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あかね噺-第101席・だからだよ-感想

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今週の「グリーングリーングリーンズ」は良かったですね。一話の段階では結構厳しいかなと思ってたんですけど、センターカラーの今週に見せ場をあわせてきた感じですね。
主人公の好感度を下げてから、ちょっとずつ好感度を上げていく漫画はジャンプでは難しいけど、うまくいってほしいです。
今回は勝つためのロジックも良かったし、八枝崎の特性が見えてきて、ここから面白くなっていきそうな感じがします。
ってことで感想です。

あらすじ


週刊少年ジャンプ 2024年3月11日発売 15号

あかねが夢中になるあまり、時間を超えてしまうかに思われたその時、客席からのくしゃみで我に返り、きっちり時間通りに噺を終える。

感想


めちゃくちゃ良かった。登場人物に対する解像度の高さに感心した一話でしたし、1話のくしゃみを101話で回収するのも綺麗でしたね。
今週は、娘への想い・落語への想い・分からない想い、について書いていきます。

娘への想い
今週一番感心したのは、徹の朱音に対しての想いでした。この漫画の連載当初にあった、「あかねが真打になったとて志ん太の落語が凄かったとはならない」。
これに関しては、正しいんだけど、あかねがそう思って頑張る事は理解できるので、間違いであっても、それを目指し、どこかでそれに気付いて、自分を探すストーリーで良いと思ってました。
同時に、仮にあかねが真打になって、志ん太の落語が凄かったとなっても、それを志ん太はそれを喜ぶの?という疑問です。
これに関して、我関せずを貫いている志ん太の気持ちが理解できなかったのですが、今週は、そこに関しての志ん太の想いがリアルに納得できました。

自分のせいで、あかねに必要のない重みを背負わせてしまった事へのある種の悔いです。
父として、娘が自分の事を思って頑張ってくれることは、それが間違った方向だとしてもうれしい事だし、間違っているからと簡単に否定するのは娘の為にも良くない。とはいえ、自分のせいで間違った方向に進んでいるのは、どこかで正しい方向に進んで欲しい。
どうして良いかわからず、遠くから見ながら師匠にゆだねざる得なかった。
この父の娘への想いの解像度の高さが、私が思っていたよりも数段上で、本当に感動しました。

世の中の問題には正解が分からないことが多く、それに対していろんな葛藤があって、逡巡してしまう事はよくある事です。常に正解が見えてる人も、悪意の塊のように間違い続ける人も居ない。
この漫画は、人の気持ちが、凄くリアルに表現されていると感じます。
生きるか死ぬかのような極限状態でしか、発露しない感情は少年漫画によく出てきますが、現実世界にありそうな、他人からは見えない個人の葛藤を、丁寧に掘り下げているのは、この漫画の凄く良いところだと思ってます。

落語への想い
もう一つ、今週は志ん太の落語への想いも感じれました。志ん太は、売れなかったけど落語が好きだったんだという事を感じました。
だからこそ、あかねが自分と同じように落語を楽しんで欲しいという想いに繋がっていると感じました。

落語というより、落語家という仕事を楽しんでいるかの方が近いのかもしれません。
他の落語創作を見れば、修行時代は、落語は好きだけど修行はだるいし、師匠は怖いし、金は無いしで、どうやって楽できないかばっかり考えてる物です。
しかし、若い頃なんてのはそんなもので、後になって振り返って、あの頃は楽しかった、若かったとなるものです。

志ん太としては、落語も好きだったけど、落語家として仲間内でバカをやったり、間に入って四苦八苦したり、金がなかったり、弟弟子の面倒を見たりといった事も、大変だったけど、楽しかったんだと思います。
いまのあかねがは、早く真打になりたいと真面目に頑張っていますが、自分のように落語家という仕事を楽しんでいるのか、というのは志ん太として心配しているんだと思います。

実際の所、あかねは兄弟子や周りの人の中で、苦労しながらも十分楽しんでいると思うのですが、父からすると見えないので大丈夫なのかな?と思うのは自然で、そこに対する安堵から涙してしまうのも納得でした。

分からない想い
今回のシリーズで、娘に対して懺悔のような想いとうれしい気持ち、落語をやっていたころの楽しかった想いと、やり残したことに対する整理された気持ちは理解できました。

しかし、もう一つ大きな想いが分かりません。
それは一生に対する想いです。あかねには背負ってほしくないと言ってることから、一生に対して大きな恨みを持っている感じはしないんですけど、志ん太は、一生に対してどう思っているかは気になります。
なぜ、自分が破門にならなければいけなかったのか?について志ん太にも理由ははっきりしていないように見えるのに、どこか納得しているように感じます。

このあたりの気持ちが、どこかで出てくるのか、この話を機に仇討ちみたいな路線から離れて、真の意味であかねの噺を探求する旅になるのか、一生のわだかまりから対立していくのか、今後の話がどう転がっていくのか楽しみですね。


今週は、遊ぶ子供をたしなめる父の姿を映す演出や、一話のくしゃみを思い出させる演出など、演出面も凄く良かったですね。
お話的には二つ目の推薦は貰えると思うけど、そこからどう話が転がっていくかは、全く見えない感じなので、しばらくは繋ぎの回が続くのかな?
今週の感想はここまで、でわでわ。


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