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2022/06/27 ちょい見せ

 炊飯器が私より早く目覚める。君も6時のはずだ、と思う。この人は内臓タイマーがどんどん早くなる業病を得ている。合わせても合わせても早くなり、多分5時55分より前に鳴っている。遠くでピーピー言う音でああ、あいつったら、と思いつつ起きる。何にでも情が移る。

 弁当。ネタ切れと寝足らずでまた脱力弁当。友人からまたしても「ご飯少なくない? 」というメッセージが来たので、こういうツイートをした。

 色々協議の末、この形に落ち着いた。そもそも家族は自転車にリュックで通勤通学しているので平たい弁当箱はアウト。二段型はかさばる、ということで深型の上に蓋がドーム型のものにして上に上に、ということになった。その時ご飯が全く見えないのもつまらん、ということで、ごはんはおかずの横にちょい見せスタイルになったのだ。

 タレつけ唐揚げは脱力した弁当の作り手の味方。入れるだけで美味しい。のっけ弁当派の味方でもある。他にだし巻き卵、切り干し大根煮、小松菜煮浸し、ソーセージなど。

 家族を出してから、今日はすぐ作歌に取り組む。いつもはある程度の家事をこなすけれど、そこでポエジーとか色々失っていないか、との疑念から。洗い物と洗濯だけ仕掛けて。

 作歌。まだ連作としてまとめずに作っている。色々やりたいことは決まっているからやるのみ。来月〆切のものを考えて逃亡したくなる。

 お腹が空いたら漢方薬を飲む。昼の食前の分。こうすると辛抱たまらず間食してしまうことを避けられる。
 お昼、久しぶりに気合い入れにアベックラーメンを食べてみる。卵も落として、好みの感じに仕上げたものの、あんまり。寝食忘れているわけではないけれど、真面目に創作に取り組むとこうなるので、人とは面倒くさい生き物だと思う。
 食に走り過ぎても、走らな過ぎても私には黄信号。どっちにしろ生活に興味が無くなっているということ。体験からこの領域は深入りすると大変だとわかっている。実のところ私個人は廃人になっても構わないけれど、周囲は困るだろうから、ほどほど食べ、暮らさねばならない。人とは面倒くさい生き物だと思う。

 午後も詰めて作歌。こういうの、久しぶり。30首の連作ならどれぐらい作るの?と尋ねられるとだいたい倍、と答えてきたけれど今回はもっと裾野を広げたくてそれより多くなってしまった。新人賞に出していた頃はひどいと4月から5月末に連作3つで110首あればいいところ3倍作っていた。なんだろうその体力。何年も経っていないけど、恐ろしいことをしていたと思う。

 作歌は早めに切り上げたのに沈没。へとへとに疲れ果てて、午後一度寝て、起きて回復したかと思いきや、すぐ沈没。作歌すると疲れがすごい。無いものを振り絞って書いているからだったら嫌だなあ、と思う。

 晩飯、中華丼と豆腐とわかめ、卵のスープ、ほうれん草のおひたし。沈没が過ぎて調理開始時間を過ぎて始めたので、超特急便。なりふり構わず作る。予定時間には出来たのはいいやら悪いやら。超特急なら間に合う前例を作ってしまった。これを元に私はまた差し迫ってから大慌てで作り出すんだな…と思う。

 作っている間につけっぱなしのテレビではNHKの『ファミリーヒストリー』をやっていた。息子1が「かーちゃんは好きで見るけれど、俺はこれ、嫌いだ」と言う。知ってます。だからあなたがいる時は点けないでしょ、今日は飯作りに髪振り乱してて気にもとめてなかった、と言うとそれにうなずきつつも、「だって暗いことしかやらないんだもん」と言う。わかる。けれどちょっとそれは、と思う。

 私は歴女なんておきれいなものじゃなく、歴史学科出の腐れ歴史ウォッチャーであり祖母がガチ目の特殊な戦争体験者なので、まあ貪るようにウォッチングしてきた。日本のちょっと前なんて完全な暗黒時代だ。死去地にレイテ島とかガダルカナルとか記載されて戸籍までをも戦争まみれ。親戚が何人も同じ日に死んでいたり。戦争に翻弄されていない日本人などいない。そして人の転換点はだいたい明るくはない出来事だから、先祖の動きを探るあの番組は自然とそういうところにクローズアップする。そりゃ明るくなるわけない。でもそれが人生というものだし、歴史なのだ。

 皆さんのお陰で今の私がある…と引き寄せて思わなくていいけれど、私達と同じように笑ったり泣いたりして暮らした人たちにそういうことがあったとは思って欲しいもの。自分も後の人から見たら、暗い出来事の多い人と映るかもしれないし、自分と隔絶したものと思わないで欲しいのだけど。

 過去の教訓が生かされないのはこういうところかもな、と思う。歴史は知識じゃなくて、使える前例だったり実話の物語なのだけど、教科として勉強として教えられたりすると自分と関係があるとは思いにくいし、まあ無理よねー。

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