仏教余話

その199
ところで、仏教は、紛れもなくブッダによって、開かれたのではあるが、ブッダが教えを広めた背景には、有力な弟子の存在があった。極めて、刺激的な考察でもあり、仏教のオリジナリティーを考える上でも、役に立つと思われるので、以下に、適宜、紹介しておきたい。高木訷元博士は、このように、考察を始める。
 舎利弗は目連とともに、当初は〔ブッダの同時代人〕遍歴行者サンジャヤ(Sanjaya)の弟子であった。帰仏後の舎利弗が智慧第一と呼ばれ、主だった諸弟子の中にあっては、ゴータマ仏陀にかわって最も多く法を説き、しかも仏陀の後継者戸目されていた事実からすれば、初期仏教の思想と実践のいくつかは、舎利弗を媒介として、その先師サンジャヤの思想ともかなり密接なかかわりを有していた筈である。(高木訷元「舎利弗の帰仏」『初期仏教の研究 高木訷元著作集3』平成3年所収、pp.90-91、〔 〕内私の補足)
サンジャヤとは、ブッダ当時、活躍していた6人の修行者、一般的に、六師外道といわれる者の1人である。懐疑論者で不可知論を説いたとされ、彼の議論は「鰻のごとき、とらまえどころのないすりぬけ論」(amara-dvikkhepa)と揶揄された。


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