見出し画像

ブッシュマン『羊羊羊羊羊祥羊』

ブッシュマンの本公演を観るのは初めて。
前に拝見したのは、あうるでの『Algernon』

1時間半どっぷりとブッシュマンの世界に浸る

今回は観劇中にメモを取るノートを忘れてしまったため、全部は書き起こせないけど、思い出せる部分をなるべく書き殴っていく。


境界線には何の意味があるだろう
始まる前からずっとソワソワしていた。
奥に石みたいなものが転がっている。
積まれている。

賽の河原

そんな積まれ方をしている気がした。


目の光を失った肉体労働者と飼育員
労働を見張る人間は境界の向こう側

ナチスドイツのユダヤ人差別かのよう
アウシュビッツだろうか

「もこもこもこ」
ミルクラムからマトンへの成長
懐き方が異常なほどに生々しい。

話は飛びますが
江戸時代には男娼が多く存在していまして
11-14歳が「蕾める花」、15-18歳が「盛りの花」、22歳までで「散る花」
なんて感じで、少年から青年になる子たちを値踏みしていて、

飼い主への生々しい懐き方と、男娼の接待が重なる。

今ちょうど、『娼年』を読んでいる影響もあるだろう


羊たちの流れ作業
同じことを繰り返す。選別。

エラーが生じる

そんなやつは殺してしまえ!
あー!水、! 本当に張られているなんて、、!

水を浴びて、服を着替え、
上手奥、江口さんと奨さん
あら、これは
非常に官能的な匂いがする。

生殖、増殖、種。
ロマンスは感じられない。非常に機械的。
なのに、なんて艶やかな、、


クローン羊のドリーさん

みんな同じ服着て、同じ動きして
マス目に沿って、規則正しく、スマートに

人間のクローンを作ることは、倫理観の問題で禁止されている。

けれども、わたしたちって
流行ったものを見て、聞いて、食べて、着て
流行りのボディを目指して
流行りの顔にメイクして、整形して
機械に勧められた記事を見て、それだけ覚えて、自分で考える余地はどんどん減っていって

数百年後の世界、みんなクローンみたいにそっくりな顔して生きていくんじゃないか、

そんなことを思って
背筋がゾクリとする。

私もドリーも
あながち同じような存在になりつつあるのかもしれない。


男性の肉体を持っていないとできない爆発的な身体。
中毒性のある音楽で脳みそが麻痺をする。
現実的でない脚力からなる飛躍!ここは夢の中!

プロジェクターから出る強い光を懐中電灯のように使用する演出が本当にカッコよかった、、!
まるでホラーゲームをやっているかのような感覚。
懐中電灯の光が、だんだんと蠢き、細胞分裂を始める。
細胞の異常な動き、システムエラー
どこを見ればいい??
スリリングを求める私と、恐怖で目と耳を塞ぎたくなる私。

何重にも重なる身体、リアルタイムでの映像投影
これが、後のホムンクルス、?

羊が一匹、羊が二匹、三匹、四匹、、、
だんだんと減っていく羊、どこまで数えたのだろうか、朦朧とする意識。

向こう側の世界が透けて見える。


「ねえ、何考えてるの?」
「考えることなんでやめてしまいなよ。」

そんなことをお構いなしに動き続ける

言うことを聞かないやつには制裁を。
聖痕が刻まれる。

他の人とは異なる思想をする人間、他の行動をする人間はすぐに排除をされる。
魔女狩り。公演では、火炙りの刑ではなく、水責め。

ライトアップされた十字架
復活する羊

「神」として生まれ変わる。

あ、
もしかして

【神の羊】で【祥】ってこと??

個人的に、一番ここでゾクゾクした。

哲学と、宗教の誕生。

作品中、聖痕が刻まれていたのは右手だった。
キリストが聖痕を刻まれるのは左手。

チラシをみると、羊が左右対称に描かれている。
神の羊になったのは、新しい神に成り変わったのは
もしかして、クローンとして、人工的に作られたクローン羊のドリー、、、?

なんつって。
オタクの妄想一人走りです。


「ホムンクルス」という名前には聞き覚えがあった。
私は『鋼の錬金術師』が大好きだからである。
けど、そのソースを知らなかった。
なので、今回ネットで調べてみることにした。

 

1.パラケルススのホムンクルス

 ヨーロッパには、ラテン語で小さな人を意味するホムンクルス(Homunculus)が、精子や耳の中にいて発生や感覚をつかさどるいう逸話があった。スイスに生まれたパラケルススは、イタリアのフェラーラ大学医学部を卒業し、その後、スイスのバーゼル大学医学部教授に就任した。しかし、キリスト教を批判したため追放され、その後、完全な生命を生み出すことを目指し錬金術師となった。 彼は、ホムンクルスを作り出したと主張している。その製法は「精液を蒸留器の中に40日間密封すると、人間の形に似たものがあらわれる。さらに人間の血で40週間与え、ウマの胎内に等しい温度に保つとホムンクルスになる。」という奇妙なものであった。

精液を蒸留機の中いに40日間密閉したら、そりゃ「何か違う匂いがする」物質になるわな。
どうしてそんなところで匂いを嗅ぐのか、すごく気になっていた。
「もこもこもこ」という発音も、羊なら「モコモコ」でいいのに、わざわざ繰り返すのはなんで?って思ってた。
フラスコの中で、ホムンクルスとなる物質たちが、もこもこもこ、もくもくもく、、蠢いていたのかもしれない。

2. ペンフィールドのホムンクルス

 カナダの脳外科医ペンフィールドは、てんかん患者の手術部位の決定に際し、ヒトの大脳皮質を電気刺激し、運動野や体性感覚野と体部位との対応関係をまとめた。図1は、ペンフィールドとボルドレイが彼らのデータに基づいて描いた「こびと」(ホムンクルス)である。この図では、ホムンクルスの体の各部分の大きさは、大脳皮質運動野の相当領域の面積に対応するように描かれている。その結果、体の形は相当ゆがんでいる。例えば、親指は大きく長く、顔や舌も異常に大きい。ペンフィールドのホムンクルスの特徴のひとつは、図1に見るように、体の表面積と脳の対応部分の面積が1対1に対応していないという点である。

図1
この左右対称な感じ、チラシの羊の左右対称な絵にすごく似ている気がした。
最初見た時、羊の絵ではなく、2人の人の顔に見えていた。
ホムンクルスみたいな顔、見間違えではなかったのかもしれない。


ホムンクルスの図、たしかに心理学の授業で見たことがあった。

このホムンクルスの立ち姿、なんか見覚えあるなあ、と思ったら序盤シーンのダンサーたちの歩き方に似ているのか。
やけに大きな靴履いてるし、どうしてだろうってずっと思ってた。
そういうことかあ
粘土を手でこねくり回す作業はただの単純作業ではなく、大脳皮質を刺激しているムーブメントでもあったのかな、とこのサイトを見て感じた。


こうやって、作品を見た後にあれこれ連想して、
どうやってこの演出が生まれたのか、どうしてこの動きにしたのかを自分なりに咀嚼・解釈することが本当に楽しい。

今回の作品は、特にそれがたくさんできて、すごく楽しかったなあ

もう一度みたら、また解釈が変化していきそうな作品でした。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?