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ASP方式とは 【水換え不要の水槽システム】

半年から1年、水換えをしなくても、お魚が飼える「ろ過方式」です。

塩分を含んでいない淡水専用のため、海のお魚には使えません。

この記事では、ASP方式について解説いたします。


ASP方式が使える生体


ASP方式で管理しているネオンテトラの水槽

ASP方式は、小さなお魚に適したろ過方式です。
小さな魚とは、最大5cmくらいで、成長が止まるお魚のことです。

ではなぜ、大きな魚には使えないのでしょうか。
その理由は、「水をキレイにする力」が働きにくいからです。

大きな魚は排泄物が大きく、量も多いです。
バクテリアの分解が追いつかず、そのまま腐敗してしまうのですよ。

ですのでASP方式は、小さなお魚に使用しましょう

ASP方式が使える生体(一例)

小型(最大5cm未満)の熱帯魚
・ネオンテトラ
・グッピー
・プラティ
・コッピー(アカヒレ)など
日本産の淡水魚
・メダカ
・金魚(幼魚)
・ドジョウ
・タナゴ など
小型のエビ
・ミナミヌマエビ
・ヤマトヌマエビ
・レッドビーシュリンプ
・カラフルチェリーシュリンプ


ASP方式が使えない生体


甲長10cmを超えた大きな亀(ボスサイズ)

大きな魚、亀には、ASP方式が使えません。

なぜなら、ASP方式のもつ浄化作用が、封じこまれるように効かなくなるからです。

たとえば、体長10cm以上の大きな金魚は、ソイルをついばむように、ほじくる習性(クセ)があります。
亀の場合は前足を使って、ソイルをざくざく掘ります。

では、ソイルをほじくる行動が続いてしまうと、どうなるのでしょうか。
プロジェクトソイルのまるい粒が、グチャグチャにつぶれていくのです。
まるで、どろんこのようになってしまうのですよ。

粒がくずれて、泥のようになったソイル

粒が崩れたソイルは、お水が通らなくなります。こうなると、水中の酸素はバクテリアに供給されません。
水槽に溜まった汚れが、バクテリアに分解されなくなるのですよ。

だから、大きな魚、亀にはASP方式が使えません。

■ASP方式が使えない生体(まとめ)
・大きな熱帯魚(体長10cm以上)
・大きな金魚(体長10cm以上)
・大きな亀(甲長10cm以上)


ASP方式のフィルターは、土(プロジェクトソイル)


プロジェクトソイルという天然の土が、水をキレイにしてくれます。
しかし、プロジェクトソイルをザバっと水槽に沈めただけでは、水はキレイにならないのです。

キレイな水をつくるには、プロジェクトフィルターとよばれる底面ろ過器が必要です。

プロジェクトフィルターS(エアリフト式)

プロジェクトフィルターは、ソイルと一緒に使うことで、存分な効果を発揮する「循環装置」なのですよ。

プロジェクトフィルターは、土(プロジェクトソイル)の中に埋まっています。

プロジェクトフィルターとは、レールの上を走る列車のように、水をグルグル動かす装置なのです。

プロジェクトフィルターは、ポンプ(コンセントが必要)を繋げて使用します。

プロジェクトフィルターSと接続したエアーポンプ

ポンプの電源をいれると、ポコポコ、ポコポコと、お水が流れる音がします。
プロジェクトフィルターが、プロジェクトソイルに、水槽のお水を運んでいるからです。

だからプロジェクトソイルは、プロジェクトフィルターと一緒に使うのですよ。

プロジェクトソイルの効果は2つ


⒈お魚と水草が暮らしやすい水にする

多くの熱帯魚や水草は、弱酸性の水に棲息している

水道水には、塩素(カルキ)が含まれています。
わたしたちが安心して使えるように、消毒をしているためです。

塩素は、お魚に有害のため、カルキ除去剤(CLC)を使って取りのぞきましょう。

カルキがなくなっても、水道水には
・マグネシウム
・カルシウム
・カリウム
・ケイ素など
たくさんのミネラルが含まれています。

ミネラルが多い水の状態をアルカリ性の「硬水」といいます。
「硬水」は、お魚や水草には、あまり都合がよい水ではありません。

なぜなら、有害なアンモニアの毒性を強めたり、水中のミネラルを栄養にする「コケ」が発生するからです。

プロジェクトソイルは、水道水に含まれるミネラルを、磁石のように引きよせます。
そしてミネラルは、ソイルの内部に蓄えられます。これによって、水質が弱酸性の軟水になるのですよ。

ソイルがミネラルを引きつけるイメージ図

ミネラルを吸着する作用を「イオン交換」とよびます。
さらに、ソイルがイオン交換でため込んだミネラルは、水草を植えることで再利用されます。
なぜなら、ミネラルを栄養素として、水草が根っこから吸収するためです。

水草たちがミネラルを吸い込むことで、食物連鎖が完成します。

プロジェクトソイルは、水道水のミネラルを引き寄せるように調節してくれます。
だからお魚と水草にとって、暮らしやすい水質になるのですよ。

⒉バクテリアが、排泄物や残りエサを分解する

水槽内で活躍するバクテリアは、2種類います。
・エサの食べ残し、魚の排泄物など、目に見える汚れを分解するバクテリア
・アンモニアという、目に見えない汚れを分解するバクテリア

上記のバクテリアたちは、プロジェクトソイルに定着をします。水をキレイにする活動の場所になるのですよ。

プロジェクトソイルの粒は、パウダーのように細かい穴が、星の数ほど空いています。
バクテリアは、この細かい穴にひっかけるようにして、バイオフィルムという住み家をつくります。

プロジェクトソイルには、水槽内のよごれた水が流れてきます。
流れてきた汚い水(排泄物)は、バクテリアたちが、こと細かに分解していくのですよ。

だからプロジェクトソイルは、エサの食べ残し、排泄物を分解する、バクテリアたちの住み家になるのです。

ASP方式のお手入れ(メンテナンス)


日常的におこなう「お手入れ」と、1年に1回おこなう「ソイル交換」があります。

それぞれ、具体的に解説していきます。

・1日1回、お魚に「ごはん」をあたえる


ごはんは、数秒で食べきれる量をあたえましょう。ちょうどいいエサの量は、お魚の目玉の大きさくらいです。

エサのあたえすぎは、お魚の体調が悪くなる原因になります。

なぜなら、お魚は「ごはん」の栄養吸収が上手にできないからです。
消化不良を起こして、病気になってしまうこともあるのですよ。

お魚の体調管理も兼ねて、ごはんはちょっと少なめにしておきましょう。

また、運動できる時間をつくるために、ごはんは朝か夕方にあたえてください。

・蒸発して減った分のお水を継ぎ足す


水槽のお水は、蒸発をするとちょっとづつ減ります。
お店の場合は、1週間に1回、蒸発して少なくなった分のお水を足しています。

減ったお水は、なるべく早めに足しておきましょう。水が乾いた部分にできる、「水垢」を防げるからです。

白くてモヤっとした水垢は、ウロコともよばれ、スポンジでゴシゴシしても取れない厄介なやつなのです。

だから、スタート時点の水位より、お水が減ってきたら、こまめに継ぎ足すようにしましょう。
足してあげるお水は、塩素(カルキ)を中和した水道水を使ってくださいね。

・コケ取り、ゴミ取りをする


水質を安定する能力が高い「ASP方式」でも、コケが発生したり、水質が悪化したりすることもあります。

とはいえ、コケの発生や水質の悪化は、ちょっとしたことで予防ができます。
それは、エサの食べ残し、排泄物などを水槽から取りだすことです。

エサの食べ残しや排泄物は、そのままにしておいても、バクテリアに分解されます。
だんだんと細かくなり、いつかは煙のように消えていくのです。

とはいえ、煙のように分解されるまでは、長い時間がかかります。
そのあいだ、エサの食べ残しからは、目に見えない栄養が、ドバドバと溶けだしていきます。
これらは、水草に必要な栄養でもあるけど、厄介なコケにも利用されるのですよ。

コケにとっては、ごちそうがたっぷりある状態。まるでイナゴの大発生みたいに、コケが出てきてしまいます。

だから予防対策として、エサの食べ残しと排泄物は、バクテリアが分解する前に取りだしましょう。

底に残ったエサは、小さな網で取り出しましょう

「ゴミ取りネット」という、小さいアミがあると便利です。
気になったときにすぐ、ゴミを取りだすことができますよ。

・1年後にプロジェクトソイルを交換する


ソイルの原料は、天然の土壌(畑の土)です。
時間の経過とともに粒はくずれ、泥状になってしまうのです。

プロジェクトソイルがドロドロになると、埋まっているプロジェクトフィルターは目詰まりを起こします。
水槽のお水が、ソイルを通らなくなってしまうのです。
こうなると、循環がストップするから、お水がキレイにならなくなるのですよ。

排泄物の分解が滞ってしまえば、水質も悪化します。お魚たちが暮らしにくい環境になってしまうのですよ。

そのため、プロジェクトソイルは「半年から1年」を目安に交換しましょう。

上の写真は、粒状のソイルが、ほとんど確認できません。

ペースト状態のソイルが、全体の7割くらい見えてきたら、そろそろ交換の時期になります。

当店スタッフが、お客様の代わりにソイル交換をするサービスもおこなっています。
水槽のお水だけを抜いて、古いソイルが入ったまま、当店にお持ちこみください。

ぜひ、ご検討してみてくださいね。

ASP方式の記事は以上になります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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