句集

冬の蜘蛛虫亡き庭に無心かな
傍目には生死も知れぬ日向ぼこ
木洩れ日や定から滅へ白障子
湯豆腐や眼鏡曇れる我が家かな
庭の池雲は流れて月の冴ゆ
空と海合わせ鏡に月の冴ゆ
星の空頭蓋の内に冴え渡る
浜風に風葬髑髏も歯を鳴らす
夏至の暮踵を返す恋の道
冬木立花咲くように星の咲く
珈琲の銀河の渦を掻き廻す
春疾風(はるはやて)雲の月蝕面白き
春疾風夢も不安も吹き飛んで
閑かさや念仏さへも消え果てて
鞦韆の勢い余り鳥になる
春夜(参考)
春 宵 一 刻 値 千 金
花 有 清 香 月 有 陰
歌 管 楼 台 声 細 細 
鞦 韆 院 落 夜 沈 沈
鞦韆にチラリと甘い腿の色
青空も雲も木立も蝉時雨
肋骨の痛いがすべての無境界

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