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シンガポールの無人コンビニ

シンガポールに無人コンビニができたというニュースを見たので現地を見てきた。

無人コンビニというとAmazon Goのようにドアを開ける時に本人確認をし、カメラで商品を特定して、レジなどなくてもそのまま課金されるシステムを想像するかもしれない。しかし深圳にある無人コンビニである百鮮Goでは必ずしもカメラで商品を特定しているわけではなく、客が店内の冷蔵庫の扉を開けるためにQRコードをスキャンして購入する。

しかし、このCheersの無人コンビニはどちらとも違っていた。無人なのだがレジが必要なタイプのコンビニだった。場所はNanyang Polytechnicという日本で言う高専のキャンパス内にある。平日8時から17時半まではドアの鍵が開いていて誰でも入れるのだが、17時半以降や週末は専用アプリをインストールしてQRコードをスキャンさせることで入ることができる。ちなみに店内はわりと広い。

無人レジが3台並んでいて、いまや無人レジは珍しいものではなく商品点数もそれほど多くないので待ち時間はあまり気にならない。

支払いはキャッシュレスであればカードでもQRコードでも問題ない。ちなみにこの種のタッチスクリーンと決済端末の組み合わせを非常によく見かけるようになった。

普通に出られるので閉じ込められることもない。万引きしたところで監視カメラがたくさんあるからどうにでもなるということなのだろう。

ここで言えるのは、無人コンビニにもいろいろと種類があり、常駐の人の人件費を削減するために必ずしもレジを削る必要はなくて、画像解析により商品を特定することも必ずしもやらなくてよいということである。
テックな人たちは何か新しい技術にわくわくしがち(自分もそちら側)であるが、社会実装という観点ではそのこだわりは百害あって一利なしと言ってもいいだろう。枯れた技術の水平展開という言葉の通り、既に動いている技術を持ってくるのが確実である。
この無人コンビニは、アプリでドアの開ける仕組みがあることと、いくつか無人レジを置いているだけであとは何の変哲もない店である。数多くの監視カメラとシンガポールの法律という抑止力を最大限に活用し、客に自分で商品をスキャンさせるだけで特別な技術が何もなくても無人レジができるのである。最初から志高く全然リリースしないとか失敗ばかりになってしまうケースと比べたら、社会実装という点でこのような最低限の変更からスタートする方がよほど確実だろう。

ちなみにシンガポールにはもう一軒無人コンビニがあると言われている。

しかし訪問してみたところ、店員が一人いて、現金しか受け付けていない普通の店だった。準備中なのかはよくわからない。シンガポールでは特に珍しいことではないので、また頃合いを見て再訪したい。


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