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指導を学ぶ

 南半球から帰国し早一週間。強烈な寒さと荒れ狂う花粉の猛威に押され気味です。気づけば年度末を迎え、スクールでは新しいコーチが現場に立ちながら研修を行う季節になりました。
 教え方・コーチングをどのように学習すれば良いのか?これについて考えることが多くなりました。知識であれば、たくさんの文献や熟達コーチの話を聞くことでアップデートされていきます。しかしながら、豊富なインプットも表現する現場力がなければ、伝えることができません。私は現場力を高めるには、”責任を持って立つ指導現場の数”だと考えています。誰にも頼ることなく、クラスを進行していく力は、どんなに本を読んでも、話を聞いても、サポートとして現場に立つだけではどれも本当の力になっていかないのかなと思っています。

 そんな背景を踏まえつつ、現在、コーチ育成をしている中で自分自身の頭の中を整理する機会に恵まれたので残しておこうと思います。


メニュー作りで考えている7つのこと。

 どんな風にメニューを考えているか?と質問を受け、おそらくこんな感じで考えていると言語化しました。というものの、現在僕は①の大枠を決めて、子供の様子を見ながら変えていくことが好きだからです。計画的に進行することが苦手です。

 ①絶対やりたいこと・もしくは動きをきめる。
 ②①に繋がるステップを用意。
 ③進行に応じて行うネタを用意。
 ④全体を通じてどんな学びを子供が得たか。
 ⑤①の背景、エビデンス
 ⑥運動量の確保
 ⑦正確?or速く?

それぞれを詳しく説明します。

①絶対やりたいこと・もしくは動きをきめる。
 これが決まると全体の流れができます。 スキル・メニューなんでも良いので、ゴールを決めてそこに向かっていくイメージです。その時間で到達できない、完成しないこともあるのでゴールもいくつか用意できるといいと思います。


②①に繋がるステップを用意。
 これはゴールを目指しどんなルートを通るかを考えます。子供の属性や環境によってもルート変更をしないといけなくなるので、ここの引き出しがたくさんあると子供飽きさせずに練習を進行することができます。SNSをみたり、子供が遊んでるのみたりしながらこうしたらいいかな?を観察してます。

③進行に応じて行うメニューを用意。
 子供の属性によって、進行具合が異なってくるため、時間を有効利用できるように補強や体づくりなどの引き出しがたくさんあると手持ち無沙汰にならずに終われます。僕はこのメニューは多分これくらいで終わるなという感覚があるので、残り時間で調整します。

④全体を通じてどんな学びを子供が得たか。
 レッスンに前のめりだったかの指標になります。①のテーマが伝わるように。家に帰って親御さんに「今日は何したの?」と聞かれた時に、こちらが意図したことが伝えられると良いなと考えています。「楽しかった」「たくさん走った!」から「コーチがね、〇〇が大事って言ってその練習をした!」と言ってもらえるように。

⑤背景、エビデンス
 ここは最も得意な部分です。なんで?の繰り返しとその背景を学んでます。もちろん全てにエビデンスがあるわけではないのですが、そこから得たインスピレーションや日頃のディスカッションから、より意味づけができるように意識しています。

⑥運動量の確保
 僕は大事にしてるポイントです。①の設定が対象にあってない場合には、説明が長くなり運動量が確保できなかったことがあります。できるだけ説明の時間を短くできるようにシンプルな言葉、子供がイメージしやすい言葉を使い、しっかり汗ばむ運動量を確保できるようにしたいです。個人的には何人半袖短パンで帰ったか?いい内容でもここが物足りないとやや満足度が下がると考えています。

⑦正確?or速く?
 これは状況によって使い分けが大事かなと思います。僕は”良質転化”だと思うので、まずはたくさんやれるようにして、回路を作ってあげて整えるかなーと考えています。正確性を求めすぎると飽きちゃうし、競争させると雑になる。。。そんなジレンマを抱えながら、場の設定や話し方の抑揚でコントロールできるように意識を向けています。体験や他の現場に行った時に、うちの子たちが鍛えられてるなと感じるのはある程度こなしてる数が違うからというのと反復できる体力があるなーと思っています。

 自分のスタンスとして、自分がワクワクしないと子供は絶対楽しくないと思っているので、ワクワクできるように頭の中をなるべく固めないように意識してます。
今日はどんなことが起きるのかな?どんな面白い動きが見えるかな?変化があるかな?がとっても好きです。(ある意味ではコントロールすることに対して、どんな展開になっても説明できる自信があるからかもしれません・・・)僕はこんなですが、ちゃんとメニューを作って遂行できることが本来は望ましいと思います!!

実践編

 メニューを考えてもらい、それに対して自分ならどうするか?のフィードバックした例を載せたいと思います。下記はメニュー立案の際のメモになります。

考えてもらったメニューのメモ

 これをみてアドバイスをください!と言われました。ずっと自分の頭の中でカチャカチャ動かしていただけでだったので、テキストにしてみました。不足していることもあると思いますが、こんな感じで考えていると思います。

 テーマ:接地へのアプローチ
 狙い:踵からつく走りを改善したい。

<メニュー>
①ラダー
・早い動き⇨早い動きであれば踵をつく時間が物理的に生まれにくいかも?
・早い動きでやるためには競争させてみる?(競争すると動きが崩れちゃうかも?)
・競争しても大丈夫そうな動きは何があるかな?いくつか用意して当日試してみようかな。
・そもそも踵がついちゃうってことは足裏の感覚がないかも?つま先、踵、フラットの使い分けができない?
・接地の位置を決めてやってみてもいいかも!正解を突き詰めるだけではなく、不正解をやってみてそれをやらなけれ限りなく正解に近づくかもしれない?

※接地へのアプローチもどうやら段階がありそう
Ⅰ,足の着く位置の使い分けができること
Ⅱ,両足・片足でのエラーは起きないか?
Ⅲ,足だけにフォーカスし姿勢が崩れていないか?
Ⅳ,接地のパワーをどのように大きくするか?(腕を使う、タイミングを測る)

全ては無理だから何が許容できて、どこまでできればいいかのラインを決めておく。

②縄跳び
・道具あったけ?なかった場合は、何で代用できるかな?校舎の段差、長縄とか使えるかな?
・縄跳びでやりたいので連続ジャンプ。ということは、一回で高く&遠く飛ぶジャンプとは異なるんじゃない?何が違う点はなんだろうか?子供と一緒に観察してみる?(寒いと厳しそうだなー)
・そもそもタイミングってどう理解してるっけ?「地面にタイミング良く力を伝えてジャンプ」をもう少し分解するとどういう動作?
・タイミングって、何かと何かを揃えることかも。音ゲーとかも流れてくる矢印とかに合わせてボタンを押すし。ということは、何かの流れの中に、何かを合わせることかもしれない。
・足がついた時に、手が頭の上にあるのは100%タイミングズレてる。。。体の前にあるとき?横にある時?後ろにある時?自分でやってみると横っぽいな。。。ということは、地面についた瞬間に手が体の横にくるようにするといいのか。その動作はどんな動きをしたら理解してくれるかな?
・ジャンプじゃなくても何かと何かを合わせる運動が導入になればいいよなー。例えば、足踏みさせてて笛がなったらジャンプ(バスケとかで良くみるやつ)とかもタイミングの導入にはなるかな。ここはSNSとか盛り上がりそうなの探してみようかなー。
・何かに反応しなきゃいけない空気があると子供たちをもしかしたら引きつけられるかも。ここで騒いだり進行を妨げる子がいたら、みんなの邪魔するときはコーチは怒るよって言って空気感のコントロールが必要かもな。一応、カードとして持っておこう。

③ギャロップ
・ギャロップって言って伝わるかな?今後できるようにするために、このワードは覚えてもらおう。
・ギャロップは右足(左足)がずっと前で後ろ足キックしながら進む動き。
・踏切とかシザースの動きに繋がっていくから、マスターできるといいな。毎回やろうかな?
・どれくらいできるかわからないからテストっぽくやろう。
・何もないより目標があった方がいいから、ミニハーをおこう。この時に立てるか、寝せるかは雰囲気次第。
・右が前だよーって声かけと1-2,1-2で超えていく声かけ、擬音(タタンタタン)どっちがいいかな?
・もし目標をおくとしたら、広さはどれくらいがいいかな?広いと届かない?結構学年と運動能力の差がありそう。
・2コース作って対応するのがベター。ただ子供は難しいのやりたくなる傾向にあるから、どんどん広いところにチャレンジしたくなっちゃうかも。
・どうやってコントロールしようかな?他のコーチにどうやってるか聞いてみよう。

④中臀筋
・今日の動きやるのに、支えることができないと足先ばっかりに行っちゃうからお尻に刺激を入れておきたい。
・特に支える時に使う中臀筋。
・サイドスキージャンプ、サイドランジとか。トレーニングっぽくなっちゃうと飽きちゃうかもな。
・ゲームっぽくやるには、じゃんけんで勝った人は右、負けた人は左、あいこは真上とかでやってみようかな。
・飛ぶのも大事だけど、落ちてきたのを止める動きも大事な気がする。
・四股踏みとかもいいかも。

⑤全体
・ちょっと走る量が少ないかもなー。
・リレーをするか、アップで入れるか。考えないと。時間あればリレー。いなければ、シャトル走とか秒間走とかで調整しようかな。
・せっかく接地意識させるからマークのシャトルとかギャロップのリレーとかもありかも。
・初めてやることなので、どこまで時間がもつかわからないな。
・最後10分は走る時間として確保したいから50分でどこまでいけるか。
・説明を端的にして行かないと。なんとなく想定されるエラーだけはイメージしておこう。
・ラダーやミニハーをわざと倒しちゃうこともあり得そうだから、サブの人に共有しておこう。
・間隔の調整をしたいから横で見れるように、合図はサブに出してもらおうかな。
・逆に、ふざけそうになったら、自分がスタートに言って雰囲気を作る。もしくは、フォーカスすべき点をあらめて伝える。
・全体をみて事故りそうなポイントを想定する。マークとか終わった瞬間にターンしないように、コーンを置いて導線の管理
・順番競争が起きるから、マークするべき子を事前に共有しておく。
・もしぐずっちゃう子がいたら別の役割を与えて様子をみる。

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