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「本気の遊びが本気の子供を育てる」〜Accel Kidsの歩み〜


クラブの活動紹介

 2012年、社会人の陸上競技クラブ「Team Accel(現:Accel Track Club)」を創部しました。様々なライフスタイルであっても陸上競技に関われるような場所を作りたいという思いが創部のきっかけです。翌年の2013年には、ご紹介させて頂く「Accel Kids」という地域(千葉県習志野市)の小学生を対象にしたクラブを立ち上げました。キッズチームもこの秋で10年目を迎え、発足時にいた子が指導スタッフとして帰ってきてくれ時の早さを感じています。
 社会人チームの方はかなり競技性を求めるクラブになっていますが、キッズチームでは全く求めていません。私たちのことをご存知頂いている方からは、社会人チームのイメージもあってかキッズチームでも専門的な練習に取り組んでいる印象を持たれることが多いですが、全くそんなことはありません。

「本気の遊びが本気の子供を育てる。」

表題にもあるとおり、活動時間の陸上競技らしい活動は1/3程度で、あとは体を使った運動“遊び”がメインです。概ね練習はドッジボールに始まり、手押し車や逆立ちなどの体を操ること、リズムとジャンプを取り入れ、簡単なスプリントドリルを行い、リレーで終わる流れになります。陸上クラブというにはおこがましいくらいの内容ですが、子供たちに養ってほしい能力、運動量を確保し、前のめりになって参加できるような取り組みを心がけています。このような活動に至った背景には、3つの理由があります。 
 
 1つ目は、「サッカーは上手なのに馬跳びができない5年生」に出会ったことがきっかけでした。リフティングは軽々100回以上でき、サッカーチームでもレギュラーを取るようないわゆるスポーツ万能少年でしたが、馬跳びができませんでした。彼が持つサッカーのスキルよりも遥かに簡単で、基礎的な身体の扱いができないことに驚きました。各スポーツで体系だった指導が各地行われるようになってきたからこそ起きえた新たな問題かなと思い、Accelでは何かの専門性を高めることよりも、専門的に行うことで漏れてしまった運動能力にフォーカスするようになりました。過度に行きすぎてしまわないようにする自分達への戒めの意味、子供が誰かに強制されることなく自発的に参加できるようにという思いで「遊び」という言葉をチームスローガンとしています。
 
  2つ目は、活動当初参加してくれた子は決して運動能力が高い子ばかりではなく、クラスでは埋もれてしまうような子供が多く在籍していました。自己記録を目指して!運動会で1等賞を目指してといってもなかなかピンとこない子達です。そのような状態の時に、こちらからあれこれ技術的な言葉がけをしても中々響きませんでした。そもそも自分の身体に対する体性感覚が十分に発達しておらず、うまく身体を操作することができません。本協会で言うところのフィジカルリテラシーが十分に養えていません。加えて、運動が苦手という意識もあり、体を動かすことに億劫になっていました。それでも、毎週参加し練習で行うドッヂボールは死に物狂いに体を動かす姿を見て、子供が練習だと思わないような工夫、こちらが意図する動きになってしまうような運動をどのように練習に盛り込んでいくかと言う視点で練習を組んでいます。幸か不幸か体育館での活動が主となるため、私自身も陸上競技を教えると言う認識を持つことなく子供と接することができました。

 3つ目に、指導する上で重視している能力についてお話したいと思います。10年目を迎えるAccelですが、中学、高校で陸上に入った子は10人も満たないです。陸上以外に選手を流れてしまうようにも思いますが、この活動を通じて自分がやりたいこと、スポーツにチャレンジしてくれていると解釈しています。現に小学校ではあまり運動が得意ではなかった子が、テニスの道に進み県大会でも上位に行くようになり、スポーツ系の大学で続けたいと言った子もいます。この子のように、どのスポーツを選択するか分からない中で、伸ばすべき能力は何か?を考えるようになりました。多くのスポーツに共通する動きは何かを考えた時に、股関節を使わない種目は少ないだろうと思い、股関節の屈曲・伸展力を高めようと言うところに行きつきました。スポーツテストで言うところの「立ち幅跳」の能力です。静止した姿勢から、一気に股関節を伸展させる動き、能力はどのスポーツでも役立ち、また後追いであまり変化しにくい能力かなと感じています。遠くに飛ぶためには筋力的な要素も必要ですが、股関節の屈曲の深い位置から一気に力を発揮する感覚作っておくことはジュニア期から取り組んでいいことかなと考えています。これが物体に力を作用させる感覚、体を移動させる感覚を養っていくのではないかと思います。

 背景のご紹介が長くなりましたが、冒頭からお話ししているように陸上クラブと呼ぶより運動クラブと呼んだ方が適切かもしれません。私たちが思っている以上に、たくさんの可能性を子供達は持っていますし、子供達が知っている以上に世界は広いです。大学の恩師に「何かに集中することは、その他の可能性を捨てること」とお言葉を頂いたことがあります。何にでもなれるところから〇〇なりたい。と思える何かに出会って欲しいと思います。私たちが陸上競技に熱中してしまったように。
そこまでのお手伝い、そして見つけた先で“本気”で取り組める身体の準備、精神的な準備を活動を通してできれば本望です。
 
 最後に、笑い話にはなりますが子供たちが陸上競技を習っているとは言わずに「Accelを習っている」と友達に言うようです。子供達がいう「Accel」の輪郭は掴めませんが、私たちの想いが少し伝わっているのかなと思います。10年と節目を迎えますが、まだ10年と歴史は浅いチームですが、Accelで育った子供たちが陸上競技に限らず活躍する姿を楽しみに活動を続けて行きたいと思います。

Future Athletics No.9 (2021)に寄稿

クラスのご案内

Accel Kids
対象:小学生1年生〜6年生
場所:習志野市袖ヶ浦体育館 他
日時:毎週月曜  17:00-19:00
体験の流れ:
 ①下記フォームよりお申し込み
  https://forms.gle/mqmGGAKQAUa1x5bk7  (無料)
 ②事務局から開催日・場所のご連絡

Accel 中学生
対象:中学生以上(小学5・6年生で所定の条件をクリアできる者)
場所:習志野市袖ヶ浦少年サッカー場・近隣陸上競技場(土日) 他
日時:毎週月曜  19:00-20:30
   土日 (不定期開催 月4〜8回程度)

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