見出し画像

商売人の交渉の話 

意外に思われるかもしれませんが、僕は仕事の金額交渉をしません。気持ちが削られるから。

フリーランスで活動していると値付けに悩むものですが、試合も仕事も基本的には言い値で受けています。相場の範囲内にいる限りはお仕事させて頂くようにしていて、有難いことに僕のところに来る仕事依頼はリスペクトを感じるものばかりで感謝しています。

2024年に入ってからお断りさせて頂いた仕事を思い浮かべると「尊敬」や「気遣い」がないと僕が感じる依頼でした。「尊敬」や「気遣い」がないとはわかりやすく言えば「軽く見られている」ということです。もっとわかりやすくいうと「舐められている」ことであります。それで腹を立てることもなく、舐められちゃった!程度に思いつつ、もう少し交渉にもやり方があったんじゃないかとコンサルして差し上げたくなるところであります。

仕事依頼の最初の段階がとても大事だと僕は思っていて、初手で足元を見た条件提示をされたり、条件提示がなく有耶無耶に進もうされるとほぼ例外なくヘソを曲げてしまって、その後に条件が多少上がろうとも「嫌なものは嫌」となってしまいます。それが「青木真也はめんどくさい」と思われる理由の一つだと思います。

企画書とか丁寧な説明が必要のない関係性を築き上げている場合は「LINE一本」で済むし、それこそ信頼関係で仕事で手があった関係性が築けている場合はこうなることが多いです。初手の段階で疑問や違和感を感じた場合は経験的に盛大に揉めて手間だけが残る場合が多いので、初手で違和感や疑問を感じた場合はお断りするのが結果として一番な気がします。

依頼するときも依頼されるときも初手で駆け引きをせずに「誠実」な条件と思いをぶつけるのが一番の交渉術だと僕は思っています。交渉があって後から上げ下げするのは2度手間&互いの関係性に小さな傷跡を残すだけです。後から条件を上げられたら、「安く上げてやろう」と思われていたと感じて気分が良くないし、その場合は結果として初手で提示していれば済んだ金額よりも高くつくような気がします。初手で10万円で依頼してれば済んだものが、5万円で依頼してしまったが故に15万になるみたいなケースは案外多いような気がします。創り手や演者などの生き物は面倒な人の集まりなので、真正面からぶつかる以外に突破口はないと思います。

僕がここ数年で仕事をさせて頂いた中で、ずば抜けて選手を大事にしてくれるのはプロレス団体GLEATの鈴木さんです。プロレスでのオファーなので金額的にはMMAよりも多くはありませんが、丁寧な文言のオファーと説明に加えて、ときには電話や実際に会って話してとオファーを丁寧にくれる姿勢が丁寧な仕事で本業が広告会社なだけあって「流石」としか言えません。手玉に取られていると言っても過言ではないです。2024年一度もグレート出場機会がないのは寂しいです。まあそれはそれとして。

演者や出役や創り手は「誇り」で生きていて、カネよりも敬意や尊重してくれるかを優先順位の一番にして生きている人種です。それは経済規模としてマット界がまだまだ小さく弱小な業界が故に精神性に縋るしかないのかもしれませんが、誇りを何よりも大事に生きているのが、僕たちだと思っています。

長々と交渉について思うことを書いたわけですが、結局は「誠意」に尽きる話でありまして、相手のことを想ってオファー基本以外にないと思います。一番の近道は遠回りとであって、基本を大事にすることこそ王道で近道だと思います。それでは今日も持ち場で頑張りましょう。

何を断ったとは書きませんが、大きな決断をここ数日でしました。

ここから先は

1,554字

¥ 500

サポートありがとうございます。選手活動、表現活動の活動費用に当てさせていただきます。更なる良いもの、面白いものを創作する原資に大事に大事に感謝を込めて使わせて頂きます。