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証言!『DREAM』(15)青木川尻前「もし『熊と闘え』と言われたら?」

 2010年4月、全米デビュー戦となった『ストライクフォース』でのギルバート・メレンデス戦に敗れた“バカサバイバー”が、帰国してから感じたこと、考えたこと、実行したことを語って行く。そして、あの川尻達也戦直前の心境も含め、今回も必読の“バカサバイバー”節が炸裂!(聞き手◉“Show”大谷泰顕)

以下、今回の記事の一部を紹介

ボタン︎踏みつけを認める理由
ボタン︎分母の違い
ボタン︎もし「熊と闘え」と言われたら?
ボタン︎桜庭和志とのスパーリング

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︎踏みつけを認める理由

――今回は『ストライクフォース』(2010年4月17日、米国テネシー州ナッシュビル)でのギルバート・メレンデス戦を終えてからの話になります。
青木 はい。
――まず、“バカサバイバー”の敗北を受けて、その頃の日本マット界に、リングから金網(ケージ)に移行したほうがいい、という意見が飛び交っていたと。
青木 そうでしたね。
――そこで、5月1日に行なわれたトークイベントで、“バカサバイバー”は「経済的に一番のUFC。そこと同じルールにして、じゃあ、ビジネス的に勝てるのか?」「結局、俺ってプオタ(PRIDEオタク)だから、踏みつけあり、PRIDEルールがいいんです」と持論を展開しています。
青木 単純に、踏みつけが好きなんですよね。
――実はそこは激しく同意なんですけど、“バカサバイバー”の理由は?
青木 だってそれが「格闘技」だから(キッパリ)。
――おお、カッコいい!
青木 そうですか?
――踏みつけって、「格闘技とは何か?」の答えに近づくための、根源的なものが含まれている気がしますよね。
青木 ええ。
――ただ、この頃に『DREAM』はTBSで中継されていましたけど、TBSという地上波のテレビ局として、踏みつけが禁止なんですよね。
青木 そうでしたね。だけど僕が言いたかったのはそうやってアメリカを追いかけるんじゃなくて、日本は日本でガラパゴス化する方向にこだわったほうが、絶対に日本のマーケットを死守できると思ったんですよね。
――それはそう思いますね。正直、判定なんて止めちゃって、大晦日にあったフロイド・メイウェザーJr.×那須川天心じゃないけど、決着がつかなかったらドローくらいにすればいいのに。
青木 え?
――『巌流島』まで行っちゃうと独自色が強すぎるけど、ドローくらいならねえ?
青木 いや、それはダメでしょう。
――あ、ダメ?
青木 そんなことしたら勝負論がなくなりますよ。それはもうMMAとは言えないと思います(キッパリ)。
――そうかー。
青木 ですね。
――ちなみにメレンデス戦の後、“バカサバイバー”の闘い方に変化はあったんですよね?
青木 変わりましたね。
――具体的には?
青木 下にならなくなりましたね。
――あー、ポジショニングの考え方が。そこは重要なポイントですね。
青木 後は判定で勝つことに照れがなくなった。
――あ、それは凄い。それは判定で勝つことがいかに凄いことかっていうリングを経験した人が言える言葉だと思います。
青木 ですかね。
――そう考えていくと“バカサバイバー”は、試合内容が大幅に変化しながら成長していくファイターなんですかね?
青木 そうじゃないですか? 最初は派手なサブミッションが好きだったけど、それがいわゆるカタい試合をするようになって、今は(ケージ)レスリングを楽しんでいますから。

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