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あかね噺-第96席・たかか落語だ-感想

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「暗号学園いろは」が終了。これで2022年の新連載組は「あかね噺」だけになってしまいました。暗号学園は、西尾維新節が楽しい漫画でしたが、個人的には、世界観に入り込めず目的と手段がずれてるように感じてそこまで面白いとは思いませんでした。中に入ってしまえば面白い漫画だったと思うのですが、入れない人が多かったんじゃないかな?
次回からは新連載という事で、それが終わるまではあかね噺の2周年もおあずけかなって事で感想行きます。

◆あらすじ


週刊少年ジャンプ 2024年2月5日発売 10号

泰全が、志ん太の破門についての責任を感じている事について、たかが落語だと、今の気持ちを語る徹。泰全と共に会場へ向かう。
役者が揃ったところで朝がおのお披露目が始まる。

◆感想


なかなか涙腺にくる話でしたね。2周年&100話に向けて盛り上がってきましたね。
今回は、破門の理由・たかが落語 について書いていきます。

破門の理由
今回、泰全が考える志ん太を破門にして理由が語られました。
それは、真打ちになった物の人気が無い泰全のような真打ちを、増やさない為に、人気の無い志ん太は、破門にしたという物です。
この話そのものは、筋が通らない話では無いですが、全生がしつこく志ん太の嘆願をする泰全を黙らせるために言った方便な気がします。

とはいえ全生が咄嗟についた嘘では無く、全生が考える破門の理由を語ったんだと思います。
志ぐまも明確な理由を知らず、それよりも下の立場である全生が破門の理由は知るはずもなく、全生なりになぜ破門にしたんだろうかという疑問に対して出した答えなんだろうと思います。
その意味では、方便ではある物の、全生としては本気の話なので、泰全も本気で受け取ったんだろうなと思います。

確かに強い芸を好む一生ですから、芸人として弱い志ん太を必要としないというのは筋が通っていますが、この理由ならら公言しても差支えが無く、これに対して厳しいと捉える人の中には、厳しさを評価する人もいそうで、得しかないと思います。

あとこの話から、もう少し掘り下げて考えると、泰全は志ん太のように人気が無い芸人だったのに、真打ちになれたという事。
そして全生が人気が無い事が理由と考えたという事は、落語の出来は真打クラスであった事を証明していると思います。

理由を公表しなかったのは、公表できない理由だったからで、それが志ぐまの芸と関係があるから、公表できなかったんだろうなと思いました。

あと、今回でさらに読者からのヘイトを集めているクソアフロですけど、私は、人気が無かった泰全の尻を叩いて、ぼろ負けしていたちょう朝と並ぶほどの芸人にしたという意味で、嫌な奴ではある物の、人を育てるセンスはあるのかもねとは思いました。パワハラだけどね。

たかが落語だ
今回のタイトルになってる「たかが落語だ」は、深すぎる。
徹の、落語への未練を断ち切った言葉であるし、落語に人生を掛けている集団の村社会についての言葉、笑わせる芸なのに笑えなくなってしまっている事への皮肉。
たった一言ですけど、志ん太はこの言葉にどんな意味を込めたのか?今後掘り下げられる言葉な気もします。

志ぐまを継ぎたいと語った志ん太の夢は潰れてしまったわけですが、この襲名披露というのは、歌舞伎の襲名披露をパロって始まっています。
落語は、演者が滑稽な話をして笑わせたり笑われたりするモノです。昔は裸踊りをしたり、猥談をやったり、下らない笑い話をするモノです。
そんなバカバカしい人たちの名前を歌舞伎の様にありがたく受け継ぎお披露目するというのは、いうなれば落語界がボケでやっていたのです。
それが代を重ねるうちに、洒落でやってた事に権威が付き、名前を継ぐ継がないで揉めたりするようなモノになってしまった。
たかが落語なのに、本気になるなよって話です。

今、世間では松本人志が叩かれていますが、もともと低かったお笑い芸人の立場を、笑いが分かる分からないを持ち込み立場を引き上げたのが松本人志です。
それまでは、お笑いなんかクズのやる事で、何を言ってもアホが何かゆーとるという取るに足りない存在でした。
そんな奴が女遊びをしたり、金に汚くても、そういう物だからねで済む時代でした。
しかし、お笑い芸人が、ニュースの司会、コメンテーター、など笑いが分かってる奴は賢いみたいな事で、重用されるようになり社会的地位が上がった事で、派手な女遊びはご法度になった訳です。
たかがお笑い芸人が何いってんの?という事にお笑い芸人が怒る様になったら、芸人も終わりな気がするな。

たかが落語ですけど、されど落語。
そんな落語に、これだけの人が執着するのは、されど落語で抗いがたい魅力があるから、執着するわけで「たかが落語」では無い。
一度落語から離れて狭い業界を見て達観すると、されど落語になる気がします。徹には志ん太への未練は断ち切ったように感じますが、されど落語と落語界に戻る未来が逆にあるように感じましたね。


あかねと志ん太の迎合は、割とあっさり目で拍子抜けだけど、あくまでここは朝がおが主役。主役をほっぽり出してあかねと志ん太で盛り上がるのは違うよねって事で、良い演出だと思いました。
この辺を間違えないのは、あかね噺の良い所だなと思いましたね。
って事で感想は終わり。でわでわ。





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