コロナにつける薬 vol.12 No man's land

せっかく携帯で記事を書いたのに、下書きにしておいて、後からPCでアクセスしたら、真っ白になっている!?というなんかの罰ゲームでした、、、

気を取り直して。

年末最後の観劇+映画がナショナルシアターライブの「シラノ」だったんですが、年始一発目もおなじNTLの「No Man's Land」となりました。緊急事態宣言直前の池袋は割と人出もあり、いつもと同じお正月の風景。道ゆく人のマスクの着用率だけは確実に昨年とは違いましたが。

さてこの「No Man's Land」邦題「誰もいない国」は、英国が誇るSirの称号を持つ二人の大俳優が共演する、言葉と言葉の応酬。言葉が世界を作り出していくその様を見ていると、これは男の世界だなあと改めて思わされました。ただし、それが女になんの感銘ももたらさないかといえば、そうでもない。

主演の二人はサー・パトリック・スチュワートとサー・イアン・マッケラン。X-Menでも共演しているこの二人は、英国人にとってみたら世界に誇る自国の宝、というところ。おじいちゃんだけど、当然存在感と唯一無二の味があって面白いんです。ハロルド・ピンターの書いた「不条理劇」とされるこの芝居。確かに何がなんだか、という感はあるのだけれど、不思議な魅力があり、グイグイと引き込まれる。言葉の力もしかり、それを体に通して表現できる俳優の力しかり。

こういう作品を見ると、昔は少し辟易したものだけれど(なぜならそれは、芝居を作る人たちの貪欲さに忠実な作品に思えるので。まっさらな観客向けでは決してない。芝居を見慣れている人に対して、「これでどうだ?」とつきつけているような)今は少し、受け方が違う。

NTLを見るときには、役者の一挙手一投足と一緒に、どうして今このセリフを喋るのか、ということが常に命題になる。かつて、俳優から全ての「セリフ」をなくし、舞台の上の肉体から出てくるものだけを見せることがすごいと思っていた時代もあったのだけれど。(それはある意味ダンスに近いものになった)。その反動からか、やはり舞台上で語られる言葉というものが世界を創り出すことができるということに、今は魅了されている。

なので、この作品の凄みに加えて、ハロルド・ビンターのやりたかったことがすごく面白くて、めちゃめちゃワクワクしながら観た。作品を観ながら、自分もこんな作品が書きたい、と思うのは中学生以来かも。(笑)




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