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「NUKAIRO」米ぬか玄米カイロ。開発の道のりその1

こんにちは。accos 行方です。

今回は、米ぬか玄米カイロを作っている私たちが、今回骨盤サポーター型の米ぬか玄米カイロ「NUKAIRO」を作ろうと思ったきっかけと、製品の特徴についてお話します。

米ぬか玄米カイロの特性による限界を超える

「米ぬか玄米カイロ」というものは、電子レンジ加熱して使用する為、天然素材のみ入れることが可能です。ポリエステルや、ナイロン繊維は焦げ付きの危険性があるため、当社では使用していません。

綿100%のカバーごと電子レンジで加熱する、米ぬか玄米カイロ

そのため、これまで販売してきた製品は、全て天然繊維、素材で出来ています。生地でいうと、綿100%、材料も、鉄粉や化学原料などを一切使用しておらず、天然素材100%で作られています。

限界を超えた商品開発

今回は、「どうしてもサポーター型のカイロを作りたい」、そう思う理由が二つありました。

一つ目は、3年間、私たちが米ぬか玄米カイロを販売してきた中で、お客様の中で「動きながら使えるカイロを作ってほしい」というお声が多く寄せられたからです。飲食業、看護・福祉業、運送業、美容師・整体師様等、多くの方が、動き(働き)ながら温められるカイロのリクエストをくださいました。中には、「カイロを挟める腹巻きを販売してほしい」など具体的なご提案をいただいたお客様もおられました。

そのたびに、「カイロは電子レンジに入れて温めるものなのでサポーターのような伸縮生地に使う化学繊維は使用できないため、現状難しい」と回答してきました。あまりに多くの方がリクエストくださっている中で断り続けるのも心苦しかったですが、開発にかかる費用や時間に余裕がなくお断りをさせていただく結果となりました。

二つ目の理由として、個人的なことなのですが、私自身が2年前に、子宮頸がんの検診で高度異形成が見つかったことにより、自分自身に対しても日頃から気を使わねばいけないという気持ちになり「常日頃から付けていられるカイロは作れないか」と永井に相談し始めたことによります。

当時、子供がまだ2歳・4歳と手がかかる年齢だったこともあり、精密検査の結果が出た時は少なからず動揺しました。「私にもしものことががあってはだめだ」と、これまでの生活を見直し、今まで以上に健康な体づくりを心がけるようになりました。

大判カイロで温めながらのPC作業

ストレスをためないようにと(子宮頸がんはストレスも良くないそうなので)、SNSの投稿を参考に安眠や自律神経のバランスを整えるため意識して取り組んだり、物理的な点では、寝る前に必ず米ぬか玄米カイロでお腹周りをしっかり温めて、仕事量も調整してなるべく体を休めるようにしていました。また昼食後少し横になったりと、薬の服用や過度な運動などはせず、本当に生活の中でできる範囲で取り組みました。おかげ様で二年間の取り組みの後、検査結果は正常範囲となり、現在は経過観察のみで過ごせています。


自分自身がモニターとなり米ぬか玄米カイロを毎日使い続けた中で、案外「お尻(仙骨まわり)」の冷えに気づきにくく、かつ温めるととても気持ちが良かったという体験がありました。加えて、できれば動きながら温めていたいという想いもそこで生まれました。
そして、その時にようやく、レビューでお声をいただいたお客様のお声「動きながら使えるカイロを作ってほしい」に自分の気持ちがシンクロしたのです。本当に世に出したい製品だと強く感じました。

お客様のご希望に届く製品を作ること、これが製造業を営む企業の根本だと考えています。ただの米ぬか玄米カイロ屋ではなく、「accosのカイロだから欲しい」と思っていただける製品づくりを目指し、開発ができればこれ以上のことはありません。

以前から永井には、「こういうカイロができたらいいね」位に相談していたのですが、その後この、「仙骨を中心に骨盤全体を温める & 固定可能」の開発の実現について真剣に進めて行く事になりました。


チャレンジ支援事業補助金

とはいえ、開発にかける資金が足りないという現実と、作ったその先はどうする?という、経営計画としてもぼやけていた初期段階ではあり、この製品を実現できるかどうかの確証は全くありませんでした。

しかし、本当に良いタイミング(といっては何ですが)で、昨年(令和4年)の12月に、私たちの住む南魚沼市が新規事業のための補助金制度の募集を始めたことが耳にはいってきたのです。
昨年募集が始まった南魚沼市の「チャレンジ支援事業補助金」に応募し、このカイロの開発について様々なエビデンスを用意し、1次審査(書類)を通過しました。2次審査のプレゼンテーションも、無事に通過しこのカイロの開発準備金を用意する事ができました。

南魚沼市林市長と、チャレンジ支援事業補助金を獲得した事業社(者)
女性手前:行方、後方:永井

補助金なので「取った後が大変」ではありますが、とにかく小さい事業のaccosが、将来的に大きな企業との取引をしたり、展示会に出展し大きなオファーを勝ち取るためには、自社製品としても大いに武器となる「NUKAIRO」の開発は必要不可欠と言えます。

この補助金の審査を通して、私たちが得たものががります。
それは、プレゼンまでに用意したサンプル品を見直し「このままではだめだ」ということでした。サンプルで用意したベルト型カイロは、今まで私たちが作ってきたカイロの技術を活かした形状で、留め具以外は綿100%で。まだまだ化学繊維を怖がっていた私たちの弱さが出ていました。今後、国内の大きな場でこのカイロを胸を張って出せるかというと、出せない。そう感じました。

上からではなく横から入れるタイプ、使用後のサンプルは皺になりやすい 
お蔵入りサンプル(縁取りのパイピング前)。骨盤サポーターを参考に、クッション性と伸縮性を活かそうとしましたが、厚みが出すぎて加熱したカイロが肌まで伝わりにくく失敗作となりました。


「SOLOTEX®」との出会い

数日後、出かけた洋服屋である特殊な生地「SOLOTEX®(ソロテックス)」と出会いました。


SOLOTEX®ハイテンション表面(サンプル)製品より

この「SOLOTEX®」によりNUKAIROの世界が180度大きく変わりました。その店では、カーディガンとTシャツを買いにきていたのですが、店員さんがものすごく推してくる商品がありました。そのブランドは、全ての服が「SOLOTEX®」という複合繊維で作られているそうで、触ってみると伸縮性があり、さらっとしていて、そして皺ができにくい加工の生地だと分かりました。

その時に思うところがあり、帰宅した後この生地について調べ、生地問屋でサンプルを取り寄せてみました。販売されていた服と同じ素材ではなく、「ハイテンション(強伸縮)」という、SOLOTEX®のシリーズを選びました。なぜなら、一般にサポーターと呼ばれるものは、「固定」をするための器具(道具)で、ある程度の強い「キックバック(伸びと戻り)」が必要だということをこれまでのリサーチの中で学んでいたからです。

強い伸縮性がありベルトとして腰回りに撒いた時にフィット感がある

ABOUT「SOLOTEX®」
ソロテックス®を構成するポリマーの一部には、植物由来原料を使用しています。これにより、限りある資源の消費を抑えるとともに、温室効果ガスの低減にも貢献。人にも地球環境にもやさしく、さまざまな可能性を秘めた繊維です。

https://m.solotex.net/about/

そして、ポリエステルでありながら鮮やかで深みのある色合いの実現を可能とし、 色落ちにも強く、なによりファッション性の高い上品な発色を長く保つことができます。現在、老舗ファッションブランドや新進気鋭のデザイナー、アウトドアブランド等からの注目を集めコレクションが展開されています。

サンプルが家に届き、質感やストレッチ性、形状記憶の程度等と確かめ、「これだ、これでやってみよう」となりました。当社の業務内容は、米ぬか玄米カイロの製造販売です。NUKAIROを「医療器具」として販売することは認められていませんので、「雑貨・インテリアカテゴリ」内で提案するものとして、ファッション性のある見えてもおしゃれな素材のサポーターとしての見せ方が一番自然だと考えています。その中で、このSOLOTEX®®は、NUKAIROの生地にするにあたり、機能性とファッション性を兼ね備えたベストな生地だと考えます。

製品原価は、当初より高くなってしまいましたが、当初のサンプルから飛躍的に改善された点と、世に出しても恥ずかしくない製品としてのファーストステップを踏み出すことができました。

カバー本体は加熱できない仕様。加熱した本体を素早くカバーに入れられるようにするため入れ口をカバー上部に変更しました。

次回は、開発第二弾として、ソロテックス®を使用しての実際のサンプル作りの記録についてお話したいと思います。作りたいと思ってから、製品完成までが、なかなかの七転八倒でした。永井が奮闘します!お楽しみに!



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