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にゅうにゅうの逆襲

 あれは四月、二十歳の春休み真っ最中だったと記憶している。晴れたり曇ったり、時には雨が降ったりした日に、にゅうにゅうは突然やってきた。身長はこぶし大ほどであろうか。ハダカデバネズミのように毛はなく、つるつるしていて二頭身。「にゅ!」とか、「にゅう!」とか鳴くから「にゅうにゅう」。今そう決めた。便宜的に。
「何だ、ネズミか? 」
 僕はとっさにつぶやいた。しかし空気が振動しただけで、音は何処かに吸い込まれてしまった。一人暮らしをしていると、ついつい独り言が出てしまう。にゅうにゅうは何もしなかった。僕の机の上にいたが、ちょこまかと動き回ったり、休んだりの繰り返しだった。僕はしばらく、意味もなくそれを見つめていた。ただ単に頭がうまく回らなかっただけかもしれない。とにかく僕はぼけーっとそれを眺めていた。
 まず気づいたことは、にゅうにゅうの手足は異様に短いということである。 普通、生物は手や足を利用してなんらかの獲物を仕留めたり、崖を登ったりするが、にゅうにゅうにはそれができない。ちょこまかと僕の机の周りを移動し、そのあとはコップの中に入ろうとしてよじ登ろうとしたが断念。
 コップの下の方にしがみついたとき、無理なのを悟って、コップから離れた。そのあとは僕の本棚を滑って行った。最近始まったばかりのテレビ、『笑っていいとも』が流れているのを無視して、彼は一目散に本棚を駆け巡った。解剖学第六版の上から微生物学第七版、カラーでわかる解剖学図鑑、寄生虫学、おなじみギャノング生理学の最新版に分厚い生化学の教科書、内分泌、病理学、診断学、お次は内科外科麻酔。趣味で買ったけど結局あまり使ってない薬の事典、資料まみれの検査学、そして分厚いファイル、ノート、ファイル、ノート、ファイル、ノート、ファイル、ノート……。にゅうにゅうは器用にジャンプし、その上を渡って行った。凸凹で不安定な本の床を、ものともせず。それは僕に、最近任天堂から出た『マリオブラザーズ』を思い出させた。マリオはどうしてあんなお姫様を助けるんだろう?た だの通りすがりの配管工じゃないか。もしかしたらマリオは、この世の大工がお姫様と結ばれる可能性を秘めた、男の夢を具現化した存在なのかもしれない。僕はしばらくマリオの存在意義について思いを馳せていたが、やっと頭が現実に戻った。現実に戻ったら、にゅうにゅうは本棚をつたって、既に床に「上陸」していた。
  にゅうにゅう、ここに上陸す。
 変な話だが、その短い手足で懸命に僕の部屋を駆けずり回る姿は、僕に何かしら奇妙な感情を湧き上がらせた。愛着。そう呼ぶのに相応しいのかはわからない。しかしそれ以外に呼びようが無い。
 僕は一度顔を洗いに行こうかと思った。疲れているのだ。これは夢かもしれない。でも僕には不思議な確信があった。これは夢じゃない。それに本当のことを言うと、今日は日曜で昨日も休みだった。客観的に考えても、僕は疲れているとは言い難いのだ。でもとりあえず顔を洗いたい。何か気分を変えたい。さっぱりと。
 僕はいまこの奇妙な生物に目を奪われている。さて。名前はつけた。「にゅうにゅう」。次は……、そうだ、こいつに性別は有るのだろうか? 無性生殖なのかもしれない。仲間は? ……まあいい。僕はとりあえず顔を洗おう。しっかりしろ、そう僕は自分に言い聞かせる。
 僕はドアに手をかけた。そこで全てが消えた。足を踏み出したら、床は無くなってしまった。


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 ずっと雲の上の存在だった白川先生と、今日飲みに行った。お互い忙しい身だし、五時になればパッとやめられる仕事でもない。だからすごく貴重な機会だ。
 僕は病理医で解剖を仕事でしている。今日も僕はこの前に解剖を二つこなしてきた。けっこう堪える仕事だ。集中力と正確性を有するので常に頭を働かせている。解剖は、ただ単純に肉を切ったり保存液に漬けるだけではない。常に持っている知識をフル回転させて行わなければならない。しかしよく考えれば、どんな仕事でも頭を働かせなければ仕事とは言えない。頭を働かせない行動なんて、ただの「労働」だ。時には夜に始めて朝に終わることもあった。そこに昼夜の別なんかない。あるのは真っ白な壁だけ。そこでは朝が夜で、夜が朝で、季節なんてものはなかった。いつだって術衣下着と白衣とサンダル。蒸し暑い夏でも、凍えるような冬でも、僕はいつでもくたっとした術衣。白いサンダルはいつの間にか黒ずんでいた。この仕事を始めた頃は、僕はよくコロンをつけて女性と会った。臭いが身体に染み付いてしまう職業なのだ。仕事が忙しくなるにつれ、次第に僕はそういう香りをつけなくなった。僕の隣にいた女性も、エネルギッシュでユーモアのある医師とか歯科医とか整骨院とか理学療法士とか放射線技師とか……、そういう男の方に行った。僕は捨てられたし、僕が女の人を捨てたし、自然消滅もあったし……。要するに疲れただけなのだ。
 何に? 仕事に? 相手の女性に? 自分自身に? 人生に?
 ……まさか。どれも正解でどれも不正解な気がした。必要条件であり、十分条件でなはない。
 僕はくだらない考えを振り払い、「仕事」を終えて、タクシーで白川先生行きつけの蟹料理店に行った。
 店では和服の女将が出迎えてくれた。笑顔も髪型も、エレベーターでの振る舞い方も、何もかも教育され、神経が研ぎ澄まされていた。ここが安くないお店であることは一目瞭然だった。
「お待ち申し上げておりました」と彼女は丁寧に言った。僕は奥の部屋に通された。高そうな掛け軸と壺が置いてあり、僕は無駄に緊張した。
 待ち合わせの十分分過ぎに白川先生は来た。相変わらず体格はがっしりしていて、背は低い。相変わらず威圧感がある。今日彼はスーツである。僕は術衣も白衣も着ていない白川先生を久しぶりに見た。いや、そもそも白川先生自体、前に会ったのは何年ぶりのことだろう。先生は遅れた旨を詫び、僕らはとりあえずビールで乾杯した。
 久しぶりのアルコール経口摂取。僕は冗談交じりに言ってみた。
「僕らの肝臓に、乾杯」と白川先生は言った。当然のことながら、話題は僕らの昔話になった。
 白川先生は僕が学生の時、まだ大学の特別講師だったが(先生は当時ある病院の院長だった)、実習が恐ろしく怖いことで有名だった。 彼の実習では、半分くらいの生徒が落第したものだ。僕はいつもビクビクして実習に望んでいた。いくら前日に教科書を読み直しても、不安というものは拭えない。あの頃はもう、必死に勉強に明け暮れていた。
 白川先生は変わらない。この前、と言っても半年以上前だが、とあるスポーツ選手を手術した、と先生は言った。僕もそれについては一応知っていた。この業界は意外と狭いから、すぐ噂が入ってくる。特に誰かの業績は妬みとともに、失敗は喜びとともに流れてくる。ああ、莫大な知識と研ぎ澄まされた思考力を持つ人間が、人間的にはまるで人間的にはほんとうにまるで空っぽだと知ったら、世間の人はどう思うだろうか? くだらないことに、病院にはライバルの恋愛さえ妨害しようとする奴もいるのだ。
 しかし、白川先生は違った。
 相手が有名なスポーツ選手だろうが大物政治家だろうがとびきりの美人だろうが、彼にはそういうことは通用しない。通用しないというか、興味が無い。ある有名な、昭和を代表するスターを前にした時も、顔色ひとつ変えなかったどころか面会の後で「あの人誰? そんなに人気なの?」と言ったそうだ。この人は次元が違う。
 あのころ。テスト一つごときにヒイヒイ言いながら毎日必死に教科書を眺めていたあの頃。実際、テストもレポートも多かった。何度も心が折れそうになった。今考えたらなんと幼稚なことだろう。
「お前は実習で縫合が苦手だったな」と先生は言った。
そうだっただろうか。それは先生が得意なだけです、と言いかけて、やめた。この人はおそらくそれをわかっている。自分自身を冷静に分析できる人だ。そのうえで僕に外科の適性が無いことを見抜いていたのだ。
 僕らはひとしきりお互いの近況を話し、軽い愚痴を言った。
「仕事は疲れるかい?」と彼は面白そうな顔で僕に尋ねた。
「そりゃあまあ」と僕は言って、初めて気づいた。この人が「疲れる」と言ったところを、僕は聞いたことが無い。それどころか、そのようなネガティブな発言を、彼の口からほとんど聞いたことが無い。僕はしばらく呆然としていた。僕の心の機微の一つ一つが、手に取るように分かったのだろう、突然先生は笑い出して、ビールを注文した。
「まあ飲みなよ。阿部君は梅酒好きだったっけね? 君も大人になった。雑誌に文章を書くようにもなったし」褒められていたのかもしれないが、僕はこの時、自分自身の程度の低さに失望していた。彼の方がよっぽどプレッシャーを背負った中で生きているはずなのに、弱音を吐いたことはほとんど無い。
 僕は自分を恥じた。先生がいなかったら、僕はほんとうに石に頭を殴りつけ、三日三晩机にかじりついて居ただろう。幸い、この時は白川先生が僕の目の前にいた。目の前で笑っていた。酒なんか飲んでる場合じゃない、と思ったが、目の前で顔を赤くしている白川先生を見ると、少し落ち着いた。この人も酒を飲んでいる。そう思うと、途端に僕は安心した。
 突然、彼は声を落とした。「阿部君は酔っているかい? 」
「それなりに」
そうか、と言って彼は僕のコップに瓶ビールを継いだ。先生も少し酔っているみたいだった。顔が赤く、表情は柔らかかった。
「この職業にはね、才能がいるんだ」先生は唐突に言った。
その通りです、と僕は言った。ほんとうにその通りです。誰も彼もあなたになれるわけではありません。寂しくなるような結果を辿った人間もいます。それも大勢。何人もの人が、先生のような人物になることを目指し、挫折し、あるいは身体を壊し、あるいは重大なミスをしていくのを間近で見ていた。残ったのはほんのわずかだ。大抵は道の途中で、さよならも言わずに消えて行った。残ったのは……
 そう言えば途中で自ら死を選んだ人間も居たな、と思った。彼の顔を最後に見たのは何かのアルバムだった。まだ医学部の一年生の時の写真だ。どうしてだろう。他の人は、彼の才能を羨んで居たのに……。
「僕はね、強運なんだ」と彼は言った。その通りだと思った。
「そして、お前も強運だ」僕らは見つめあった。沈黙が訪れた。緊張と静寂。
「確かにそうかもしれませんね」沈黙を破ったのは僕の方だった。
「かろうじて綱渡りして来ましたから」僕は力なく笑った。
「言い得て妙だな」と先生は唸った。先生を感心させられるのは、ほんとうに滅多に無いことだったから内心少し嬉しかった。
「綱渡りしてるとな、周りの奴らを助けられないんだよ」先生は幾分酔っていた。僕も酔っていたので、先生の言葉にいまいちピンとこなかった。
「つまりな、自分自身で精一杯になるんだよ。本当だよ。誰かを助けたいとか言いながら、そう思いながら、実際に助けられるのは二、三人もいない。それどころか自分自身を助けるので精一杯なんだよ。本気で生きているやつは特にな。これはな、俺の人生の誤算だ。大誤算だ。俺はもっとたくさんの人を助けたいと思っていた。純粋なガキだったんだよ。それが理想論でしか無いと気づいた時には歳を取りすぎていた」
先生は一気に喋った。喋り終えたら少し落ち着いたのか満足したのか、
「今日は酔っているな」と言って笑った。僕は首を振った。
「先生はいろんな人を助けています。現にそれで治った人、社会復帰したひと、復帰の早まった人、たくさんいるじゃ無いですか」
先生も首を振った。
「ただの機械作業なんだ。事務作業と同じ。雪かきと同じだよ。積もったから、どかさなくてはならない。どかさないと大変なことになる。例えば、ドアが塞がるとか。でも雪はひっきりなしに降ってくる。止まるところを知らない。だからちまちまスコップで毎日雪をどかすんだ。悪いことに、雪は年々多くなってるんだ。ほんとうのところ」
僕はもう一度首を振った。
「ほんとうですか?」愚問だった。
「ほんとうだよ」と彼は言った。口元だけが笑っていた。目元は泣きそうだった。たしかに酔っているのかもしれない。ああ、僕は、すごいところに足を突っ込んでしまったんだなあ……。
「雪をどかせない奴がね、大勢いるんですよ」僕は試しに言ってみた。
「才能と、努力する才能」と僕はつぶやいた。
「その二つが必要なんです」僕は彼の目をしっかり見て言った。
「そうだな」と先生は笑った。
 僕は帰ったら、1人歯を磨いて寝るだろう。明日は休みだが、もし出来たら勉強しようと思った。同時に、ずっとこの夜が続けばいいと思った。梅酒が、ものすごくうまかった。
 僕はビールをお代わりした。先生がコップに瓶ビールをついでくれようとしたが、僕はそれを制したが聞かなかった。先生は
「まあまあ、阿部君がこんなに大きくなるとは思わなかったからね。楽しいんだよ。だから気にせず呑んで」と言い、僕はそれに従った。僕は呑んだ。顔が熱くなるのを感じたが、冷えたビールは僕を気分良くさせた。うまい。
 先生はもう一度聞いた。
「酔っているか?」
「酔ってます」と言った。正直、僕は今すぐにでも横になりたかった。眠たかった。ああ、先生が大きく見える……大きく見える……大きく見える……。
そうか、と彼は言った。そして姿勢を変えた。前のめりになり、僕に顔を近づけた。僕はまだ先生が大きく見えていた。
 「俺はな、ほんとうに強運なんだ」声のトーンは落とされ、小さかった。
「これから話すことは話半分に聞いて欲しい。いや、聞かなくったっていい。忘れても良い。それでも紛れもない事実なんだ。
 俺は三十年以上前の四月、小さな生物を見つけた。ちょうどな、これくらいで(と、ここで彼は爪楊枝入れを僕の前に置いた)、外見は……こんな感じだ」
彼はペンを取り出し、テーブルの紙ナプキンにさらさらと絵を書き出した。書くのには十秒もかからなかったと思う。簡単な絵だった。頭はでかく、二頭身。二足歩行。顔には簡単な目と口しかない。はあ、と僕は間抜けな声を出した。何を言っているのか理解にするのに時間がかかった。
「俺はな、この生物が見えるようになったんだよ。見えるようになったというより、見つけた、って感じだな。うん。それからな、俺は唐突に才能を開花させた。あとは知っての通りだ。国試満点、院に1年、病院の院長、大学教授。まさに他人が羨むエリートコースだよ。でもな、俺は気づいたんだ。俺は誰も救えなかったっていうことにな。自分自身でさえも、だ。多分、自分は半分だけ救えたし、あと半分は救えなかった。でもそんなことすらな、まだわからないんだ。走り続けるしか無いし、走り続けている間はそんなこと考えていられない。過去を振り返ったら、事故になるんだよ。後ろ見ながら車運転するやつなんかいないだろ? そういうのってわかるか? わかんないだろうな。いや、お前ならいつかわかるかもしれない。
 俺は妻と娘に金をに与える機械なんだ。ただの機械。もちろん俺は娘たちのことが好きだし、彼女らも俺に歩み寄ろうとしている。少なくとも努力はしている。でもね、全くダメなんだよ。本質的な問題だよ。空気っていうのかね。わかんないけどさ、俺は良くも悪くもぶっとんでるんだ。でもね、妻は違う。娘も違う。いや、娘は才能あるかもしれないな。でもな、やっぱり俺は異端なんだ。俺はね、仕事を取ったらほ、ん、と、う、に、なんにもできない。白衣を取ったら、俺の価値は…… ゼロだ。全くのゼロ。俺はね、車の運転も確定申告も水道の水抜きさえも何もわからない。山手線だって乗れないかもしれない。料理なんか一切できない。でもな、俺はたまたま人を切れる。手術できる。そしてたまたま、手術ってのは、他人が容易にできるもんじゃあなかったのよ。他の人が普通にできることができなくて、他の人ができないことはできる。そういうやつなんだ、俺は。
 この生物、俺は「にゅうにゅう」って勝手に呼んでいるんだけど、この「にゅうにゅう」に出会ってから特にその傾向は強くなった。俺はね、才能があったんだ。もとからね。でも微々たるもんだった。にゅうにゅうがそれを開花させたんだ。こじ開けた、みたいなもんさ。パンドラの箱みたいにさ。その代わり、俺は何かを失った。元から何もかも失っていたのかもしれない。でもとにかくね、僕の才能に関係のないことは【いっさい】何も得られない身体になった。あいつに出会ってからね(と先生は自分の書いた絵を指差した)。
 でも、それはそれでいい。そういう人生もある。受け入れるしかないんだ。正直言ってね、こんな悩みをわかってくれる奴なんてそうそういないし、言ってもエリートの贅沢な悩みだって言われるのがオチだ。まあ実際そうなのかもしれないな。にゅうにゅうに会ってから、だいぶ変わったよ。この世の天国と地獄を一気に味わった。苦しかったよ。それでも、おれは幸せなんだよな、なんだかんだ。なんだかんだ、家族は俺を放そうとしない。全く、構ってやれないのにな……。いい奴らだよ。ほんと。おれには勿体無い……」
 先生は下を向いたままだった。僕は何か言葉をかけるべきだった。そうしたかった。もう十分だ、と言ってやりたかった。先生は金を必死に稼いでいるんだ。それも莫大なお金を。奥さんにとって先生は自慢の夫に決まっている。僕は何か言わなくては。でも僕はそこで一気に眠くなった。
 次第に先生が小さくなる。先生の赤い顔が、僕の視界から消える。暗闇が待っていた。


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 僕は気づいたら自分のベッドの上にいた。いつの間に帰ってきたのだろう。頭が痛い。昨日は飲み過ぎた。白川先生と会って興奮してしまったからか。先生の話は覚えているが、結局どういう話だったのかよくわからない。酔っぱらっていたから冗談だったかもしれないし、何かの比喩だったのかもしれない。何か変な鳴き声の動物がどうのこうのって……。
 まあ、あれは何かの比喩だろう。
 僕は頭を冷やすために顔を洗った。何かかさかさと音がする。ネズミだろうか? 振り返ると排水溝の脇に小さな生物の姿があった。二頭身で二足歩行。こぶし大くらいの大きさで、ちょこまかと歩いている。顔のつくりは簡単で、小さな目と鼻と大きな口。彼は歩きながら言った。
「にゅう」

(了)


サムネイル画像提供:あさぎ かな 様
下記イメージイラスト提供:史あん 様

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