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定番すぎるけど、もしまだなら絶対見てほしい映画×3

出版社勤務時代、ある一般誌の企画に協力してほしいという話をいただいたことがありました。雑誌編集者が選ぶおすすめ映画みたいな内容で、私以外にも何人か聞かれたと記憶してます。私は迷わず「ショーシャンクの空に」を挙げたのですが、担当の方から「定番すぎるので他の映画にしてください」と言われてしまいました。代わりに何を選んだかは忘れてしまいましたが、ショーシャンク〜はそう言われてしまうほど定番中の定番、名作中の名作であり、いちいち挙げてくれるなというわけです(たんに他と被ってたのかもですが)。ところが、ハタチも二週目半に突入すると、いわゆるジェネレーションギャップ的な何かしらが発動するのか、案外若い世代には見てない人が多いことに気付きます。そのぶん、新しく素敵な作品に触れていると思いますが、自分が震えるほど感動した映画って、どうしても見てほしいと思ってしまいますよね。押し付けがましいのは百も承知で、元同僚の高荷たかにさんにおすすめしたら、彼は素直に見てくれ、えらく感動した、見てよかったと言ってくれたのです。やはりおすすめって大事だなと思ったのと同時に、何に遠慮してたのかと吹っ切れました。高荷さん、ありがとう。というわけで当たり前すぎるかもしれないけど、言わせてもらうぜACCN'sアックンおすすめ映画×3です(一応、ネタバレ的なのはないよう配慮してます)。

ショーシャンクの空に

刑務所が舞台の1994年アメリカ映画

この映画の何が好きかって、主人公アンディの耐え忍ぶ姿。今はどうしようもないって時期、誰にでもあると思うんです。行動を起こすにしても、いいタイミングじゃないみたいな。でも、来る日のため準備をすることは大事だし、同時に今は今で楽しまないと心が折れてしまう。特に好きなシーンはアンディが放送室に立てこももって、檻内に音楽を流すシーン。これが原因で彼は独房にぶち込まれてしまうのですが、仲間に「(独房で)何してた?」と問われ、「音楽を(頭の中で)聴いてた」って答えるんです。自由は奪えても音楽は誰からも奪えない、と──シビれませんか。私も音楽がないと生きていけない質ですが、一生ぶんの楽曲が脳にインストールされているから、独房にぶち込まれても大丈夫……かもしれないヤダけど。

この映画、もう何度も見たよという方も、YouTubeに上がっている岡田斗司夫としおさんの解説動画を見てからご覧になると、また新しい発見があると思います。岡田さん、ジブリ作品や他の映画の解説もトリビアだらけで目鱗ものですので、二回目以降ご鑑賞の際は、ぜひご参考されることをおすすめいたします(ただし、初回だとネタバレ要素多めですのでご注意ください)。

ビッグ・フィッシュ

ティム・バートン監督による2003年の映画

ティム・バートン作品の中では比較的マイナーで私もリアルタイムでは見てないのですが、日本でミュージカル公演があり、観劇をきっかけに映画も何度か見ました。劇中の父親像が自分の父親と酷似しており、凄まじい感情移入を促されます。2022年の暮れに父が亡くなり、物語はより深く私の胸に刺さるようになりました(この件は、以前もnoteで触れています)。

ビッグ・フィッシュのテーマは私にとって特別なわけではなく、古今東西ここんとうざい変わらぬ“父子ふしあるある”なのだと思います。自分の世界は、自分が好きなように作って演出すればいい。父は、まさにそんな風に生きました。私は、あそこまで堂々とホラは吹けないけれど、同時に父ほど人生を楽しんでいない気がします。その様な生き方が周囲を傷付けることも知っているので、私の中に優しさとも取れる制御装置が芽生えたのかもしれません。それと、時代背景もあると思います、昔の人は大抵ビッグマウスでしたから。今だと何かとエビデンスを求められるので、そう自由には語れません(笑)。

ライフ・イズ・ビューティフル

世界一暖かい嘘と評された1997年公開のイタリア映画

日本公開は1999年で、子を持つ前年に劇場で見ました。私は離婚して子と別居したので(すでに成人しています)偉そうなこと言えませんが、主人公グイドに理想の父親像を重ねるほど影響を受け、どんな時も娘から笑顔が消えないようにしたいと考えました。結果的に複雑な家庭環境にしてしまったけれど、それだけはできたんじゃないかなと思っています(どちらかというと、私が娘の笑顔に救われてきたとも言えますが)。劇中には辛い描写もありますが、喜劇王である役者だからこそのユーモアあふれる表現は、一生忘れないほどのインパクトを秘めています。ちなみに劇中の夫婦はプライベートでも元々夫婦だそうです。

3つの映画に3つの共通点

これらの映画には共通点があって、どれもシューティングゲームで弾幕にまみれた絶体絶命の状態で爆弾ボムを放ったような爽快感を味わえる瞬間があります。ご覧になった方は「この一瞬だ」と必ず気付くと思います。また、テーマが“人生”であり、誰かの視点で振り返りつつ語られている点も共通しています。

そして“嘘”。自分を守るため、人生を楽しむため、愛する人を守るため、さまざまな種類の嘘が登場します。嘘は、基本的によくないことと教えられています。でも、嘘を一度も言ったことない人っているでしょうか? なんでも白黒こだわる風潮に違和感も抱いてる方に、ぜひ(あるいは改めて)ご覧いただきたいと思います。

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