倉庫・運送業の財務状態を詳しく見てみた2

割引あり

この記事の内容は金融商品取引法に基づく開示資料や投資勧誘を推奨するものではありません。この記事から得た情報を利用したことにより発生するいかなる費用または損害等の一切について責任を負いません。投資は自己判断、自己責任で行ってください。

 前回はROICとWACCについて要因分解してみていきました。
稼ぐ力の評価はできましたが、実際に稼いでいる金額はいくらになるのでしょうか?

その指標はよくフリーキャッシュフロー(FCF)といわれています。キャッシュフローと名がついている通りキャッシュフロー計算書から求められます。よくネットで検索すると簡易的な計算方法が出てきます。

FCF = 営業キャッシュフロー + 投資キャッシュフロー

が高い頻度で出てきます。

実際にこの方法でFCFを見ていきましょう。

表1,FCF簡易的方法にて算出

では次に気になるのは、これは株価と相関があるのかどうかですね。
先に内容確認を行ったROICでは、米国株などで正の相関関係があることは研究で実証されているそうです。つまり仮説としてはROICは稼ぐ力でFCFは稼いだ結果だから正の相関関係があると考えられます。サンプル数は少ないですが、まずは簡易版FCFで株価との相関関係を確認してみましょう。
念のためスクリーニングとして相関関係も見ておきましょう。年次株価と簡易版FCFとの相関係数は0.47883315と中等度の相関関係が見られました。株価とROICとの相関関係は0.5687と中等度の相関関係となっていますが、FCFより若干強い相関関係があります。

次に株価に対して各変数はどのような因果関係となっているのか確認しましょう。サンプル数は少ないですが因果関係をみるため重回帰分析を行います。重回帰分析では、ROICと簡易版FCFの2つを独立変数として株価をモデリングしてみます。多重共線性の問題もありますが、ここでは分かったうえで確認してみましょう。

簡易版FCFとROICの関係性の検証

 簡易版FCFとROICの関係性についての分析では、相互作用項を含めたモデルの決定係数が0.482であり、調整済み決定係数は0.260でした。つまり決定係数だけみれば、株価の変動の48%程度を簡易版FCFとROICを使うことにより説明することができるといえますが、問題はこの分析では両指標ともに統計的に有意な関係性は確認されていませんでした。これは、簡易版FCFとROICの間には、株価に対する直接的な影響はない可能性があります。

あれ!?思ってた結果と違う!
簡易版FCFとROICを含めた今回の分析では株価とはあまり関係なさそうですね。

ここまでは、簡易版CFでの計算でした。それでは、本題に行きましょう。
詳細版FCF算出です。細かい数値が続きますが頑張っていきましょう。

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