーナは多くの選手ファン関係者が個々の思い入れを持っている会場です。僕も例に漏れずに様々な思い出があって、いいことも悪いこともあったけれど、全てが自分を作ってきた試合で特別な会場です。10時指定の入り時間を大幅に早めた8時半会場入り(襲撃のため)、ケンドーカシン先輩と関係者用の駐車場を潜みながら歩いていると「嫌な思い出だよね」との話になって、反射で「ハイアン2回目ですか?」と返すと「猪木祭り。」と返ってきて、本人に聞ける喜びを感じつつ、皆が試合前は緊張するんだと妙に安心しました。

試合はフェロモンズ対ケンドーカシン 堀田祐美子 高木三四郎 青木真也組の何かが起こる試合です。お客さんは「何かが起こる瞬間」を見にきているとすると適任なカードだと思うし、「何かを起こすため」に試合前から様々な仕掛けを「頼まれてもいない」のに敏感に感じとって自主的に積み上げてきたカシン先輩の強さが出る試合だと思いつつ、そうはさせない気持ちはあってプロ格闘技とプロレスをそれなりにやってきて、今なら組み合えるのではないかと思って試合に臨みました。対戦相手との闘いでもあるけれど、存在感のぶつけ合いでもあって、緊張感を持って臨みました。

カシン先輩の入場をせずにスソから入るもガス噴射も場外乱闘も想定はできていて、それに対してのアクションもそれなりに頭に入れていて、カシン先輩ペースではあるけれど、それなりにこちらにもペースがある展開になるのではないかと思って試合をしました。

それがスソからリングに入ってきて、対戦相手に殴りかかったカシン先輩の手にはスポンサー「ニベア」のボードがあって、「どこから持ってきたんだよ」と思いつつ、「完全に持っていかれた」と開始早々に圧倒されてしまいました。リンクを貼っておくのでひとつよろしくお願いいたします。

その後は新宿ディーノ襲撃の際に因縁が生まれた井上リングアナに突っかけたり、前の週に関わりを作った今成選手を攻撃したり、ケンドーカシンを追っている人にはわかるけれど、大会場でたまに見たり始めてみる人には分かり難いハイコンテクストな攻撃を繰り出して楽しそうでした。カシン先輩の会場の注目を対戦相手ではなく、自分達に引っ張り込む力にただただ圧倒されてしまいました。力になれずにすみません。試合の模様はレッスルユニバースでどうぞ。

自分達の試合後にカシン先輩に「打ち上げ」に誘っていただいて、そこに藤田和之さんも合流されてお話をしてもらって、そこで秋山戦を「よかった」と誉めてもらえて、試合をしてよかったなと思いました。カシン藤田桜庭を見ていた僕が藤田和之に褒めてもらえるなんて嬉しいの最上級でありました。先輩方の「闘い」のあるプロレスに憧れてプロレス格闘技をしています。広義な「プロレス」の中で、僕にとっては格闘技もプロレスだし、仕事もプロレスだと思うし、そこに闘いがあるかが重要であって、闘いの中で強さを追い求めています。何を目指して何を求めるのかは人それぞれでいいと思っています。

中嶋遠藤事案が話題になっています。何かが起きるのが現場であって、事前に何かを起こす仕込みを万全にできなかったことで現場の磁場を狂わせてしまったところがあるのかなと思います。その意味では事故でもあって生身の人間がやることだから何かが起こるのが最大の魅力だと思いました。これに関しては言えること言えないことがあって、それも立ち位置によって論が変わってくる類の話なので、理解と共感を使い分けつつ、自分はこう思うと思想信念主義主張を曲げずにいきたいと思っています。表現の場以外でぶつける必要はないけど曲げてはいけないです。

この手の話は正解不正解や良し悪しを決めることに意味を成さないと思っているのですが、成否を別にして勝ち負けは存在するので、その結果に対して必死に生きていくのが強さであって、我々格闘技選手やプロレスラーが見せるべきところだと僕は思っています。ここから何かにつなげていくしかないし、震源地や火元に近いほどリスクもあるけどチャンスもあると思うのですよね。中嶋勝彦が勝ったんだから、そこに向かって頑張っていけばいいじゃないかと思うし、僕は日々練習をして強くなっていこうと思いました。これはこれで否定したくないし、闘いから、強さから逃げたらダメだと思いました。個々が目の前にあることに懸命に頑張っていくほかないですね。

僕はDDT所属の選手ではないフリーの選手ですが、なんとも言えない感情があってモヤモヤしていました。悔しさなのか何なのかは言語化が難しく、時間が経てばと思ったのですが翌日になっても気持ちは晴れず今に至ります。平たく言えば悔しさであるし、強い弱い以上に自尊心を傷つけられたのだと思います。こういうときに思うのは怒りの反射神経が大事だし、互いに「またぐなよ」の尊重ができなかったことが辛かったです。譲れないものだけは互いに大事にして、尊重しあっていいものを作り上げていこうと思ったし、そのために必要な体力技術を日々磨いて積み上げていきます。僕は勝ち気な性格だから「やってやる」とすぐになるけれど、断固たる気持ちで「続きを作らない」のもそれはそれで尊厳を守る意味では大事だと思うし、正解のない話だからその場の人が決めたらいい話です。

ここからは青木真也らしくない言葉だと思います。遠藤さんとはそこまで親しい関係ではないので、芯を食った言葉ではないかもしれません。僕は長島自演乙にぶっ飛ばされたり、アメリカでギルバートメレンデスやエディアルバレスに跳ね返されたり、最近では張りに張って秋山に敗けています。それでもへこたれずに図々しくやってきたからこそ得られたモノがあります。何度も逃げたいと思ったし、苦しかったけれど、逃げずに闘ってきて後悔はなくよかったです。振り返ると負けたあとはむしろチャンスでした。今のあなたには辛く厳しい言葉なのは承知な上で僕は言いたいです。

「遠藤!頑張れ!今はチャンスだ!」

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