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【2020年10月14日(水)〜10月15日(木)のこと】その日の花を摘め、断腸亭日乗、叔母の死

1. 【2020年10月14日(水)】        

2. 深夜、母からの電話で、父方の叔母が脳梗塞で倒れたと連絡が入る。意識はないようだ。いとこたちは家で待機しているらしい。
3. いつかはそんな日がやってくると思っていたけれど、身体が強張る。こういう覚悟を強いられるシチュエーションは、準備ができていないまま、突然やってくるんだな。
4. たぶん倒れた叔母だって、そう思っているに違いない。身に染みて「その日の花をつめ」というコトバを噛み締める。
5. コロナ渦につき、病院には来ないようにと親戚から指示される。胸の中でざわめきが音を立てて唸る。心細い、不安だ。
6. 木皿泉さん脚本のドラマが好きなのは、いつも木皿泉さんの世界にひとの生き死にが正面きって描かれているからだ、と思う。
7. ユーモアでコーティングされているけれど、生々しい死と喪失感が地面に突き刺さっているお話ばかりだ。もしいま、言葉に力があるとしたら、木皿泉さんのことばや、レイチェルカーソンのことばをこころにくべて、現実と対峙する支えにするしかないかも。
8. 祈ることしか出来ないから、祈ろう。祈りという行為は、人類の行う行為のなかで最も美しいとわたしは思う。祈りは願いとは違うんだ。
9. なんだか眠れない。

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10. 【2020年10月15日(木)】  

11. たくさん夢を見た気がする。目覚めにピーチティーをいれる。あたたかなフレバー紅茶は癒してくれる。今から朝ごはんと弁当を作る。時間あるかな。冷蔵庫は厚揚げしかない。
12. 素人の乱の松本哉さんのお父さんが、松本哉さんという息子の名を筆名にして本を出しているのがタマラナイ!と思って、探して買った松本哉著『永井荷風ひとり暮し 』(朝日文庫)。
13. 先日、本棚の中から発掘されパラパラ読む。哉父はイラストがまたいい。文章を真面目に読めば、「断腸亭日乗」はわりと事実ではなくて、内容を盛っていたことを知る。
14. じぶんが日乗を書き出してから、日記文学や私小説に興味が出てきた。どこまで踏み込んで書くのか、自分をどこまで開示できるのか、その表現方法は吉とでるのか凶と出るのか、など。
15. なお、このタイトル「ア流亭日乗」は、山下陽光さんのメルマガスタイルの亜流と「ア」という文字にこだわる流派みたいな演出と、永井荷風ノリで決めた。
16. 世界中のあらゆるところで毎日、ひとの生き死にのドラマは起こっていて、それをわたしは、観客として観客席で観ていたはずなのに、リハもないまま舞台へ立つ側に引っ張り出されてしまう。
17. 叔母のことが頭から離れない。 

18.  弁当をつめて、仕事に出ようとしたら、いとこからLINEが来た。叔母は今朝方亡くなったとのこと。

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19. 東京、曇っている。せめて晴れた日に旅立って欲しかった。でも、晴れと雨のあわいの世界も、ちょうどいい感じでいいのかも。
20.とっぴんぱらりのぷぅ。



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