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「聖者の怒り」

音楽を聴いていると、やたらと耳に残る作品に巡り会う事がある。

凄く耳に残るんですよね~。

多分ではあるが、音楽を聴いている方なら何かしらのそのような経験があるのではなかろうか。

その音に触れると四六時中聴いている訳ではないけど、たまに強烈に聴きたくなる時がある。

……

………

2013年のサマソニでメタリカを見て以来、よく聴く好きなバンドになった。


メタリカ 右からG、Voジェームズ・へットフィールド Drラーズ・ウルリッヒ
Gカーク・ハメット Bロバート・トゥルージロ
画像引用元:Wikipediaより

メタルの雄でありながら、音楽性を拡張させたりして、独自の「メタリカ」サウンドを構築していくその姿勢は、多くのファンを生みだし魅了する。

ちなみに2013年のサマソニではメタリカが大トリで、その前がリンキン・パークだったのでその勢いの凄まじさたるや!!って感じな事だった。

取り分け自分はバンドの中期から後期にあたる作品を好んで聴く。

そしてメタリカの作品で、個人的に思い返したように聴きたくなるアルバムがある。

2003年発表のアルバム「セイント・アンガ―」だ。


セイント・アンガ― 表ジャケット
拳!!

このジャケットのインパクトたるや!!

一回見たら忘れないですよね~。

そして収録曲…。

①.Frantic
②.St.Anger
③.Some Kind Of Monster
④.Dirty
⑤.Invisible Kid
⑥.My World
⑦.Shoot Me Agein
⑧.Sweet Amber
⑨.The Unnamed Feering
⑩.Purify
⑪.All Within My Hands

全部で11曲収録の75分6秒のボリューミーな収録内容だ。

1996年「ロード」、1997年「リロード」のそれまでのメタルの範疇を越えての実験的なサウンドに取り組んだアルバムを経て、98年のメタリカ印に仕上がったカバー・アルバム「ガレージ・インク」、99年オーケストラとの競演アルバム「S&M」を経てのオリジナルアルバムとしては6年ぶりに発表した「セイント・アンガ―」。

作品のライナーノーツを読んでいるとよく分かるのだが、作品が発表されるまでの間に二代目ベーシスト、ジェイソン・ニューステッドの脱退、そしてフロントマン、ジェームズ・ヘットフィールドのアルコール依存からの施設入所、そして退院、その後メンバー間で何度も腹を割って話し合いをしていたそうだ。

お互いに色々と思う事があったのだろう。

なのでこのセイント・アンガ―発表前の2001~2002年の頃は、メタリカにとって危機的な状況であった事が伺える。

セイント・アンガ―のプロデューサーはボブ・ロック。

メタリカの1991年発表の傑作アルバム「メタリカ」(通称ブラック・アルバム)のプロデューサーでもある。

ニューステッドの脱退によってベーシスト不在であったため、ボブがベースを兼任する事になった。

ちなみにメンバー間の腹を割っての話し合いの際に、ボブも同席していたそう。

それだけ信頼が厚いという裏返しにもなるのかもしれない。

最終的にアルバム制作最終の段階で、ベーシストのロバート・トゥルージロが正式メンバーになり現在までこの四人のラインナップでメタリカは活動を続けている。

なのでボブ・ロックがベースを弾いての録音となる。

さて作品の「セイント・アンガ―」。

よく賛否両論を呼んだ作品と耳に入るが、自分はとても好きな作品だ。

荒々しい音圧の効いたギター音や、うねりを生んでいるベースなどヘビーなサウンドに仕上がっているが、乾いた感じの響きがする事もあり、それが凄く耳に残る。

そして極めて特徴的なのがギター・ソロが無いという事。

メタリカの作品の特徴としてリード・ギター担当のカークが大抵ギター・ソロを弾くのだが、この作品はひたすらリズムとリフの繰り返しだ。

これが最大の特徴の一つである。

なのでひたすら分厚いリフが刻まれたり、途中で曲の展開が変わったりと、まあラウドな音に対してクセになるリズムが刻まれるので、聴けば聴くほど好きな作品になってくるわけなんですよ。

もう一つ重要な特徴といえば、ラーズの叩くドラムの音。

スネアの音が他では中々聴けない音を出している事があげられる。

調べてみるとスネアドラムの「スナッピー(響き線)」のスイッチを入れずに叩いているらしく、それが調子の変わった音を響かせている。

「スコン!スコン!」って音が妙に耳に残るわけなんですよね。

その音がバンド・サウンドに「渇き」のニュアンスを加味しているような気もする。

アルバムが発売された当時は2003年。

R&Bやヒップホップがチャートを賑わせ、ミクスチャー・ロックやラウドでヘヴィーなサウンド、ポップ・パンクなどが隆盛を誇っていた頃か。

時代性も作品に影響したのだろうか。

ガレージ・ロックの荒々しさや、ヘヴィ・ロックなどの影響も伺える気がする。

だけど、繰り返されるリフに重圧なサウンドの塊とリズムのうねりが、自分には凄く耳に残る好きな作品だ。

そして野太いジェームズのヴォーカル。

クセになる歌い方だ。

そして少しアルバムのトラックを…

①のオープニング・ナンバー。

歯切れの良いジェームズの弾くギター・リフとけたたましいラーズのドラムの絡まりから始まる、ド派手なナンバー。

力の入ったジェームズのヴォーカルもクセになる。

ひたすら同じリズムと同じ曲調で攻め立てて、サビの部分の「フラン、チック、チック、チック、チック、チック、タック」って部分が個人的に凄く耳に残る。

仕事前に聴くと、テンション上がって「チック…」の部分で適度に力が抜けるんですよ(笑)

このオープニング・トラックが異色の作品だという事を物語っているのかもしれない。

②のタイトルにもタイトルにもなっているナンバー。

「怒りの聖人」

その怒りがラーズの激しいドラミングにも表れていのかな。

序盤のスネアの「スコン、スコン!」と同時に2バスの迫力あるサウンドたるや。

ちなみにPVは本物の刑務所で撮影したらしく、ベースのロバートはこれがメタリカに加入してから初めての撮影だったとか。

⑩の「Purify」。

個人的に⑩~⑪の流れが好きで取り上げてみました。

ラス前の一曲。

ジェームズとカークの刻むリフが重低音を響き渡せる。

そこに絡むラーズの「スコン!」ってスネアの音。

ひたすらヘヴィーなトラックの中にやはりアクセントになってる気がする。

ラストの「All Within My Hands」。

近年はアコースティック・セットでユッタリめな感じで披露したりしている曲だ。

そのバージョンも好きだが、やはり「セイント・アンガ―」のラストを飾るバージョンの方が好きかも。

徐々にかき乱すギターのノイズから、ラーズのハイハットとスネアの音を合図に重低音にリズムとリフを繰り返し、ストップ&ゴーを交えながら進んでいくアルバムバージョンの方が好きかも。

時にメロディアスな部分もあり、曲の展開を聴いていると多様な表情を見せてくれる気もする。

歌の迫力やメロディアスな部分も含めてまさしくらすとナンバーといえよう。

ってな感じで耳に残る作品としてメタリカの「セイント・アンガ―」を取り上げてみました。

ひたすらにリフとリズムを追求し、ドラムにも工夫などをして新たなバンド像を築き上げようとした意欲作。

ヘヴィでありながらも、どこかクセになるような部分を追求したのかもしれない。

バンドは次作となる2008年に発表した「デス・マグネティック」で原点ともいえるメタルな音作りをしている。

まあ、中々激しめなんであれだが、たまに独特なサウンドを構築した「セイント・アンガ―」を聴きたくなる時がある。

記事を最後まで読んで頂き誠にありがとうございます!


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