野垂れ死に 腸を破りて 蝿生まる 水死体 遊女の頬に 蠅生まる
冬の蝶廻りて消えし墓の裏
国廃れ 赤児微笑み 桜咲く ひかる
幽世のこぼれて香る金木犀
幽世(かくりよ)の香のこぼれてや金木犀
ひょいと逝く 光の世界と聞きしかど 明暗不二の とわの閑けさ
雨上がり脳に染み入る蝉の声
死んでいく細胞の夢放たれて
今ここで光は時を知らぬまま
墓洗う首を上げれば夏日かな