見出し画像

一つのことにこだわること。

昨晩、後輩の高瀬慧のSNSの投稿によって少し界隈賑わいを見せている。これまでアイデアベースで話していたことがこうやってリリースされる本当になったんだなと他人事のようにも思う。
役不足ではあることは百も承知の上で、ここまでのストーリーと心境を書き残しておこうと思う。

高瀬慧との出会い。

 高瀬(敬称略)との出会いは2007年の春である。僕が彼の一つ上の大学の先輩にあたり、新入生であった彼の世話をするところから始まる。当時はダルダルのTシャツに、スリッパと揶揄されていたスパイクを履いており、当時を知る僕にとっては今の彼は同一人物には見えない。
 グラウンドだけでなく、寮でも一緒に過ごすことが多くなり仲の良い後輩であった。仲が良すぎて僕が履修をしていない授業や実習のレポートを書いたことも幾度とあった。(もう時効だから良いでしょう笑)
 そんな彼だったがうだつの上がらない先輩をよそに、一気に大学のエースとして対抗戦では大車輪の活躍を見せ、名門の富士通に入社する。紆余曲折ありながら一年目から日の丸を背負い、2年目にはロンドン五輪の代表に。スプリンターが世界レベルに駆け上がっていく姿を間近で見させてもらい、非常に勉強になった。競技についてはそんなことまでやるのか?そんな感覚なのか?トレーニングもそこまでやるのか?と想像を超えるものばかりであった。(競技については…)
 社会人になったの月に週1回くらいのペースで会っており、彼のハイシーズンを迎える前年の2014年のアジア大会を見に行った。後にも先にも一度しか見れなかった高平さんから高瀬に繋ぐパス。あの場であのパスを見てたのは選手団以外では僕だけだったのではないだろうか。これをきっかけに、高瀬が代表になった15年の北京、16年のリオと応援行った。僕の陸上の世界観を広げてくれた1人である。
 引退後も車で10分くらいのところに住んでいるので、食事やスーパー銭湯で顔を合わせる機会はあり15年以上の付き合いになる。

14年アジア大会での高平→高瀬へのパス  15年北京世界陸上に子供たちが作った横断幕と共に応援に

静岡を盛り上げたい。

 何かの縁か、静岡県出身者と一緒になることが多い。現在、コーチを務めている佐藤圭太選手(トヨタ自動車)も焼津の出身であるし、義足のエンジニアの遠藤さん(Xiborg)も沼津である。年明けにイベントで一緒になった山本篤さん、春田純さんも静岡出身である。一様に、静岡愛がとても強く、静岡に育ててもらったという意識が強くある。飯塚翔太選手なども積極的に国体でリレーを走っている印象が強く、恩返しをしたいという声を良く聞く。
 そんな高瀬も静岡に恩返しをしたい1人である。

彼のnoteにもあるように”年齢に関係なく走ることの楽しさを伝えたい”とのこと。
静岡国際では小中学生のリレーがAMのセッションであり、サブトラックで出待ちをして選手のサインをたくさん集めている子供たちがいる。こんなにもサインを求めてくるGPは静岡ならではかなと思う。そんな静岡国際であってもメインレース終盤までスタンドが目一杯埋まることはない。ここには書かれていなかったけど、静岡国際の観客席を埋めたいという想いも話していた。なぜ埋めたいのか?そのスーリーを彼から聞いてとても共感できた。その時が来たら高瀬の言葉で表現してくれると思うので、それを楽しみに待ちたい。

雲の上のメンバーとの共演。

 前述の高瀬の記事にもあるが、”年齢に関係なく走ることの楽しさを伝えたい"このことを体現している人たちに静岡で走ってほしいとオファーをもらった。初めは何を言っているのか理解できなかった。 
 
 僕は1987年生まれである。2005年に高校3年生で地元の千葉IHを迎えた世代である。中学3年生の時に自分が高3の時に地元IHがあることを知り、是が非でもその舞台に立ちたいと思った。だが、3年足らずの時間では到底及ばず、スタンドから同級生達の活躍を眺めていた。
 前年に為末大さんが記録した不滅の400mの航行記録45秒95を高校2年ながら更新し、その後400mの第一人者として君臨し続けた金丸祐三。800mを主戦場としながら400mやマイルにも参戦しフロントランで逃げ切りIHを制した横田真人。後に、44年ぶりの800m五輪出場を果たし日本記録を更新した。島根IHで2年生ながら3位入賞を果たすが怪我に泣き続け、順大4年時にベルリンの代表に滑り込み予選で自己ベスト更新した同窓生の吉田和晃。 
 さらっとキャリアを振り返るにはあまりあるメンバーである。同期というのも憚るくらいに。当然忙しいメンバーであるし、まあ高瀬が言い始めても乗るのは吉田くらいだろうと思っていたが、予想に反して乗り気であった。悪い夢でも見ているかのような豪華なメンバーに、舞台が用意された。
 (何もこんなメンバーに入れなくても…この舞台じゃなくても…マイルじゃなくても…とツッコミどころは満載なのだけど。)

一つのことにこだわること。

 小学校4年生から関わっていた教え子が今年高校3年生になった。強豪校に進学した彼女は怪我によって校内選考のスタートラインに立つこともできず、高校最後のIH路線の挑戦はあえなく終わった。昨日、今後について相談したいということで色々話した。「陸上から何を学んだか?」「選択肢は一つではない。陸上にこだわる必要はない。」「興味関心があることを書き出して。」偉そうにこんなアドバイスをした。誰かの評価を気にしているような、常に模範解答を求めているような、そんな様子だった。だから、少し視野を広げて俯瞰して見たときに、自分自身を構成しているものは何かを見つめ直してほしいと思った。
 他人に俯瞰しろなんて言っておきながら、自分自身はどうであろうか?と今日一日考えていた。僕は「こうあるべき」「この選択が正しい」という自身の固定概念に縛られている。しかし、その固定概念すら自分が選択しているという自覚がある。僕自身の日常は僕自身が選択した結果である。
 なんだか哲学っぽく小難しくなったけど、要は”一つのことにこだわること”を選択している自覚があるということ。そして、このちっぽけな決断を続けることによって見えた風景や世界があると思う。
 高瀬が提案や今回のメンバーもこのちっぽけな決断を続けることによって得られた繋がりと機会であると思う。

 ”年齢に関係なく走ることの楽しさを伝えたい"

これを体現している1人ではあると思う。そして、こんな僕にもチャンスが巡ってくるのであれば何かにこだわる選択肢も悪くないのではないかなと思った。
 色んな声があるとは思うけど、それを感じているのは言うまでもなく僕自身である。とはいえ、陸上の神様がなかなかうだつの上がらなかった大西にくれたギフトだと思うので、堪能できればなと思う。

35歳にもなって挑戦できること。ワクワクできることがあることは本当に幸せなんだなと思う。

お時間のある方、お近くの方、静岡まで足を運んでくださると嬉しいです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?