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"パーティゲーム化の失敗"「スマブラ」の歴史から考えるゲートルーラーの今後

"パーティゲームとしての対戦ゲーム"スマブラXは、実はゲートルーラーと同じ轍を踏んでいた…

はいどうも今日はあべしんです。今日は、ゲートルーラーというカードゲームについて語っていこうと思います。

事の発端はFlat工房というカードゲームYoutuberの動画。(削除済み)

僕が特に注目したのは、

>競技性が低く運が絡む仕様が大きい

という部分です。

対戦ゲームを作るという事

 対戦ゲームが常に抱える問題であるのが"ガチ勢と初心者のバランス"。初めはみんなヨーイドンで一緒に遊び、勝ったり負けたりを繰り返して楽しみます。

 しかしながら、人によってゲームに対する熱量が出てくる。ある程度実力がついてくると、その差は上級者VS初心者という構図になり、だんだん上級者しか勝てなくなっていきます。ゲームの上手い下手がきちんと勝敗に左右される要素を"競技性"と言います。

 しかし、実力のみで勝敗が決まってしまうのも問題だったりします。上級者VS初心者で100回やっても絶対100回負ける。どう頑張ってもまったく勝てないとなると、面白くないですよね。これが続けば、ゲームを辞める人が出てきたりします。この格差を放置すれば、辞める人が1人2人と増えていき、最終的には上級者の遊び相手すらいなくなる。

 これを避けるために、大抵のゲームが運要素を含んでいます。運要素とは、実力の関係なしに起こる逆転要素の事です。スマブラでいえば最後の切り札。デュエルマスターズでいえばシールドトリガー。このあたりが分かりやすいでしょうか。これらのゲームは上級者VS初心者でも、100%上級者が勝たないように出来ています。

 どんな相手にも、挑み続ければ勝てるかもしれない。その希望に病みつきになり、初心者もゲームにのめり込むようになる。対戦ゲームにはそんな魅力も必要です。しかし逆に、あまりにも運要素が強ければ、いくらやり込んでも勝てないという事になり、やり込んでくれるユーザーは離れていきます。

 初心者に向けて作るなら運要素を強くして、上級者やコアゲーマーに向けて作るなら競技性を強くする。ガチ勢と初心者のバランスとは、この競技性運要素の塩梅によって決まると言えるでしょう。


"オタク向けカードゲーム"の卒業?ゲートルーラーとは

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 ※この記事で登場する「カードゲーム」という単語は、原則として遊戯王やデュエルマスターズといった「トレーディングカードゲーム」の事を指します。ご了承ください。※

 「カードゲームはオタクの趣味」と言われて、言い返せる人はどれだけいるでしょうか。怒りが沸いてくる人はいると思いますが(僕もその一人です)、「そんなことはない」とはなかなか言い切れないでしょう。

 カートゲームで勝つためには、膨大なカードの知識がどうしても必要になります。さらには、その知識を生かしてデッキを組み、上手にカードを扱えるようにならなくてはなりません。お金もかかりますし。

 運要素が絡み始めるような、"勝負が成立する"土台に立つまでが少し大変です。さっきの話だと、競技性高めのゲームという事になります。別に今のままでも、マニアックな層には十分面白い趣味ですが、今後の事を考えると初心者の取り込み方も考えなくてはなりません。

 ゲートルーラーは、その雰囲気を壊そうというコンセプトのカードゲームです。製作者であるいけっち店長は「多様性の肯定」を目指していると言っており、かなり初心者の獲得に力を入れているようです。

 ルールも選択制にし、単純かつ簡単なルールが選択できるようになっています。詳しい情報などはいけっち店長や公式のTwitter等からチェックしてみましょう。

トランプとカードゲームの違い

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 説明が長くなりました。ここで、一つの懸念点があります。それは、"ゲートルーラーはどれだけ競技性を担保しているのか"というところです。

 僕がこの疑問を持つに至ったきっかけは、件の動画の「ゲートルーラーはパーティーゲームだ」というFlat工房氏の発言です。

 パーティーゲームとは、対戦ゲームのように競技性を考えたものではなく、あくまで運要素を重視したゲームの事です。一番わかりやすいのはトランプです。ババ抜きに上手いも下手もないですよね。なので、誰でも一緒に遊ぶことができ、勝敗も適度にバラけます。

 友達同士ワイワイする分には楽しいです。が、ババ抜きを極めて全国大会に出ようとはならないですよね。これが、パーティゲームと対戦ゲームの違いです。

 Flat氏曰く、日本一のカードゲームであるデュエルマスターズには、運要素が強すぎると判断されて使用が制限された「ホーガン・ブラスター」というカードがあり、ゲートルーラーにはその要素が当たり前のように含まれている可能性があるそうです(※これは考察です)。

 ホーガン・ブラスターはいわば坊主めくりのようなもので、山札をめくって出たカードは何でも使用可能という効果を持っています。カードゲームはあくまで対戦ゲームなので、ある程度競技性が担保されていなくてはなりません。

 勝ち負けにそのゲームの上達が絡んでくるからこそ、毎日遊ぶことに意味が生まれ、長く愛されるゲームとなります。ホーガン・ブラスターは、この信頼関係を損ねるとして使用制限になったのです。

 ゲートルーラーの課題も、やはりこの競技性と運要素のバランスが重要になってくるはずです。ジャンルが少し違いますが、「対戦ゲームとパーティーゲームの両立を高レベルで実現している」という意味で大乱闘スマッシュブラザーズの歴史を紹介していこうと思います。

"超ガチ勢向け"スマブラDX

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 スマブラといえば、友達の家でワイワイ遊ぶイメージが強いですよね。しかしながら、近年は有名企業によるプロチームが次々と設立されているように、競技性の高いeスポーツとしての評価も急上昇しています。

 個人的には、世界一「対戦ゲームとパーティーゲームの両立」に成功しているゲームではないかと思っています。

 しかしながら、スマブラも最初からこうだったわけではありません。競技性と運要素で揺れていた時期も存在します。

 スマブラシリーズ2作目である「スマブラDX」は、その競技性の高さが有名です。スマブラDXは2001年発売のゲームですが、世界的な格闘ゲームの祭典である”EVO"では、2020年現在でも競技種目として採用され続けています。現在「シリーズ史上最も格ゲーらしいスマブラ」と言われるほどです。

 しかしその反面、スマブラDXは"ガチ勢向け"過ぎました。あまりにも操作がが難しすぎて、初心者お断り状態だったのです。1秒の60分の1の時間単位である、1フレーム(F)単位で要求される操作があまりにも多すぎました。

 パーティ要素をふんだんに搭載し、格ゲーへのアンチテーゼだったはずのスマブラが、いつの間にか格ゲーの最高傑作となっていたというのは、何だか皮肉な話です。

"キャラが滑って転ぶ"スマブラXの失敗

 これを重く見た任天堂は、次作である「スマブラX」で、大きな方向転換を行います。それは、とことん難しい要素を排除し、運要素も盛り込んでいくというものでした。最も特徴的なのは「キャラクターがたまに滑って転ぶ」事だと思います。

 どんなにルール設定で運要素を排除して、1vs1の真剣勝負の舞台を整えていても、キャラクターが転びます。しかも厄介なのが、操作ミスとかではなく確率で転ぶことです。

大会の決勝でキャラが転んだシーン

 真剣勝負の最中に、自分の意思とは無関係に不利になるのは、「運」というより、「理不尽」に近いような気がします。いくら技術を積み上げても、自分の意思とは無関係に崩れ去る。運要素とは、一歩間違えば賽の河原になってしまうという事です。

 結局スマブラXは、前作とは違いEVOの競技には選ばれませんでした。また、スマブラの他シリーズは現在でも遊ばれていたりしますが、スマブラXは現在でもあまり遊ばれていないようです。これが、競技性を排除しすぎた結果と言えるのではないでしょうか。


ゲートルーラーに期待すること

 スマブラDX→スマブラXで失敗したように、カジュアルさを重視しすぎるとコンテンツの寿命を短くすることになります。

 ホーガン・ブラスター的要素を持っていると思われる(※考察)ゲートルーラーも、もしかしたら同じ失敗をするかもしれません。

 ブランディングやゲーム自体はすごくおもしろそうだと感じているので、ここら辺の調整を上手に行ってほしいなと思いました。


おまけ

僕が普段飲んでいる一本79円のエナジードリンクです
味普通でカフェインほどほどなのでよかったら買ってみてください


参考資料

サウザー【スマブラ帝王学】| ガチ勢が歴代のスマブラを徹底解説【スマブラSP記念】 |https://youtu.be/r9uwNL68p3k 10/28日アクセス

Abadango | 僕たちはスマブラXになぜ魅了されたのか | https://smashlog.games/334910/28日アクセス

Flat工房氏のYoutubeチャンネル https://www.youtube.com/channel/UCOmHnFAu9eozuVfgpB9ZUwg (動画が消されていたので代わりに)

いつもありがとうございます。