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「一瞬で酔いが覚めた話」

私がまだお酒を飲めていた頃の話である。

その日は私を含む社内の数人が転勤になるため、直前に送別会が行われた。この土地で飲むのも最後だ!という高揚感もあって、私は頭からかぶるくらいの勢いで酒を飲んでいた。私の場合酔っぱらうと頭はまずまずしっかりしているが、体はヘベレケというパターンが多かった。この日はとくにひどい酔い方だった。もう完全に左右に大きく振りながらしか歩けない。みごとな野蛮蟹である。

それでもなんとか家に帰った。そんな私の変わり果てた姿に、妻は当然不快な反応だ。しかし私にもプライドがある。なんせ頭はしっかりしているのだから。自分のことは自分でするぞ!私は意地を張って寝る準備を始めた。

しかしこのまま寝るのはルール違反。せめて顔を洗ってからベットに入るという規則がうちにはある。なので私は洗面台に立ち、洗顔料を手にとり泡だてて顔を洗った。

「いくら酔っていたって、こんなことくらいは訳ない!簡単だ!」

私は左右にフラフラ揺れながらも、背中から「すごいだろアピール」を妻に発信していた。

ん?何?、、、

「うおぉぉぉぉぉぉーーーーーー!!!寒いーー!!!!」

急激なミント感で顔が凍りついた。
あぁぁっ、やっちまったーーー!!なんとーっ洗顔料と歯磨き粉を間違ったのだ。私は歯磨き粉を丁寧に泡だてて、顔に塗りたくっていたのだ。最高にスースーするーっ!

「我ながら笑っちまったーっ!ははははーっ!」


妻の顔をチラッと見たら、真顔だった。
一切笑っていない。
私はそこで完全に酔いが覚めた。

もうすぐ嵐が来そうだ。

ではまた。

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殺し屋?

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