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「情報サービス論」

今回も司書資格を取った時のレポートを掲載する。
科目は「情報サービス論」である。

問題
学校図書館の利用教育の指導内容を挙げ、それぞれについて述べるとともに、「図書館利用教育ガイドライン-学校図書館(高等学校)」を参照(日本図書館協会ホームページの「委員会」の利用教育委員会にて全文公開。冊子は「参考書の紹介」参照)し、利用教育の手段はどうあるべきか、貴方自身の考え方を含め、論じてください。

解答
⒈ 学校図書館における利用教育の指導内容について
高度情報化社会といわれる現代において、膨大な資料のなかから適切な情報を迅速に効果的に入手するスキルは、早いうちから身につける必要がある。かつてブラックボックスとよばれた図書館利用教育だが、80年代頃から急速に意識が高まり、90年代以降、文部科学省、全国学校図書館協議会(以下、SLA)などにより指導方法が体系化されるに至った。
1982年にSLAは、小学校低学年から高等学校を対象とした「自学能力を高める学校図書館の利用指導」を発表した。内容は、1.図書館のその利用、2.図書とその取り扱い、3.資料の探し方、4.参考図書の利用法、5.図書以外の資料の利用法、6.調査研究のまとめ方、と6区分、56項目にわたる。幅広い年齢層に向けたきめ細やかな内容になっている。
 一年後の83年に文科省が刊行した『小学校・中学校における学校図書館の利用と指導』で示された指導内容は、⑴ 図書館及びその資料の利用に関する事項…図書館資料の種類や構成、学校図書館や公共図書館、地域の文化施設の機能と役割を知って利用する。⑵ 情報・資料の検索と利用に関する事項…図鑑、国語辞典、百科事典、年鑑、図書資料、その他の資料、目録、資料リストに慣れる。⑶ 情報・資料の収集・組織と蓄積に関する事項…情報や資料の収集、記録、資料リスト作成、まとめ方や伝達、資料保管を工夫する。⑷ 生活の充実に関する事項…読書習慣を身につける。集団読書活動や読書に関する学校行事への参加。である。まずは図書館や資料に慣れ、そこから得た情報を自分なりに記録やリストにまとめることを指導している。また、読書習慣を身につけさせ、本を媒介にさまざまな集団活動に目を向けさせるという指導目標が伺える。
 「自学能力を高める学校図書館の利用指導」を発表したSLAは10年後に内容を改訂、「資料・情報を活用する学び方の指導」として6区分を4区分に変更したが、これをベースに96年、日本図書館協会から『利用教育ガイドライン〈学校図書館版〉』が刊行されている。SLAはさらに04年に「情報・メディアを活用する学び方の指導体系表」とし、⑴ 学習と情報メディア。⑵ 学習に役立つメディアの使い方。⑶ 情報の活用の仕方。⑷ 学習結果のまとめ方。の4区分を公表、コンピュータ、メディア時代に即したものとなった。この2年前、02年4月に文科省は教育用パソコンの整備を実施している。学校教育において読書中心だった指導から「調べ学習」に象徴されるようなより自主的、主体的な情報収集能力が求められるようになった。その具体的指導を行う場として、学校図書館の利用教育は今後ますます重要度を増していくと考える。指導内容を確認、理解し、常にアップデートしていく必要があるだろう。
 
2. 利用教育の手段のあり方について
 「図書館利用教育ガイドライン」では利用教育の手段として「1.理念の確認、2.組織を確立、3.現状を分析、4.目的・目標の設定(印象づけ、サービス案内、情報探索法指導、情報整理法指導、情報表現法指導の5つの領域)、5.方法・手段の設定、6.財政の確立、7.担当者の採用と育成、8.施設、設備、教材、手
32行 段の提供、9.学校内協力体制の確立、10.評価の定着化、の10手順を挙げている。 5の方法・手段の設定については、⑴ 教科と関連なし…図書館が独自に実行できるもの、⑵ 教科と関連あり…各教科と関連づけた取り組み、⑶ 教科と統合…図書館と教科が共通の体系的な情報教育のカリキュラムを持ち、分担して指導を行っていく形態、の3段階を設定している。具体的に考えてみよう。
 ⑴の図書館が独自に実行するものとしては、図書館ニュースやブックリスト、利用案内の配布、またビブリオバトルなどのイベント開催で図書館をPRする仕掛けが考えられる。情報発信基地としての図書館をアピールし利用習慣をつけてもらうことが大切だろう。⑵の教科と関連づけた取り組みは、課題や自由研究に関する資料集めの提案が挙げられる。レファレンス機能の教科も必要だ。生徒が自由に使える検索システムの導入が可能になれば情報探索法の指導も行いやすい。問題解決型図書館として頼りにされる存在になることが大切だ。⑶図書館と教科が共通のカリキュラムを持ち、分担して指導する形態としては、教科のなかで情報リテラシー教育をしていくことが望まれる。また、公共図書館、学校図書館、学校の3者が連携して利用教育を施したり、図書館のデジタル資料を授業に取り入れて参照できれば、より豊かな学びにつながるだろう。
 利用教育は組織的に行うことが重要だ。また、予算の確保、マニュアルの作成、ロールプレイングなどを使った館員研修、レファレンスツールの充実、映像メディアの活用もポイントとなる。学校図書館の利用教育は生涯学習にも繋がる大切なプロセスであることを、学生、教員、外部図書館を含めたすべての関係者に知らしめ、協力体制が整うようなあり方を積極的に考える必要があるだろう。

引用文献
[1]日本図書館協会図書館利用教育委員会編『図書館利用教育ガイドラインー学校図書館〈高等学校版〉ー』日本図書館協会 1988

参考文献
毛利和弘 著『文献調査法ー調査・レポート・論文作成必携(情報リテラシー読本)第7版』日本図書館協会 2016
高山正也・植松貞夫 監修 山崎久道 編集『現代図書館情報学シリーズ…5 情報サービス論』樹村房 2012
金沢みどり 著『生涯学習社会における情報活用能力の育成と図書館』学文社 2012
ジェームズ・E・ヘリング 著 須永和之 訳『学校と図書館で学ぶインターネット活用術 ウェブ情報の使い方と情報リテラシーの向上 教員と司書教諭のためのガイド』日本図書館協会 2016

講評
良いレポートの一つです。参考文献、引用文の活用も高く評価できます。

総評 合格


【本日のスコーピオンズ】
36曲目「We’ll Burn yhe Sky
5th アルバム『〜暴虐の蠍団〜Taken by Force』(1977)より。

哀愁漂うギターとハイトーンヴォイスの静かなイントロ。
これはガーン! と来るでしょう、と思ったらそうでもなかった。
むしろメロディアス。
後半のギターソロは技巧派の感じがする。
日本語タイトルは「空を燃やせ」だそうですが、
そこまでの迫力を感じなかったのはきっと
わたしのiPhoneのせいでしょう。
ライブだったら普通に右手をキツネにして上げたまま
頭を振ってると思います(これが正しいノリ方かはわかりませんが)。

感想は以上です。

ちなみに、毎月3回このnoteのために真面目にスコーピオンズを履修した結果、spotifyから本人動画が送られてきました。
「2023年にスコーピオンズをたくさん聴いてくれてありがとう!」とクラウス・マイネさんが労ってくださいましたが、後ろで電話がずっと鳴っていたので「早く出てー! もしくは電話に出た後に動画撮り直してー」と思いました。
ありがとう、クラウス・マイネさん!


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